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虎の子日記   女ごころと黒ウーロン

私は骨格診断とパーソナルカラー診断を仕事にしていきたいと、絶賛勉強中である。人の骨格や肌の色を見分け、その人にあったファッションスタイルをご提案する。
その日は、今モデルになってくれている男性たちといざショッピングに行こう、ということになった。
私が車を出し、彼らを迎えにいったところ、道中の喉を潤すのに、とお茶を買っておいてくれた。おお~気が利くねえ・・・一瞬固まった。
渡されたお茶はなんとサントリーの黒ウーロン茶。そう、体の脂肪を減らす、といわれるメタボ対策のアレだ。

これって何?私がデブってこと?これでも飲んで少しは脂肪を減らせって暗黙の忠告?私の脳はネガティブな深読みを始めた。そして思い出した。
そういえば年末雪の降る日、仕事の締め切り追い上げモードの彼らの作業を手伝ったことがあった。あの時に「手伝ってくれてありがとう」と渡されたのはキンキンに冷えた缶コーヒーだった。無駄に微糖。

そうか、彼は気は効くが一歩読みが浅い人なのだな。真冬に冷たい缶コーヒーをくれるぐらいだから、お茶を用意してあげよう、と思っただけできっと大意はないのだ、うんうん。

そしてショッピングモールに到着。彼らに似合うテイストの服探しスタート。彼女でもお母さんでもない微妙な年齢差の女性が、次々服を選んできては試着させ、写真を撮るという一風変わったショッピング。
なぜ似合うか、選ぶ時のポイントは、などレクチャーしながら回ること十数店。
さすがに疲れたし、お昼ご飯にしよう、とフードコートに行き休憩がてらこれまで試着した写真を見て検討会。
ご飯の注文、買い出しをしてくれた彼が戻ってきた。私が注文したのは海鮮丼。あれ?プリンとかついてたっけ?

私はあまり甘い物を食べない。
カロリーが気になるのはもちろんだが、「どうせ脂質糖質を摂取するならビールとポテチがいい」派だからだ。
義理の母が手作りしたケーキとコーヒーを目の前に出され、食べないと帰れないような状況にでもならない限り、甘い物には手を出さない。
が、なぜ?プリンなんか頼むワケないのに?
そこでようやく気が付いた。
買い出ししてくれた彼が「女性は甘い物喜ぶだろう」と気を利かせてつけてくれたのだ。

いら~ん!その気遣い、全力でいら~ん!
てか、女性がみんな甘い物喜ぶとか思うなよ!
もし目の前の女性がダイエット中だったらどうする!必死で甘い物我慢しているのにプリンなんが置かれた日にゃ残酷にもほどがある!
カッコよくなって彼女と初デートってシチュエーションになっても、そんなことしたら嫌われるよっ!

しかし彼の気遣いを無にするわけにもいかない。「今お腹いっぱいだから、帰っていただくね」とリュックに入れ、持ち帰ることにした。

家に帰ってリュックを開けるとプリンの中身は半分に減って、その脱出分は私の愛用カメラNIKKONくんにまぶりついていた。
甘~いにおいになったNIKKONくんを泣く泣く拭きながら、私の中で彼の厚意は悪意に変換されたのである。

ボーイズよ、女性への供出品は熟慮せよ。
バチェラー改造計画はまだまだ続く。


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