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労働者と経営者

はじめに

この記事はポエムで、独白(soliloquy)です。そんな考えの人もいるんだなぁ、程度に受け止めていただければと思います。

とある調査の案件で

その調査は手作業で実施することを前提としたものでしたが、手作業が強制されたものではなく、自動化出来るのであれば自動化しても良いものでした。調査項目の数はそこそこ多いので、可能であれば自動化したいけれども、手作業でも不可能ではないというところです。手作業だと柔軟性が増しますが、自動化するとケアレスミスがなくなります。この調査を二人で負荷分散して実施することにしました。自動化ツールは私の方で作成して彼に渡し、作業の概略を合意して作業を始めました。

作業の結果を確認して見ると、二人の作業の水準が合わない問題が発生しました。もちろん事前に打合せしたのですが、彼が仕様書の内容を十分に理解しておらず、仕様書から逸脱する方向で作業の概略を解釈したことが原因です。すでに〆切近くなってしまい、説明や教育を実施するのも難しくなってしまいました。それで、残りの作業をすべて私の方で引き取り、彼の作業を精査しつつ残りの作業も実施して、何とか納品しました。

コンピュータに任せるものと他者に任せるもの

引き取った仕事を、さらに自動化するものと手作業にするものとを分け、作業しました。手作業をいくつか実施してみるとかなり細かい粒度で手順化できることに気が付きます。もちろん、手順化できれば自動化できるものもありますが、どうしても自動化に向かない手順もあります。そして、ここでふと思うのです。「あぁ、ここまで手順化してあれば他者に任せられるなぁ」と。そして、「もし、これを他者に任せるとしたら、どういう基準やインセンティブにすればいいのだろうか」と。

労働者の仕事

先に示した手順に従って作業をする人は明らかに労働者です。かなり細かく手順を示すので、作業中に迷うこともほとんどないでしょう。でも、手順を細かく示さなくても、目標を達成するために業務を遂行する人はすべから労働者ではないか?

つまり、プロスポーツ選手や監督、医者、大学教授、芸能人などなど、収入の多寡に関わらずみんな労働者。この定義なら大抵の店長や課長も労働者です。彼らは所属組織で示された目標を達成するために働きます。もちろん、神様が授けた目標や手順もあります。例えば農業や漁業の一次産業。彼らは自然の法則と市場に仕える人々です。そして、彼らも労働者です。

経営者の仕事

一方、経営者の仕事は何だろう。もちろん一義的には経営することですが、「目標を示すこと」、「仕事を作る人」とも思うようになりました。これがなければ労働者は仕事が出来ません。だから、労働者の対極にある経営者の重要な仕事のはずです。

経営者は自ら立てた目標を達成するために、他者に遂行してもらう仕事を作ります。きっと目標や手順になるでしょう。そして、必要な人を雇用したり、業務委託したりします。より多く稼ぐために、あるいは組織をよりよくするために、次の目標を設定します。

もし、労働者に示された目標や手順が誤っていたり、曖昧だったりしたらどうなるでしょう。きっとそこで得られる結果も間違ったものとなり、作業の再実行が必要になるでしょう。先に私が示した調査の分担のように。そして経営者は思うのです。もっと私の思いを理解してくれればと。しかしそれはダメな経営者です。経営者としての仕事をしていないのですから。まぁ、中間管理職という厄介な立場の人たちもいるので、話はそう単純ではありませんけど。

フリーランスはどうあるべきか - まとめに代えて

フリーランスの方は労働者的な働き方をしている人もいれば、経営者的な働き方をしている人もいるでしょう。多くは両方の機能を有し、どちらかに主軸を置いて働いていることと思います。印象としてはスーパープレイヤを目指す労働者的立場のフリーランスが多いのかなぁ。

労働者の立場なら、引き受ける仕事の目標や手順にあいまいさがあればそれを指摘し、確実に目標を達成できるようにする、ということが必要ですし、「プロ」の労働者ならそれが矜持であるべきだと思います。一方経営者的な立場なら、より大きな仕事を引き受け、適切に仕事を分解して業務委託するなり、アルバイトを雇うなりすることになるのでしょう。

私は現在一人会社の経営者です。フリーランス的な仕事の仕方をしていますが、経営者の立場を主軸に置きたいと思っています。より大きな仕事をつかみ、具体化した仕事を作り出して、皆さんと一緒に仕事をしていく。そんな環境を作り出せればと思っています。何年か先にはフリーランスを卒業できるといいかな。

追記

この記事はSollective様主催の「フリーランス」がテーマのアドベントカレンダーのために執筆したものです。良かったら他の記事も読んでみてください。



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