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最近読んだ本の話 vol.35

 「最近読んだ本の話」の第35弾です。9月になってだいぶ涼しくなりました。緊急事態宣言がまた延長になって、読書時間が増えそうです。今週も最近読んだ本を3冊ご紹介します。


1、高野 史緒『まぜるな危険』

伊藤計劃+円城塔『屍者の帝国』の世界観にドストエフスキー『白痴』から「ブレードランナー」までを投入した「小ねずみと童貞と復活した女」、佐々木淳子の時間SFコミックとチェーホフとのリミックス「桜の園のリディヤ」など、ロシア文学+SFの全6篇。      -Amazonより引用-

 表紙とタイトルから想像して、ぶっ飛んでそうな小説だろう、と期待して読みました。予想を裏切らない内容で面白かったです。6つの短編が収録されています。どの作品もロシアと関わりがあります。3つ目の「小ねずみと童貞と復活した女」は、伊藤計劃+円城塔『屍者の帝国』とドストエフスキー『白痴』がリミックスされて、思いもよらぬ物語になっています。4つ目の「プシホロギーチェスキー・テスト」は、ドストエフスキー『罪と罰』と江戸川乱歩の短篇「心理試験」がリミックスされて、最後はまさかの・・・面白かったです。高野さんは面白い人なんだろうなあ。他の作品も読んでみたくなりました。


2、アンナ・ツィマ『シブヤで目覚めて』

チェコで日本文学を学ぶヤナは、謎の日本人作家の研究に夢中。一方その頃ヤナの「分身」は渋谷をさまよい歩いていて──。プラハと東京が重なり合う、新世代幻想ジャパネスク小説!           -Amazonより引用-

 面白そう!と思って読みました。読み始めてすぐ、私の予感に間違いはなかったと確信しました。主人公のヤナはチェコに住み、大学で日本文学を研究している女の子です。14歳の時に村上春樹の『アフターダーク』を読んで日本文学に興味を持ったそうで、日本の映画もたくさん観ていて、三船敏郎に恋しているという。部屋の壁には、三島由紀夫の写真が貼ってあるのだ。すごい!私は日本に生まれたけどそこまでのことはないな、と衝撃でした。
 日本に行きたいというヤナの強い想いが、「分身」になって渋谷をさまよい歩き、物語はプラハに住む大学生のヤナと、渋谷をさまよう17歳のヤナを、行き来して進んでいきます。ヤナは大学では、大正期の作家の作品を研究していて、情熱を持って取り組んでいます。そして私よりもずっと日本の作家の作品を読んでいて、とても詳しいのだ。この作品がデビュー作だそうです。次作も読みたいと思いました。


3、ドナルド・キーン『日本を寿ぐ: 九つの講演』

日本文化の普遍的な輝きを祝福する。単行本未収録の講演集。日本人は島国根性ではない、なぜか? アイヌの人びとを尊んだ松浦武四郎とは? 岩倉具視を団長とする米欧使節団は何を見たのか? 明治天皇の覚悟とは? アメリカの小学生はなぜ俳句をつくるのか? 石川啄木の喜び、泉鏡花文学の美しさ……忘れ得ぬ人びとと文化への深い愛惜を語る9編を精選収録。解説:尾崎真理子
                         -Amazonより引用- 

 つい最近、ドナルド・キーンさんの『石川啄木』を読みたいと思って見てみたら、本の厚さが4センチほどあり、「今はちょっとやめておこうか…」と思ってあきらめたので、この本を見つけて「これだったら読めるかも!」と思い、読みました。ドナルド・キーンさんの9つの講演が収録されていて、弥生時代や奈良時代のことから現代にいたるまで、様々な事柄が語られています。
 読んでいて、外国人の方に対しての接し方が私は間違っていたかもしれない、と思いました。外国人の方は日本語が読めない、刺身が苦手、箸が使えない、などと思い込んでいますが、長く日本で暮らされている方はそんなことはないですよね。あと、日本語は習得するのが大変な言語だ、と思い込んでいましたが、ドナルド・キーンさんはそんなことはないとおっしゃっていました。10年も勉強すればそこそこできるようになる、と。外国語を10年勉強する、ということが言語を学習する人にとっては当たり前のことなのか!と、それも驚きました。英語に四苦八苦している自分には到底実感できないですが…。浮世絵や俳句や短歌、日記の話なども面白かったです。


 今週も「最近読んだ本の話」を書くことができました。読むのがギリギリ間に合って、何とか投稿できました。本を読めば読むほど読みたい本が増えますが、読んでないけど読んだ方がいい本もいっぱいあって、それも合わせるとすごい数になりそうです。1冊ずつ地道に読んでいこうか…。最後までお読みくださってありがとうございました。

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