見出し画像

最近読んだ本の話 vol.36

 「最近読んだ本の話」の第36弾です。夏のような暑さがなくなって過ごしやすい気温になってきました。「読書の秋」ですね。どうして秋に読書なんでしょう?暑さが落ち着いて集中できるからかな?今週も最近読んだ本を3冊ご紹介します。


1、岡崎 琢磨『Butterfly World 最後の六日間』

人型のアバター=バタフライが生息するVR空間〈バタフライワールド〉にログインしたアキは、ログアウトせず現実世界に戻らない者たちが暮らす〈紅招館〉に向かう。
アキはある事情から〈紅招館〉に住み続けたいと願うのだが、非暴力が徹底されているはずの〈館〉で住人の死体が発見される……。
現実世界とVR空間を行き来するパラレルワールド・青春本格ミステリ。
                         -Amazonより引用-

 主人公のアキは高校時代のできごとがきっかけで引きこもりになり、家から出られなくなって、VRのゲームの中に自分の居場所を見つけます。そのゲーム「バタフライワールド」では、蝶のような翅がある人型のアバターになって、現実の世界から解放されて自由に飛び回ることができます。食事や排泄の時だけログアウトするのですが、アキはずっとログインしたままバタフライワールドに居続けたいと願い、〈紅招館〉という場所に向かいます。着いた早々、そこで今まで起こったことのないような事態が発生して…。次々に事件が起きて謎は深まるばかりで、最後にすべての謎が解き明かされるまで、気になって一気に読みました。この本を読んだからきっと、空を飛ぶ夢を見たんだなあ。


2、潮谷 験『時空犯』

私立探偵、姫崎智弘の元に、報酬一千万円という破格の依頼が舞い込んだ。依頼主は情報工学の権威、北神伊織博士。なんと依頼日である今日、2018年6月1日は、すでに千回近くも巻き戻されているという。原因を突き止めるため、姫崎を含めたメンバーは、巻き戻しを認識することができるという薬剤を口にする。再び6月1日が訪れた直後、博士が他殺死体で発見された……。
『スイッチ 悪意の実験』でメフィスト賞を受賞した潮谷験の怒涛の第二作!                      -Amazonより引用-

 主人公の姫崎は、京都市内で私立探偵をしています。ある日報酬一千万円という依頼のメールが届き、依頼主の情報工学の権威、北神伊織博士の元に行ってみると、そこで驚愕の事実を知ることになります。依頼日である2018年6月1日は、すでに千回近くも巻き戻されているという。巻き戻しの原因を探るべく集められたメンバーは、巻き戻しを認識することができるという薬剤を口にするのですが、その日も巻き戻しは起こり、北神博士は何者かに殺されてしまいます。姫崎はこの謎を解き明かせるのか⁉
 同じ日が千回近くも繰り返されるなんて恐ろしい話です。姫崎が少しずつ謎を解き明かしていくのがすごかったです。登場人物のキャラクターも様々で、私は観光協会の会長のオバチャン、大岩さんが1番好きでした。いらんことばっかり言うんですけど、めっちゃ優しい人なんです。


3、鯨井 あめ『晴れ、時々くらげを呼ぶ』

高校二年生の越前亨(えちぜんとおる)は、感情の起伏が少なく、何に対しても誰に対しても思い入れを持つことがあまりない。父親を病気で亡くしてからはワーカホリックな母と二人で暮らしており、父親が残した本を一冊ずつ読み進めている。亨は、売れなかった作家で、最後まで家族に迷惑をかけながら死んだ父親のある言葉に、ずっと囚われている。
図書委員になった彼は、後輩の小崎優子(こさきゆこ)と出会う。彼女は毎日、屋上でくらげ乞いをしている。雨乞いのように両手を広げて空を仰いで、「くらげよ、降ってこい!」と叫んでいるのだ。いわゆる、不思議ちゃんである。
くらげを呼ぶために奮闘する彼女を冷めた目で見、距離を取りながら亨は日常を適当にこなす。八月のある日、亨は小崎が泣いているところを見かける。そしてその日の真夜中、クラゲが降った。逸る気持ちを抑えられず、亨は小崎のもとへ向かうが、小崎は「何の意味もなかった」と答える。納得できない亨だが、いつの間にか彼は、自分が小崎に対して興味を抱いていることに気づく。                   -Amazonより引用-

 主人公の亨は高校2年生で、父親が残した本棚にある本の背表紙だけを見て、同じ本を図書室で借りて読んでいます。週に2回、図書委員の当番で会う小崎さんは、毎日屋上でくらげ乞いをしていて、亨は少しバカにした気持ちを持ちながらその様子をそばで見ていました。そんなある日偶然小崎さんが泣いているのを見てしまった日の夜、とうとうくらげが降るのです。
 心の動きが丁寧に描かれていて、言葉にするのが難しそうなことが見事に描かれています。もしも大切な人を失った時に、読んで力をもらえそうな物語です。仲間と集まって何かをするっていうのはいいですね。もし高校生に戻れたら、もっと友達を巻き込んで積極的に動いたり、もっと相手に興味を持ちたいと思いました。それは今だってできることかもしれないけど。


 今週も「最近読んだ本の話」を書くことができました。ここのところ読むペースが落ちてきて、ぎりぎり間に合う感じになっています。連休中に進めなくては!いつもはこれから読む本をたくさん用意しているのですが、手元に1冊しかなくなり不安になって先ほど借りてきました。読もうと思って買ってまだ読んでない本もいっぱいあるんですけど、それは置いたままです。その本を読むチャンスだったのかもしれないな。また他の本に手を伸ばしてしまった!最後までお読みくださってありがとうございました。

この記事が参加している募集

#推薦図書

42,541件

#最近の学び

181,438件

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?