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最近読んだ本の話 vol.38

 「最近読んだ本の話」の第38弾です。朝晩は涼しくて過ごしやすくなりましたね。私は寒いのが苦手なので今ぐらいで止まってほしい、と思ったりしますが、四季があった方が楽しいのでやっぱりそのままでいいです。今週も最近読んだ本を3冊ご紹介します。


1、片岡 義男『豆大福と珈琲』

片岡義男には、珈琲がよく似合う。
たしかな文体とスタイリッシュな世界観。
あらゆる小説的企みにみちた「珈琲」をめぐる5つの物語。
息子を連れて地元にひとり戻ってきた幼なじみと、「結婚」をしないまま新しい「家族」のかたちを探っていく表題作をはじめ、珈琲を題材に作家が「小説」を書き上げるまでの思考の軌跡をとらえた「深煎りでコロンビアを200グラム」、小田急線沿線を舞台に過去と現在を往還しながら3人の女性との微妙な関係性を描く「鯛焼きの出前いたします」ほかを収録。
文庫化に際して、巻末エッセイ「珈琲に呼ばれる人」を書き下ろし。
                         -Amazonより引用-

 『豆大福と珈琲』というタイトルが気になって読みました。5つの物語が収録されています。1つ目の物語が表題作「豆大福と珈琲」です。こんなにも「豆大福」について語られる文章を初めて読みました。私はかつて和菓子の中で「豆大福」が大好きでした。甘すぎなくてお餅が美味しいのと、豆が少ししょっぱくて美味しいからです。今は「よもぎ大福」も好きです。
 全編にわたり「珈琲」が語られています。登場人物の男女は、とても大人っぽい人ばかりで、私には到底できないような大人っぽい会話が交わされます。「この珈琲は小説になるか」は、登場人物の小説家とデビュー作を担当した編集者が、長編小説のアイデアを次々と思いついて、書くことになるまでが描かれていて、こういう風に着想して書いてらっしゃるのかな?と、ちょっと創作過程をのぞかせてもらったような面白いお話でした。


2、ペーター・テリン『身内のよんどころない事情により』

作家の平穏な生活が、一つの噓で崩れ始める。ベルギー発の謎に満ちた実験的小説。家族に〈よんどころない事情〉があって――。気の進まない会合をドタキャンするために吐いた小さな噓が、やがて作家の人生を激しく狂わせてゆく。3歳の娘が突然脳梗塞を起こし、小説で描いた架空の作家Tの行動が、作家自身を追い詰める。虚構が現実を侵食する、サスペンスフルな文学的冒険。オランダAKO文学賞受賞。         -Amazonより引用-

 この本のタイトル『身内のよんどころない事情により』って何だろう?と、興味を持ち読みました。翻訳者のあとがきを読むと、このタイトルは編集部の方が決めたそうです。まんまと罠にはまった気がしました。
 主人公のステーフマンは、小説家です。ある日シャワーを浴びながら、新しく書く小説を思いつきます。その小説の主人公は「T」といい、ステーフマンと同じく小説家です。違っているところは、「T」は書いた小説がベストセラーになり成功していて、ステーフマンはまだベストセラーになっていません。どこからどこまでがステーフマンの日常で、どこから小説の「T」の話なのか、そしてこの小説の著者であるテリンの存在。頭がこんがらがってきます。主人公のステーフマンが書いた「T」という小説はベストセラーになります。そして最後の章では、そのステーフマンの伝記を書こうとするもう1人の作家が登場して、もうお手上げな感じのすごい小説です。ところどころにハッとする言葉が出てきます。もう1回読んだ方がいいかもしれないなあ。


3、織守 きょうや『花束は毒』

罠、また罠。100%騙される、戦慄ミステリー!
「結婚をやめろ」との手紙に怯える元医学生の真壁。
彼には、脅迫者を追及できない理由があった。
そんな真壁を助けたい木瀬は、探偵に調査を依頼する。
探偵・北見理花と木瀬の出会いは中学時代。
彼女は探偵見習いを自称して生徒たちの依頼を請け負う少女だった。
ーーあの時、彼女がもたらした「解決」は今も僕の心に棘を残している。
大人になった今度こそ、僕は違う結果を出せるだろうか……。
背筋が寒くなる真相に、ラストに残る深い問いかけに、読者からの悲鳴と称賛続出の傑作ミステリー。           -Amazonより引用-

 気になっていた本ですが、やっと読めました。主人公の木瀬は、脅迫状が送られてくるという知人の真壁を心配して、中学の先輩である探偵・北見理花に調査を依頼します。罠ってどこに?と思いながら読み進めていくと、最後の最後に驚愕の事実が!怖ろしいです。目的のためには手段を選ばないという怖ろしさ。最後の場面、真相を知った木瀬はどちらの選択をしたんだろう?と気になります。


 今週も「最近読んだ本の話」を書くことができました。最近色んな小説が混ざった夢をよく見ます。自分の記憶とも混ざっていてめちゃくちゃですが、夢の中では小説の中のできごとが、現実に起こっている設定になっています。私の夢がこれからどうなっていくのか楽しみです。最後までお読みくださってありがとうございました。

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