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【古文】「筒井筒」のルサンチマン_茂木健一郎「化粧する脳」④_伊勢物語23段

【100字まとめ】化粧と鏡は切り離すことはできません。鏡を見る時、さらには化粧をした顔を見る時、脳はどのように活動しているのでしょうか。「筒井筒」の女を理解するため、茂木健一郎さんの「化粧をする脳」をご紹介します。


1.茂木健一郎「化粧をする脳」

この本は、2007年7月から、カネボウ化粧品(時代!!)と共同で、脳科学的な知見から「化粧の本質」について研究したもの。化粧と自己や他者の認識について考察しています。

女性たちはなぜ、膨大な時間をかけて鏡の前で化粧をするのか。
「それは、女性が鏡に向かうときは、脳が喜んでいる」からだそうです。

人間の脳がいちばん喜びを感じるのは、他者とのコミュニケーションだということはよく知られている。とくに目と目が合うことは一番嬉しいことだ。(中略)
それでは、鏡に映った自分の顔、自分と目が合ったときには、人間の脳は他人と目が合ったときと同様に喜ぶのだろうか。
実験の結果、鏡に映った自分と目が合ってもドーパミンの放出が計測された。

茂木健一郎「化粧をする脳」第2章 化粧は鏡であり、窓である より

「脳が喜ぶ」のは「私、きれい!めっちゃかわいい!」という自己満足ではなく、「他者とのコミュニケーション」しているからというのです。
自分の顔なのに。と、いうことは。

2. 化粧をした「私」は誰?

「素顔と化粧をした顔とでは、自分の顔に対する認知活動が異なる」ことが発見されます。具体的には「化粧をした自分の顔と他者の顔との認識に同様の脳内現象がみられた」のです。(第2章)

つまり、自分自身で他者が好感を持つ社会的な自己の姿をつくりあげ、その顔を他者に開かれた窓として提供していくのに、化粧は重要な役割を果たしていると考えられる。(中略)
化粧をしている女性の脳の中では、不特定多数の他者の脳をシミュレートしながら自分の姿を照射するという、かなり抽象的で高度な知的能力を駆使していることが考えられる。

同上 太字 筆者付与

化粧をすることは、自分自身を他者の目線で見ていること。
言い換えると、他者の評価的視線に自分をさらしているということでしょう。他者の視線を自分の中に持ち、それによって、自身の姿を確認している。社会的な自分の構築しているというわけです。


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