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最近読んだ本の話 vol.33

 「最近読んだ本の話」の第33弾です。8月ももうすぐ終わりですね!虫の声が聞こえてきて、稲穂も実ってもう秋が近づいています。今週も最近読んだ本を3冊ご紹介します。


1、G・ガルシア=マルケス『百年の孤独』

蜃気楼の村マコンド。その草創、隆盛、衰退、ついには廃墟と化すまでのめくるめく百年を通じて、村の開拓者一族ブエンディア家の、一人からまた一人へと受け継がれる運命にあった底なしの孤独は、絶望と野望、苦悶と悦楽、現実と幻想、死と生、すなわち人間であることの葛藤をことごとく呑み尽しながら…。20世紀が生んだ、物語の豊潤な奇蹟。   -Amazonより引用-

 1年以上前に購入し、やっと読むことができました。ある家族に100年の間に起こったことを書いた物語、ということしかわからずに読み始めました。扉に家系図が書かれていて、それを時々見ながら確かめつつ読み進むのですが、あることに気が付きました。家系図の中に「アウレリャノ(17名)」という記述があるのです。アウレリャノが17名いるってこと?と驚きつつ読んでいくと、真相が明らかになり、アウレリャノの息子が17名いて、全員アウレリャノという名前だということでした。ちなみに「アウレリャノ」は、他にもいます。
 半分まで読み進んだ時、もうクライマックスな感じがしたのですが、そこからさらに物語は進んでいきます。マコンドの村はどうなってしまうのか?丁寧に描写されている部分と、サーっと説明が終わって場面が変わる部分があり、ついていくのは大変です。「孤独」を描いている物語ですが、その「孤独」の種類は現代でも同じような、たくさんの人に囲まれていても、囲まれていなくても人間は「孤独」を感じて生きているのかなあ、と思ったりしました。最後の場面の目まぐるしさが圧倒的にカッコよかった!


2、『覚醒するシスターフッド』

発売即増刷となった「文藝」2020年秋季号の特集掲載の小説を単行本化。大前粟生、サラ・カリー(岸本佐知子 訳)の短編を書き下ろしで新収録。
私と、私たちの勇敢な自由のために。
現代を代表する国内外作家10人の傑作短編集!
◎目次
サラ・カリー「リッキーたち」(岸本佐知子訳)*訳し下ろし
柚木麻子「パティオ8」
ヘレン・オイェイェミ「ケンブリッジ大学地味子団」(上田麻由子訳)
藤野可織「先輩狩り」
文珍「星空と海を隔てて」(濱田麻矢訳)
大前粟生「なあ、ブラザー」*書き下ろし
こだま「桃子さんのいる夏」
キム・ソンジュン「未来は長く続く」(斎藤真理子訳)
桐野夏生「断崖式」
マーガレット・アトウッド「老いぼれを燃やせ」(鴻巣友季子訳)
                         -Amazonより引用-

 この本の表紙を見た瞬間、「これは絶対読む!」と思いました。どんな作品が読めるのかドキドキしながらページをめくりました。
 「シスターフッド」とは、女性同士の連帯や絆を表している単語で、1960年代から1980年代のウーマンリブ運動(女性解放運動)の中でよく使われていた言葉だそうです。女性同士が連帯した様々な物語が収録されています。登場人物の性別がはっきりわからない話も多く、わからなくてもいいかと思いながら読みました。女性同士が連携すると面白いことが起こる!読みながらそんな思い出を色々と思い出しました。


3、千葉 雅也『オーバーヒート』

『デッドライン』で鮮烈な小説家デビューを果たした哲学者による
現代日本文学の最前線
言語が僕を隔てている。男たちが跳梁する空間から――。
東京への愛惜を抱きつつ大阪に暮らし、京都の大学で教鞭を執る哲学者。
「言語は存在のクソだ! 」と嘯きながら、言葉と男たちの肉体との
あいだを往復する。年下の恋人への思慕、両親の言葉、行きつけのバー、
失われた生家である「大きな白い家」、折々のツイート……。
「僕」を取り巻く時間と人びとを鮮やかに描く新作長篇「オーバーヒート」。
ハッテン場と新宿2丁目の移ろい、甦る記憶が現在を照射するさまを描いた、選考委員絶賛の川端賞受賞作「マジックミラー」を併録。
                         -Amazonより引用-

 千葉雅也さんの最新作、気になる!と思い読みました。読み始めてすぐに、千葉さんのお住まいと、私の住んでいる場所はそんなに離れていないのでは!と気付き、ドキドキしました。『デッドライン』の主人公のその後の物語のような、主人公は千葉さんととても似ていて私小説の部分が多いのでは?と勘ぐったりしながらも物語に引き込まれていきます。場面が突然切り替わるし、時制も過去と未来を行き来します。描写がとても素晴らしい。

 

 今週も「最近読んだ本の話」を書くことができました。ずっと気になっていた『百年の孤独』を読み終えることができて嬉しいです。読んでみると読む前の印象と全く違ったので、それを知ることができてよかった。最後までお読みくださってありがとうございました。


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