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人生の一ページを飾ったアルバムたち①Aqualung/Aqualung

二つの大きな別れ

2002年、人生の中でいちばん悲しい別れを二つ、経験しました。

父の死と、それまで4年暮らしていたロンドンを離れたことです。

学生ビザが2002年の10月末まで残っていたので、それまでは友だちと会ったり、旅行したりして、ギリギリまで滞在しているつもりでした。

9月のある日、家で「バイト行きたくないなー」とうだうだしつつ準備をしていたところ、父が突然亡くなったと母から国際電話で知らされたのです。

急いで実家に戻り、父と対面し、葬儀を済ませ、母と妹と2週間ほど過ごし、ロンドンの部屋に戻りました。

「四十九日くらいまでには引き上げてきてほしい」と家族から言われたので、予定を早めて10月半ばに本帰国することに。
それまではできる限りいろんな人に会って、いろんなところに行って、後悔のないよう過ごすべく努めました。

ハムステッド・ヒースでの運命的な出会い

とある友人とハムステッド・ヒースで会う約束をした日、時間があったので近くのCDショップに入ったところ、そこで流れていた音楽を耳にした瞬間、涙が出そうになりました。

心の傷を癒やしてくれるような、優しい声とピアノの音色。

異常にシャイなので(ウソじゃありません)めったにこういうことはしないのですが、店員さんに「今かけてるの、誰の何て曲?!」と聞いたところ、「これだよ」と教えてくれたのが、このCDでした。

Aqualung/Aqualung

Aqualungというアーティストのデビューアルバムで、1曲目の「Strange and Beautiful (I'll Put a Spell on You)」がフォルクスワーゲンのCMに使われ、大ヒットしたんだそうです。
「そうです」というのは、ちょうどそのころ私は日本で父の葬儀に出ていたため、知らなかったんですよね。

それはともかく、その場で「これ買います!」と購入し、その後語学学校時代の友人と合流して、ハムステッド・ヒースを散策しました。
彼女はまだ1歳になるかならないかの赤ちゃんを連れていて、あちこちはい回る坊やを追いかけながら、楽しいひとときを過ごしました。

このアルバムを聴くと、このときの自分の気持ちがぶわっとよみがえってくるのです。

悲しくてたまらないけど、「大丈夫だよ」と背中をさすってくれるような優しい曲。
そして、ロンドンで過ごした楽しい日々の思い出とともに、今でも私の心の支えになっています。
今でも眠れないときにこのアルバムを聴くと、よく眠れます。私のトランキライザー。

ヒースに生い茂る雑草はさすがにここでは入手できないので、クローバーを摘んで、いっしょに撮影してみました。自分の中では雰囲気出てると思ってます(笑)。

Aqualungとは?

イギリス人アーティスト、マット・ヘイルズのソロプロジェクトで、ピアノがメインのしっとりした楽曲が多い…のは、最初の2枚くらいだったでしょうか。
だんだん(私の感想ですが)明るく陽気になってきたように思えて、ちょっと距離を置いていた時期があります。
2007年、グラストンベリー・フェスティバルに行ったのですが(多分最初で最後だな)、そこで彼のパフォーマンスを見ました。ほぼピアノ(キーボード)一本だったように思えますが、奥さんとお子さんもステージに出てきてましたね。そういえば2015年のフジでも見てます。

かたくなにファーストアルバムばかり聴いていた私ですが、わりと最近になって、彼がカバー曲を配信していることを知りました。
エルトン・ジョンのこの曲のカバーはグッときます!

やっぱりこの声に私は癒やされるんですよね。
「ちょっと鼻にかかってる系」に弱いのかも。

スタジオアルバムは2015年以来出ていないようですが、50歳になった彼の新作を聴いてみたいな。

アルバムはこちらで聴けます!

さてこのアルバム、本当はCDで聴いていただきたいのですが(ジャケットがいいので)、まずはこちらでお試しくださいませ。

このシリーズ、続きますように…(笑)

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