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東大生の米談義 番外編 -最近のお米動向- #3

Podcast「東大生の米談義」の番外編となるお米News #3です。


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10秒でおかゆ

先日簡単便利なおかゆメーカーに関する記事を書いたところだが、また日本らしいハイクオリティな商品が発売される。

「とろける白米」「とろける玄米」はお湯や水と10秒混ぜるだけでおかゆになる、パフ状の有機米加工食品(ライスパフ)。有機JAS認証取得商品で「安心でおいしい有機米を、子どもからシニアまで忙しい人でも手軽に食べてほしい」という思いから生まれた。

4/18のプレオープンでは、初日に予想の7倍以上の売上を記録。
全国のさまざまな産地・品種のお米で、1年半に渡る試作を経て完成したそうで、約30名のママ・パパや、医療の専門家による試食会で寄せられたさまざまな意見を参考にし、改良に改良を重ねたというから納得だ。

特殊な低温膨化加工(製造機械は特許取得)なので、軽くて柔らかい食感なのが特長。調味料不使用のプレーンタイプのため好みの味つけにアレンジすることが可能で、大人はもちろん、生後6ヶ月頃からの赤ちゃんの離乳食や、シニアの介護食などさまざまなシーンで利用できる。

常温保存で消費期限は3年。「とろける白米」「とろける玄米」は1パック120gで税込1,296円。白米は1食あたり50円(一食5g想定)、玄米は1食あたり200円(一食20g想定)で、希少な有機米でありながらお手軽価格で提供している。

自分好みの柔らかさに調整でき、あえてクリスピーな食感を活かしサラダにトッピングしてクルトン替わりにしたり、カレーと食べたり、ヨーグルトと合わせて朝食シリアル風にしたりと、和洋を問わないさまざまなバリエーション。
他にもオーガニック食品やオーガニック離乳食を気軽に取り入れたい! と思っていた方や、「時短・簡単・おいしい食材」を探していた方にもおすすめで、RICE DAOでも今後ぜひとも取り扱いたい。


玄米を簡単に

前述の「とろける」シリーズにもラインナップする玄米は完全栄養食と言われ、ビタミン・ミネラル・食物繊維を豊富に含み、人間が健康を保つために必要とされる栄養素をほとんど摂取できると言われる。

Podcast"東大生の米談義”初回でもちらっとお話したが、今ではめっきり聞かなくなった「脚気」も、初めはこの玄米を食べなくなったこと(もしくは精米技術の向上)が原因である。

そんな栄養豊富な玄米にさらに一手間加えた発芽玄米は不安抑制や睡眠の質向上といった効果が期待できるGABA(ガンマアミノ酪酸)含有量が玄米の2倍。健康になりたくば玄米を食えと言わんばかりである。

玄米食の検討に必ず付きまとうのが消化面でのデメリットや「玄米毒」の噂だが、結論から言うと気にすることはない。
消化に関しては基本的によく噛んでさえいれば問題なくまたその意識でよく噛むことの健康効果が期待でき玄米毒に関しては玄米に限って含まれるものはなくまた心配であれば水に12時間以上つければそのはたらきは3分の1になるそうだ。この点についてはしっかり理解しておくべきだと感じたので、またPodcastで「玄米の功罪」などと題して話そうと思う。

ともかくこうして食養生の代表格である玄米は、食べ方の意識により素晴らしいメリットのみを享受できると言っていいだろう。

その他によく槍玉に上がるのが調理面のデメリットだが、こちらも最近は玄米のパックご飯も見かけるようになり(実際、愛知県西尾市のお米農家「羽佐田トラクター」を訪問した際はあいちのかおりの玄米パックを頂戴)、「とろける」シリーズでも玄米を扱っているなど玄米の「簡単化」は進んでいる。

先日、全自動で玄米を発芽させそのまま炊飯する炊飯器「なでしこ健康生活®」を販売する株式会社プラスプのプレスリリースを見かけた。
「アスリート、青少年からだ造り応援キャンペーン」と題して期間限定(5月8日(水)から6月28日(金)まで)でアスリート応援価格として1万円引きで販売するそうだ。
この「簡単化」された玄米炊飯器により、日本の宝である穀物「お米=玄米」の再認識とアスリート、青少年のからだ造りを応援する。

玄米は今後もイノベーションが期待できる分野として注視しておこう。


おコメ食育ムーブメント

5月も2週目を迎え、全国各地の田植え体験のニュースを目にする機会が増えた。

5日には新潟県新潟市南区、7日は佐賀県唐津市高知県高知市兵庫県三田市、8日は三重県伊賀市で地域の子どもたちを中心として田植え体験が実施され、中でも東京の中学生がコメ生産地との絆深める教育として新潟県魚沼市で田植え体験を行ったというニュースは目を引いた。

兵庫県神崎郡神河町では6月1日の田植え体験に向け、地域の魅力を伝えていくために田植え後の日帰り入浴を含むプランを提供しており、また神奈川県相模原市では6月9日の田植え体験ののち収穫後にはBBQが予定されているなど、田植え体験もその体験価値の多様性に広がりを見せている。

小学校での田植え体験は20年から長いところだと50年近く続く伝統となっている。
10歳前後の子どもたちの率直な感想に暖かい気持ちになると同時に、生産現場のリアルな声として大変学びになる良いニュースだと感じる。

こうした小学生の声を活かせる場として今、「もっとお米を食べたくなるポスター」コンテストが全国の小中学生を対象に開かれている(5月31日まで)。
青少年の健全育成に取り組むDAC未来サポート文化事業団(東京都台東区)が主催し、受賞作品は実際のポスターや米袋のデザインなどに採用される予定という。食育と消費拡大が同時に達成される素晴らしい取り組みだ。


絵本『こめつぶ丸のごはんができるまで』

他にも全農パールライスでは『こめつぶ丸のごはんができるまで』という絵本を発売していて、いつも食べている「ごはん」が、どのように育てられて食卓に届くのかを、お米の妖精「こめつぶ丸」と「まいちゃん」の冒険の中で学ぶことができる。田植え後の緑色の田んぼから、黄金色に実った田んぼに変化していく過程や生きものたちが育む田んぼの役割も一緒に学んでいくという。現在発売記念でXにてキャンペーンが行われ、フォローとリポストで抽選により絵本とお米(福島県産コシヒカリ)150g×3袋とレシピパンフレットが当たるチャンスも。

食育はなにも子ども向けだけではない。かくいう自分も大学生になって食への興味からお米ソムリエと白米ソムリエを取得し、生涯学習という文脈でも当然大人も学び続ける価値があると考えている。

7月9日から、日本米穀商連合会(日米連)はお米の入門講座として「ごはんマイスター★講座」を開講する。お米に興味のある人なら誰でも受講でき、各会場とも11時~16時(各会場ともに先着順で定員となり次第、締め切り)にかけて稲作・お米・ご飯の幅広い学習が可能だ。受講者には「受講修了証書」とともに「店頭などで貼れるステッカー」も贈呈される。

また「令和の米騒動」と話題になった稲作アクションゲームを原作とするテレビアニメ『天穂のサクナヒメ』がJAとのコラボを発表した。
『天穂のサクナヒメ』はNintendo Switch™ / PlayStation®4でプレイできる和風アクションRPG。「米は力だ」を掲げ良質な米の栽培・収穫により自身も強くなるシステムで2021年には日本ゲーム大賞優秀賞を受賞した名作だ。

(C)えーでるわいす/「天穂のサクナヒメ」製作委員会

リアルな稲作の工程にプレイヤーからは農林水産省のホームページが一番の攻略サイトと話題になったというから面白い。
全世界累計出荷本数は150万本を突破しており、売上も好調だったことから“令和の米騒動”と騒がれたそう。

今回のコラボではアニメ公式X(旧Twitter)にてJAのバケツ稲づくり挑戦の様子を10月までの間に随時発信する。
どのような形でもお米に興味を持ち学びが促進されていくのは素晴らしいことで、RICE DAOでこうした活動を主導できればという野望を抱いた。


進化を続ける日本食と米

日本は「味付けがしょっぱい」。
台湾人女性の感想を取り上げたこのニュースの見出しに思い当たりがあった。

アメリカの大学に留学中の自分のルームメイトは台湾人で、度々料理を振る舞っていたのだが、美味しいがしょっぱいとよく言われる。

以前エッセイの「東大生の米談義」でも話したが、日本の食文化の特徴は口中(口内)調味。米を中心として食文化が形成されたことで、米にあう濃い味付けが好まれ発展し、日本人の食味嗜好も同様の旅路を辿った。三角食べは日本の食文化をよく表しており、塩味の強いシャケや漬物、味噌汁と米を一緒に食べることは健康に良い上に単体では出せないコクを作り出す。

この他にも、日本の食文化ではお米が至るところに散見される。

お酒や米麹関連、お餅、米菓はもちろんのこと、日本の代表的調味料である味醂(みりん)はお米由来のふくよかな甘味で、砂糖などの直接的な甘味には出せない深みを日本料理に与えてきた。

他にも、ちょうど今日の通勤中に読んでいた漫画「将太の寿司」では寿司コンテストのライバルの寿司はシャリに江戸前寿司で流行した赤酢を使用し審査員を唸らせた(赤酢はお酒を醸造したときに残る酒粕を熟成させ、酢酸発酵させたもの)。

そして今もなお、お米を用いた食は発展を遂げている。

本日発売された「体にうれしいこめ油」は100%米ぬかを原料とした植物油。玄米由来の栄養が豊富に含まれており、素材の味を引き立てる風味の良さが特長で、コレステロールや中性脂肪が気になる方、体調を気遣いたいけど揚げ物を食べたい方などへおすすめされていた。
(現在オンラインショップにて新発売記念セールで8本セットで2000円以上の割引を行っており、初回生産分なくなり次第終了するそう。)

米油の歴史は江戸時代から。米ぬかにも油が含まれていることに気づいて搾油したという記録が最も古く、素麺の伸ばし油として利用されていたらしい。 玄米あたりの収量にすると1%程度と油分が少なく圧搾法では効率が悪いこともあり広く普及することはなかったというが、特徴的な機能性成分と優れた酸化安定性と調理適性から近年注目を集めており、米油の発展も楽しみである。

少し遡り5月6日の記事だが青森県藤崎町の「Come Lab.OKAGESAMA」で「糀(こうじ)なんばん」が発売された。2023年産米の食味ランキングで最高評価の特Aを獲得した県産米「はれわたり」の糀を使用しており、甘じょっぱさと爽やかな辛みが特徴だそう。

はれわたりの糀に青唐辛子とてんさい糖を加え、国産本醸造しょうゆでゆっくりと煮詰めて仕上げた「糀(こうじ)なんばん」はご飯をはじめ野菜スティックや冷ややっこなど何にでも合うと語る。140g400円(税込)で、ふじさき食彩テラスで購入でき、年内にはナリミツ農園オンラインショップでの取り扱いも開始予定。

ちなみに「こうじ」には麹と糀の2種類の漢字が当てられるが、「糀」は江戸時代から使われるようになった和製漢字で、米にコウジカビが繁殖する際、花が咲くように生える様子を漢字に表したもの。一般的にこうじと言えば麹が使われることが多いため、糀の字を使っている場合米麹だと判断していいだろう。

円安によるインバウンドで日本食ブームとなっている今、その文化に深く根付くお米の素晴らしさを伝えていきたいと思った1日であった。


ここまで読んでいただきありがとうございます!
次回もお楽しみに!




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