山戸結希監督作品について

唐突な映画評論はじめます。なんでだろ。

もっと筋を追ってどういう意図で映画評論することに決めたのか順を追って綴ればいいのに私はいつだって唐突(adhdだから許して)

「溺れるナイフ」「ホットギミックガールミーツボーイ」で知られる山戸結希監督のことを私は敬愛してます。思春期の女の子をメインテーマとした映像を作るのに定評がある方です。女の子の光と影をしっかり演出する力があって元気が出る。女の子を人間として見て写し出す力があるんです。

2016年あたりに放映された「溺れるナイフ」2020年今現在となっては熱愛のお二人がダブル主演された作品ってことで知られてしまったけど映画として死ぬほど完成度高い作品なので色眼鏡つけずに全人類みてほしい。すごいから。海のなかにどぼんっていっしょに入るシーン。ヤバイから。思春期に夢描いた「心中」の物悲しさとエロさが直接的じゃないのに映し出されてて鳥肌たつから。

そして、2019年放映の

「ホットギミック ガールミーツボーイ」

これは、乃木坂46の堀未央奈ちゃんが主演の恋愛映画。ただでさえ癖の強い溺れるナイフと比べても明らかに癖が強い作品なのですが、この作品はなんかいろいろ自我がぐちゃぐちゃになって印象的な作品でしたね。パンフレット無くしたの悔やまれる。

今思うと、「ホットギミック」での「コテコテの恋愛映画にアイドルの子起用」ってのは「アイドルファンのメンタルを削ぐ」センセーショナルな意図があったのかもしれないのだが、結果として堀ちゃんで良かったんだよなぁあの作品は。

「自我を持てない女の子」がイケメン男たちからモラハラ(セクハラ通り越してポルノ被害なシーンもあったぞ)受けまくるというもはや失笑すらしてしまうベタでエグイ内容なのに全くベタじゃないし不快感がそれほどなかった。エグさを感じたけど受容できる楽しくぐちゃぐちゃになれるエグさ。難解極まりない台本、螺旋階段を駆け回る演出のすごさ。私もこの作品の人物なのかもしれない って他人事じゃなく受け入れていた。エグさをセンセーショナルなものとして自己完結させず、苦しみを抱く人の救いの材料にさせる意思を持った映画でしたね(だいぶ感化されてる)

私「溺れるナイフ」は人に推奨できるけど、「ホットギミック」はなんか推奨しにくいんだよなぁ。「溺れるナイフ」は菅田将暉、小松菜奈の演技がものっすごい威力を増してたんだけど、「ホットギミック」は堀ちゃんの未熟さや純粋さ(いや、ファンの人ごめん、私も堀ちゃん好きなんだけど)をあえてそのまま写しだすことで結果としてやばいくらいエグイ映画になったんですよね。意図が真逆。

そもそも「演技経験がそれほどないアイドルの女の子がイケメン男3人に囲まれて葛藤する映画」ていうのがセンセーショナルすぎて。少女漫画原作なのに、少女漫画ではなく、青年漫画的なエグさを植え付けられるよね。かつての前田敦子のイケパラ地獄を見せつけられるのかい!くらいセンセーショナルな企画ですよ。それなのにそんなことなかったんですよ。

堀ちゃんの葛藤や闇の深さと、山戸結希監督の闇の深さがリンクしてたんだと思う。なおかつ この映画の観客の層は「アイドルファンの女オタ」「映画ファン」「アイドルファンの男オタ」という(もちろん原作漫画のファンもいるけど)、少しアンダーグラウンドなこじらせ民が中心なのは大前提なので、もはや開き直るつもりで制作されたのだろう(笑)なのでめっちゃ癖が強い。

私は女オタだが「堀ちゃんのオタク大丈夫?」て心配になった。その一方「堀ちゃんのオタクも堀ちゃんもこの映画を見て人間になれたのかなぁ」とも感じ取ってしまった。

2020年、堀未央奈ちゃんは乃木坂46の卒業を発表した。きっとこの映画が堀ちゃんのことを動かしたのだと思う。

溺れるナイフのことほとんど話してなかったことに気づきました(笑)

全体的な完成度では「溺れるナイフ」が狂おしいほど高いですし、DVDを持っているほど特別な作品です。その一方、「ホットギミック」は現物を買うほどではないものの、ネトフリで今後も課金しながら繰り返し視聴したいですね。

山戸結希監督の思想の一部になりてぇ…

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