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最近読んだ本の話 vol.74

 「最近読んだ本の話」の第74弾です。秋の訪れを感じつつもなんだかんだいって今週も暑かったですね。涼しくなるのはまだ先でしょうか。最近読んだ本を3冊ご紹介します。


1、アリ・スミス『夏』

ブレグジットからパンデミックへ。激化する分断の中で、人々は歴史を携え旅に出る。過去作の登場人物が一堂に会する、四部作の最終章。
                         -Amazonより引用-

 楽しみにしていた四季四部作の完結編です。今回はイギリスに住む家族が登場して物語は進んでいきます。他の三部作に登場した人物もあらわれて、こことここがつながるんだ!という発見があるのですが、『秋』『冬』『春』の内容がしっかり頭に入っていないので、つながらなかったりもして、見落としていることが多いように感じました。『秋』から読み直さないと!『秋』の中ではブレグジットの問題が多く描かれていますが、『夏』ではパンデミックでどうなったのかが描かれています。四部作すべてに登場するダニエルが、戦時中に敵性外国人とみなされて収容施設に入れられていたことや、行方が分からなくなったダニエルの妹・ハンナのその後の話も描かれています。読み終わって、知らない間に少しずつつながっていた登場人物たちが、これからどういう行動をするのか気になりました。やっぱり『秋』から読み直さないと読み解けないかなあ。



2、年森 瑛『N/A』

選考会で異例の満場一致!
第127回文學界新人賞受賞作

松井まどか、高校2年生。
うみちゃんと付き合って3か月。
体重計の目盛りはしばらく、40を超えていない。
――「かけがえのない他人」はまだ、見つからない。
優しさと気遣いの定型句に苛立ち、
肉体から言葉を絞り出そうともがく魂を描く、圧巻のデビュー作。
                         -Amazonより引用-

 私は小説を書いていないけど、「文學界新人賞」を取ってデビューする作品ってどんな作品なのかな?と興味があって、思わず読みました。こういう作品はなかなか書けないです。言葉にするのが難しそうなことに挑戦していてすごい!
 主人公のまどかは高校2年生。体重を減らせば生理が止まることを知り食事の量を減らしていて、母親も学校の保健の先生にも、拒食症だと勘違いされて気遣いされてしまっています。まどかは、「かけがえのない他人」を見つけたいとずっと思い続けていて、試しにうみちゃんと付き合いお始めますが、うみちゃんのSNSのアカウントを偶然知った友達から、自分の写真が顔だけ隠されて公開されていることを知り、うみちゃんに別れたいと伝えますが、友達には同性が好きなんだと勘違いされて気遣われてしまいます。そういうことってあるよ、勝手にいろいろ想像して推し量って気遣われること!と、うなずきながら読みました。


3、岩城 けい『サウンド・ポスト』

「トーチャン、音楽って言葉なんだ!」--英語がわからない父親と日本語がわからない娘が、オーストラリアの地でつむぎ、響きあう、言葉と音楽の物語。                         -Amazonより引用-

 このお父さんはすごいのだ。娘のバイオリンのレッスンに同行して、レッスン中にメモを取り、レッスンを録音することを13年間もやり続けたのだ。日本食レストランのシェフで、ご飯も毎食作り、お弁当もおやつも作って、娘がお世話になっている人たちを呼んで自分の料理でもてなすパーティーをしたりしてすごい。娘のメグがバイオリンをやめそうになったり、また続けることになってコンテストに出るところとか、はらはらしながら読みました。メグがフランスに留学して、お父さんがいなくても大丈夫になってよかった。だけどお父さんが大丈夫なのか…心配だ。


 今週は「最近読んだ本の話」を書くことができました。暑くてなかなか本が読めない、というのは言い訳だろうか?もうちょっと涼しくなったらなあ。最後までお読みくださってありがとうございました。


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