大前粟生『ぬいぐるみとしゃべる人はやさしい』を読んで
予約していた『ぬいぐるみとしゃべる人はやさしい』を昨日大阪 本町にあるtoi booksさんに買いに行きました❗️
どんな内容なんだろう、とすごく気になっていました。
1冊の中に4篇収録されています⬇︎
題名を見ただけでも読んでみたくなります❗️
『ぬいぐるみとしゃべる人はやさしい』 『たのしいことに水と気づく』 『バスタオルの映像』 『だいじょうぶのあいさつ』
『ぬいぐるみとしゃべる人はやさしい』
主人公は七森(ななもり)という大学生の男の子で、女の子を友達として好きという気持ちはわかるけど、恋愛対象として好き、というのががわからなくて悩んでいます。付き合ってみればわかるかもしれないと思い、同じサークルの白城(しらき)という女の子と付き合うことになったのだけど……というお話です。
七森と仲が良い麦戸(むぎと)ちゃんと七森と白城ちゃんは、同じサークルに入っていて、それが『ぬいぐるみサークル』なのですが、表向きはぬいぐるみを作るサークルなのですが、本当は他の人に話せないことをぬいぐるみに話して聞いてもらうサークルなのです。
p.22「つらいことがあったらだれかに話した方がいい。でもそのつらいことが向けられた相手は悲しんで、傷ついてしまうかもしれない。だからおれたちはぬいぐるみとしゃべろう。ぬいぐるみに楽にしてもらおう。」
私はぬいぐるみに話しかけていたことがあって、小さい頃とかじゃなくて5~6年前のことですが、その頃のことを思い出してみると、誰にも話せなかったからそうしていたんだなぁ、と思ってちょっと悲しくなりました。
p.30「ひとのこと「男」とか「女」じゃなくて、ただそのひととして見てほしい。」
「男」と「女」って分けて考えすぎていたのかもしれない、と思いました。無理に恋愛とかしなくても、人として好きと思える人と仲良くできればそれでいいかなぁ、と思えました。
七森も麦戸ちゃんも、とてもやさしくて、他の人に起こったことを自分に起こったみたいに傷ついて、しんどくなってしまって、そういう人がいるということが、そんなにも自分のこととして受け止める人がいて、そのためにしんどくなってしまっていることに、「ありがとう」という気持ちと、なんとかしてあげられないかな、という気持ちになりました。
二人を見守っている白城ちゃんが希望です。
言葉を発するということが、自分は傷つけるつもりはなくても、誰かを傷つけることになりうる、ということを忘れないように、気を付けて言葉を書いていきたいです。
他の3つの短篇も、大前さんの独特の世界が細やかな描写で描かれていて、とてもよかったです!
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