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町屋良平『ショパンゾンビ・コンテスタント』

今日この本を読み終わりました!私は楽器の中で、ピアノの音が1番好きです。自分が弾く下手な演奏で、ヘッドフォンから聴こえる電子ピアノの音であっても、帰宅して凝り固まった体を解きほぐしてくれるようで、毎日ピアノを弾いています♬

この本は、音大をやめて小説を書いている主人公、ピアノのコンクールに挑んでいる親友の源元、源元の彼女の潮里、バイト仲間の寺田君の4人が主な登場人物です。主人公の青年は、親友源元の彼女の潮里のことを好きになってしまい、潮里に好きだと言い続けています。変わっていますね!でも潮里はもっと変わっていて、主人公の気持ちを受け入れていて、あしらっているようではあるけど優しいのです。

主人公はその恋心とともに、ピアノをあきらめて小説を書き始めて苦悩し「ぜつぼう」しながらも、源元を主人公にした小説を書き続けます。源元のピアノコンクールへの挑戦と、主人公の小説執筆と、3人の微妙な関係があり、寺田君が主人公の小説を読んで突然旅行することになったりと、展開が面白いです。主人公の心情が丁寧に描かれています。

私が1番印象に残っているのは最後の場面で、主人公が潮里に「そんなふうにしたら」まだまだ恋しちゃうんだけどなぁと言い、

潮里が「そういうのは、かんぜんに自由だから」ひとそれぞれだから、と笑う場面です。

そのひと言に、彼女の気持ちが集約されているように感じました。もし私が源元の立場だったら、「手つないだりしないでー!」と言ってしまいそうで、そうしたらこの物語の雰囲気をぶち壊してしまうなぁ、と思いました。

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