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最近読んだ本の話 vol.30

 「最近読んだ本の話」の第30弾です。とうとう30回目になりました。ここまで続けられてよかった。このまま続けられるところまで続けます。今日もすでに30℃を超えていて暑いです。今週も最近読んだ本を3冊ご紹介します。


1、滝口 悠生『長い一日』

小説家の夫と妻は、住み慣れた家からの引っ越しを考え始めた。長いつきあいの友人たちやまわりの人々、日々の暮らしの中でふと抱く静かで深い感情、失って気づく愛着、交錯する記憶。かけがえのない時間を描く、著者4年ぶりの長編小説。
「どこまでも伸びる一日。そして過ぎてみれば、たった一日。」(本書より)
                                                                                   -Amazonより引用-

 小冊子で発行された作品を持っていて、3作目まで読んでいました。滝口さんの日常が描かれているような作品です。時々奥さんの視点や、友人の窓目くんの視点で描かれています。どこまでが本当の話なのかはわからないけど、生活の感じが伝わってきます。いいなあ、と思ったのは、滝口さんが美味しそうな朝ごはんを作るところ。私も食べたい!と思いました。


2、弥生 小夜子『風よ僕らの前髪を』

弁護士の伯父が何者かに殺害された。犯人は未だ杳としない中、伯母は密かに養子の志史を疑っていた――伯母から志史の身辺調査を依頼された元探偵事務所員の若林悠紀にとって、志史は家庭教師として教えた子供の一人だった。誰にも心を許そうとしなかった志史の過去を調べるうちに、悠紀は愛憎が渦巻く異様な人間関係の深淵を覗き見ることになる。圧倒的な筆力に選考委員も感嘆した第三十回鮎川哲也賞優秀賞受賞作。   -Amazonより引用-

 冒頭から不穏な空気が漂っていて、先が気になって読み進んでいきます。主人公の悠紀は、伯父が何者かに殺害された真相を調べるために様々な人と会い、話を聞くのですが、そのそれぞれの語る言葉から真相が徐々に明らかになっていきます。人物の描写がすごく自然に特徴が描かれていて、こういう感じの人いるなあ、と想像ができます。気が付けば夢中になって身を乗り出して読んでいました。他の作品も読んでみたいです。


3、岩井 圭也『永遠についての証明』

親友の遺したノートには未解決問題の証明が――。数学の天才と青春の苦悩。
特別推薦生として協和大学の数学科にやってきた瞭司と熊沢、そして佐那。眩いばかりの数学的才能を持つ瞭司に惹きつけられるように三人は結びつき、共同研究で画期的な成果を上げる。しかし瞭司の過剰な才能は周囲の人間を巻き込み、関係性を修復不可能なほどに引き裂いてしまう。出会いから17年後、失意のなかで死んだ瞭司の研究ノートを手にした熊沢は、そこに未解決問題「コラッツ予想」の証明と思われる記述を発見する。贖罪の気持ちを抱える熊沢は、ノートに挑むことで再び瞭司と向き合うことを決意するが――。
冲方丁、辻村深月、森見登美彦絶賛! 選考委員の圧倒的な評価を勝ち取った、フロンティア文学賞3年ぶりの受賞作!       -Amazonより引用-

 私は自分より頭の良い人に嫉妬したことがない、ということに、この本を読んでいて初めて気が付きました。同様に、自分より仕事ができる人にも。ただ「すごいなあ!」と尊敬する気持ちが沸き起こるだけです。それなので、この物語の中で、数学の天才である瞭司が周りの人から妬まれて、傷つくような言葉を向けられる場面が耐えがたく感じました。瞭司が亡くなることが物語の冒頭で明かされているので、読み進んでいくにつれて悲しくてしょうがなくなりました。こんなに先を読むのがつらいと思った小説は、なかった気がします。気分よく自分の才能を伸び伸び発揮して楽しく生きられたらよかったのに、と思ってしまう。誰かが発見したことを、誰かが受け継いで研究して証明する、そうやって繋がっていくことを瞭司は望んでいて、最後には瞭司の研究ノートの解読が、かつての仲間たちによって進められて近い未来への希望が描かれているので、それはよかった!と思いました。


 今週も「最近読んだ本の話」を書くことができました。毎週書き終わるとほっとします。今、これから読む予定の面白そうな本がいっぱいあって、楽しみでしょうがないです。読むのと書くのとどっちが好きなんだろう?ちょっと考えてみましたが、別の種類の楽しさなので比べられません。最後までお読みくださってありがとうございました。

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