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無邪気で大人っぽい。あの子のポロネーズ【気楽にmusic.】


気楽にmusic. 第2弾です。

前置きは【はじめに。】をご覧ください♪


今回書きたいのは、

ショパンの「ポロネーズ第11番 ト短調(遺作)」

この記事は音楽の話というよりも

ふつうのエッセイなので、

クラシックに興味がない人も

ぜひ最後まで読んでくれたら嬉しい。


♪♪♪

この曲は、ショパンが7歳の時の作品で

譜面に残っている作品の中では一番古いので

ショパン初作とされています。


7歳。

いや、ほんとに天才は異次元。

ショパンが弾いたものを

父親が譜面に書きおこしたということ。


ショパンのお父さんも驚いたことでしょう。


この曲、とっても短いし

難易度的にもさほど難しい曲ではないので

他のショパンの楽曲に比べると

演奏の面でも挑戦しやすい曲と言えますね。


この動画もいつかのピティナの受賞者コンサートで

小学生が弾いていますね

じょうず。

うちの子もこんなふうに弾けるようになるといいな。




ピアノの詩人とされるショパン。

他にも紹介したい曲はたくさんあるのだけれど。


なぜこのポロネーズを選んだかという話です。


うちの小3の娘とその友だちAちゃんとのエピソードを

いつか書きたいと思っていたから。


とても思い出深い曲なんです。




Aちゃんとは、娘が小学校に入学して同じクラスになりました。

背が高くてとても大人っぽい雰囲気のAちゃんは、

入学式のときから目立っていました。


二人は入学式の翌日に、意気投合して友達になりました。

お互い、「この子と友達になりたい」って思ったのだそう。

小学生にもビビビッ!ってやつがあるんですね。


あっという間に仲良くなった二人は

家も近いことから一緒に登下校をするようになります。


Aちゃんは、自分の意見をしっかりと言える子で

前向きで明るい性格。

勉強もよくできるけれど

体を動かすのも大好きで、

年中ひざに絆創膏を貼っているような元気いっぱいな子。
(もはや絆創膏も貼っていなかった笑)


うちの子も、見た目は落ち着いていてほんわか系に見えますが

内なる炎というか、なかなかの頑固者なもので。


ふたり、めっちゃくちゃ喧嘩してました。笑

ほんと笑いが出るほど、喧嘩してた。


でも、自然と仲直りができて

また誘い合って。


お互いのこと大好きだったと思います。

見ていたら分かる。


そんなAちゃん、

我が家にも放課後よく遊びにきていました。

ふたりの遊びは、ピアノ。


Aちゃんと出会った頃

うちの子はまだピアノ教室に通っていませんでした。

幼稚園の頃から鍵盤が好きで興味がありました。

けれど、私の仕事や引っ越しなどで

ピアノを習わせることがずっと先延ばしに。


Aちゃんの影響で

やっぱりピアノを習いたいって

自分で言いだした娘。


何かをしたい、って

彼女が自分で決めたのは、それが初めてでした。


Aちゃんと同じ教室は満員だったから

Aちゃんのお母さんがいろいろ探してくれました。

今娘が習っている教室は、

Aちゃんのお母さんが見つけてくれた教室なんです。




家でピアノを弾いて遊んでいるとき


お互いの練習している曲を聴きあって

褒めあったりアドバイスをしあったり。



Aちゃんのことを

娘は素直に尊敬していた。

Aちゃんの演奏を「Aちゃんコンサート」と呼んで、

親子で楽しみにしていました。



Aちゃんの素敵なところは、

普段はしっかり意見を言う子なのに、

自分のほうが圧倒的にできるピアノに関しては

一度も自慢をしたり偉そうにしたりすることはなかった。

子どもだったら、自分のほうがうまいって言ってもおかしくないのに。

態度にも出さなかった。


対等に、ピアノを弾いていた。

ふたりで作曲したり連弾をしたり。

本当に楽しそうだったな。



学年が上がってクラスが変わっても、

Aちゃんとの交流は続きました。

Aちゃんのお母さんとも仲良くなって

クラシックが趣味だという共通点もあり

一緒にコンサートやリサイタルにも行きました。





そんなAちゃん一家が

転勤で海外へ行くことになったという連絡。

ある日突然のことでした。


Aちゃんは、最後までネガティブなことは

一切口にしなかったそう。


学校にはたくさんのお友達がいて

たくましくて傷だらけで元気いっぱいのAちゃん。


けれど、お母さんが言うには

メンタルが脆いところがある、と。


後で知ったんだけれど

登校の行きしぶりも何度かあったそうで

「○○ちゃん(娘)がいたから、学校に通えました。」

「○○ちゃんがいてくれてよかった。」

ってAちゃんのお母さんに感謝された。



繊細な性格は、見ていたらなんとなく分かった。


Aちゃんは、しっかり自分の意見が言えても

人を傷つけることや嫌な言い方は一度もしなかった。


負けず嫌いでいろんなことにエネルギッシュに取り組むけれど

たくさん努力をしていたこと。

周りをよく見ていたこと。

大人っぽい見た目からは見落としがちな

純粋な子どもらしさや弱さがあったこと。



そんなAちゃんは、お別れの日も笑顔でした。


最後に聴かせてくれたのが、このポロネーズ。


大人っぽくてかっこよくて

鳥肌が立った。


Aちゃんの無邪気さ、

子どもらしい瑞々しさも感じられた。


うらやましかった。

とても、素敵だった。




海外駐在を終えて数年後、また戻ってくることが

今、私の中での大きな楽しみです。



「また一緒にピアノ弾こうねぇ~~!!!」


とびっきりの明るい笑顔が

忘れられません。




偉大すぎるほどの天才の気持ちなんて

私のような凡人に理解できるはずもないけれど。


ショパンはこの曲をつくったとき

どんな気持ちだったんだろう。


家族が驚く顔を見て

何を思ったのかな。


音楽を生み出す、ってどんな気持ちなのかな。



その後

自分が

世界の音楽史の中心に居続けることを

想像していたのかな。




私は、このポロネーズを聴くと


無邪気だけど大人っぽい、

大人っぽいけれど純粋な子どもだった

Aちゃんの笑顔を思い出す。



娘にピアノの楽しさを教えてくれて、ありがとう。


出会ってくれて、ありがとう。




心からありがとうを言いたい。


たくさんの

素晴らしい音楽に。









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