最近読んだ本の話 vol.91
「最近読んだ本の話」の第91弾です。ここのところ寒い日が続きました。今週は最近読んだ本を3冊ご紹介します。
1、寺地 はるな『ガラスの海を渡る舟』
兄・道と妹・羽衣子の2人が、祖父のガラス工房を継ぐお話です。道は小さな頃から落ち着きがなく、キイキイした妹の声とか、あいまいな質問だとか、時間通りになのかをすることが苦手です。妹の羽衣子は、道の行動にイライラして、歯に衣着せぬ感じで道に対してガンガン文句を言いますが、道の方は困ったなあという感じで受け止めて1つ1つ言葉を返しています。工房を始めた頃はそれぞれ完全な別行動をしていた2人ですが、だんだんと距離が縮まっていきます。大切なことがたくさん書かれてあって、人と関わって生きていくのはいいなあ、と思える物語でした。
2、ウィル・ワイルズ『フローリングのお手入れ法』
主人公は、学生時代の友人で音楽家のオスカーに頼まれて、しばらく留守にする住居(とても広いフラット)の留守番をすることになります。主人公はイギリスに住んでいるライターですが、官公庁の説明パンフレットの文章を書いたりする仕事に不満を感じながらも、そこから抜け出せないでいます。潔癖症のオスカーがなぜ主人公に留守番を頼んだのか?主人公は到着初日にフローリングの床にワインのシミを作ってしまいます。
とんでもない博識で、なんてことはない1つの物に対する描写が多種多様で変幻自在な装飾が施されて素晴らしい読み応えです。最後の方でオスカーがなぜ主人公に留守番を頼んだのかがわかるのですが、そのためにこんなに色々なことが起こってしまったんだ!
3、山田 詠美『私のことだま漂流記』
山田 詠美さんが書かれた言霊の本、ということで絶対読みたいと思いました。自伝のようなお話を読みながら、私と山田 詠美さんにはこんなにも共通点があった!という発見があり、ゾクゾクしながら読みました。山田さんがデビュー後に、さんざん批判されたり抗議の手紙を受け取ったりしていたことを知って驚きました。私が高校生の頃に山田さんの作品を初めて読んだ時には、そんな風潮はまったくなかったと記憶していたので不思議に思ったのですが、直木賞を受賞した後に激変したそうです。嫌な感じだな。
山田さんの文章の中で、山田さんが会った作家さんたちやお世話になった人たちが甦っていて、そういうところが好きだ!と思いながら読んでいたら、ご本人がそういうことを意識して書かれたと後半の方で書かれていたので、やっぱり大切にしたいことが似ている人だと実感しました。これからも山田さんの作品を読んでいきたいです。
今週は「最近読んだ本の話」を書くことができました。なかなか読むのが追いつかないですが、マイペースで少しずつやっていこうと思っています。最後までお読みくださってありがとうございました。
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