ABA(応用行動分析)について⑤プロンプト(指示)

今回は課題分析とプロンプト指導について話します。具体的には、行動分析に基づいた効果的な教え方、以前の「先行刺激」と「弁別刺激」に関する内容について説明します。

トークンシステムに関しても触れますが、より詳しい説明はまた行います。今回の流れは、まず標的となる行動を決め、その強化方法について学びます。

行動改善のためには仮説立て、実践し、その結果をグラフ化して分析します。
目標とする行動変容が見られない場合は、再度行動を記録し、アセスメント(評価)を行います。

シェーピング手法についても説明します。これは半世紀以上前から行動分析で用いられる方法で、段階的に目標行動に近づけていく方法です。
具体的な手順として、最終的に目指す行動を定め、そのための逐次的な強化を行います。

さらに、行動指導における単一形と複合型の区別についても触れます。これにより指導が容易になり、効果的な行動変化を促すことができます。

まずプロンプトは、支援者が行動の手助けとして用いるもので、最終的には必要なくなることを目指します。
例えば、手順書をプロンプトとして機能させる場合があります。
一部の人にとっては、手順書を見なくても行動ができるようになりますが、その他の人にとっては、手順書が今後も必要なプロンプトとなる可能性があります。

次に、先生が「前を見て」と注意する場合、これは言語プロンプトの一例です。

また、暗記カードの裏に答えを書くことも、視覚的なプロンプトとして機能します。このプロンプトは、暗記が完了すると不要になりますよね。

プロンプトには様々な種類があります。
大きく分けると、反応プロンプト(支援者が行動に対して出す手がかり)、身振りプロンプト(指差しなど)、モデルプロンプト(模範を示す)、言語プロンプト(言語指示など)があります。

これらは、行動を促すために使われ、その人の必要に応じて徐々に減らしていきます。

たとえば、選択行動を教える際には、身振りプロンプトを用いて、子供が正解を指さすように手助けすることができます。
これもまた、子供が自分で指させるようになって、プロンプトを外すことが目標です。

身体プロンプトもあり、これは物理的な手助けを提供するもので、例えば手を添えて適切な行動を導くものです。
これも、子供が自立して行動できるようになったら不要になります。

視覚的プロンプトも有効で、例えば写真やイラストを使って行動を指示することができます。
これは特に自閉症の人の支援に有効で、反応プロンプトよりも視覚的プロンプトの方が効果的とされます。

プロンプトの使用は、その人のニーズや発達レベルに合わせて適切に行う必要があります。
また、プロンプトに依存しない自立した行動を目指すことが重要です。


行動連鎖の教え方には、逆連鎖と順連鎖の2つの方法があります。

逆連鎖(逆行連鎖)は、行動連鎖の最後から逆順に教えていく方法で、特に見通しが持ちにくい場合や、報酬や楽しみが近い行動から教えた方が効果的な場合に有効です。
例えば、カップラーメンの作り方を教える場合、食べることから始め、徐々に前のステップへと進んでいきます。

順連鎖(順行連鎖)は、行動連鎖の最初から順に教える方法で、先の見通しが持てる場合に適しています。カップラーメンの例で言えば、お湯を沸かすところから始め、最終的に食べるまでの手順を順番に教えます。

例えば、複雑な活動や技術を教える場合、順連鎖を使います。簡単な行動、例えば手洗いや歯磨きなどは、全体を通して教えることが適しています。

どの方法を選ぶかは、対象者の能力やニーズに応じて決定します。プロンプトの選択と行動連鎖の教え方は、それぞれの学習者に合わせて適応させることが重要です。

先行プロンプトも有効な方法の一つです。
これは、特定の行動連鎖の中で毎回同じ箇所で間違える場合に、実行前にプロンプトを出して指示を与える方法です。
例えば、買い物の際に毎回カゴを忘れがちな場合、自動ドアをくぐる前に「カゴを取って」と指示するのが先行プロンプトです。

これらの方法を適切に使用し、プロンプトを徐々に減らしていくことで、学習者は自立した行動を身に付けることができます。

しかし、プロンプトの使用は、依存や注意獲得に繋がる可能性があるため、慎重に行う必要があります。
代替の方法として、事前に準備された手順書や視覚的支援を利用することが効果的です。


一方で課題分析は、特定の行動や技能を学習する際の効果的な支援や指導方法を計画するために行います。具体的には、以下の目的で行われます:

1. 行動の理解
学習者の行動を詳細に理解し、その行動が発生する条件や背景を特定します。

2. 目標の設定
学習者に必要な技能や行動の目標を明確に設定します。

3. 介入計画の作成
学習者に適した教育的介入や支援の方法を計画し、その過程で必要なステップや教材、プロンプトの種類を決定します。

4. 進捗の追跡
学習者の進捗を追跡し、教育的介入の効果を評価します。必要に応じて計画を調整します。

課題分析によって、個々の学習者のニーズに合わせた効果的な指導が可能になり、学習成果を最大化することができます。

課題分析を先程のカップラーメンを例に説明すると、カップラーメンを作って食べるまでの手順を分解してみるところから始まります。
①お湯を沸かす
②フタをあける
③…
と細かく行動を分解します。

その後、対象者に実際にカップラーメンづくりをさせてみて、細かく分解された手順のクリアできてるところ、出来ていないところを分析する訳です。


課題分析は、特定の活動やセリフを教える際にも有効です。しかし、特定の個人によっては、書かれているすべてを読んでしまう傾向があるため、内容の提示方法には注意が必要です。例えば、吹き出し式の漫画形式を用いることで、必要なセリフのみに焦点を当てることができます。

視覚的な手順書も重要なツールです。例えば、紐の結び方を写真と身振りで教える場合や、カービングの工程を示す手順書などがあります。
これらの方法は、特に自閉症スペクトラムを持つ人々に対して効果的です。

また、問題行動を減少させるためには、問題行動を起こす前に休憩を挟むなどのアプローチが有効です。
このような方法は、問題行動を起こさせないための前もっての介入として機能します。

ビデオモデリングも効果的な手法の一つで、日常生活や学習活動における様々な動作を教えるのに使われます。
これは、視覚的な例を通して学習する方法で、特に自閉症スペクトラムの人々に効果的です。

総じて、特別支援教育や行動分析においては、個々のニーズに合わせた柔軟な支援方法の選択が重要です。

視覚的支援やビデオモデリングなど、様々な方法を活用することで、より効果的な支援が可能になります。


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