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『死の舞踏〜恐怖についての10章〜』(スティーブン・キング)読書感想

タイトル:『死の舞踏』

著者:スティーブン・キング

訳者:安野玲

出版社:ちくま文庫


★感想

スティーブンキングにとってのホラー作品の自伝エッセイ。
参考書かと思うほど、付録に参考文献・引用した作品がある。ほとんどは作品内の台詞は引用している。
スティーブン・キングにとっては、ホラー映画を観ていたり、ホラーに関する小説を読んで、参考しているなぁと実感した。
だから、あれだけのモダンホラー作家であり、ホラー作品(小説)をヒットしている
自伝エッセイを読んでいくと、キングが今まで観たホラー映画に関しての内容で思わず吹いた。これはなかなかおもしろい話だと思う。

先ず、第一章は、スティーブン・キングがモダンホラーを目指し、いろんな映画で参考していく話である。この作品には何を書かれているのかを主観的に述べられている

第二章は、キャンプでよく話される怪談話を主とした内容であるが、これはよくホラーあるある的であり、内容からにすれば、何が怖いのかが分からない。
スティーブン・キングにとってのモンスターの意義は、フリークス(奇形)、異形、身体的異常を持つ人間のことを述べられている。
私にとってのモンスターの意義は、結論から言うと“人間”である。
人間は、欲望で生きており、特に政治家、セレブ等の有名人は悪質な行為を行っており、我々の血と金で生きているのだ。
つまり、人間はモンスターを生み出し、モンスターは人間である。
ジョン・ウィンダムの『さなぎ』に出てくる「ミュータントを警戒せよ」。ミュータント(変異体)がモンスターであれば、マーベルコミックで、スパイダーマンとハルクについて述べたとすれば、つまり、「X-MEN」は嫌いなのであろうか。

第三章は、ブラム・ストーカーの『吸血鬼ドラキュラ』では、官能的なエロスっていう感じがするけれども、ドラキュラ伯爵(吸血鬼)は下半身(性器は使えない)が死んだとしても、口腔だけで犯すのであれば、どうやって繁殖(子孫繁栄)するのか。
セックスしている吸血鬼は一度も見たこともない。
「吸血鬼」「人狼」「得体のしれない未知なもの」の三つはホラー作品として欠かせない。
そもそも『ジキルとハイド』は、二重人格の意味を表し、善と悪の二面性をスポットとして照らしている内容なので、人狼ではない。
第四章と第五章にかけての話は、やはり想像力というのは、喜びと恐怖の二面性がある。
子供は大人と違って、想像力が豊かであるため、現実上、存在しないものを迷信として信憑性のある架空のものを生み出してきた
そもそも、何故、想像から恐怖と喜びを生み出すことができるのか。
子供にとっての“恐怖”は、想像から生み出し、現実上、何かが起きるのではないかという警戒心と何も知らない未知な存在ものによって、迷信や教訓等の影響で恐怖を生み出してきた。
だから、スティーブン・キングはホラー小説の作品を生み出すのに、読むと想像上、驚愕するぐらいの“恐怖”っていうのを書き上げているのではないか。
“恐怖”っていうのは、現実上、我々が今まで経験したことのない得体のしれない恐ろしいものの存在を感知するために、そういった“恐怖”を存在しているのではないだろうか
それを考えるだけでゾッとするし、いかにも鳥肌が立つ。
恐怖っていうのは、ドラキュラ伯爵のように魅力さを感じるものである。
現実と架空との世界を錯覚するような ......催眠術でもかけられたかのように見せつけられる。
例えば、男女二人(カップルではない)で、一緒にホラー映画を観ていたら、「吊り橋効果」で、恋愛成就ができるという惚れ薬か魔法か催眠術か呪いをかけられたかのような感じになるので、ドラキュラ伯爵が対象者に催眠術をかけて、うまくコントロールさせることを共通するのだ。

第五章はラジオドラマに関してのホラー作品の解説であり、第六章はホラー映画に関してのエッセイである。
ホラー映画は大体、下ネタが多く、汚いし、グロいし、下品なものが多い。
ホラーっていうのは、単に言うと、ゲテモノだ。
『エクソシスト』はホラー映画の代表であり、怖いイメージするけど(まだ見ていない)、その『エクソシスト』に出てくる悪魔が下品なことをしているので、見ないでおこうと思った。
悪魔って、そこまで下品なことをするのか!?
ヴァンパイアと同じく上品なイメージをしていた。
つまり、上品な悪魔(ヴァンパイア)もいれば、間抜けな悪魔(ヴァンパイア)もいれば、下品な悪魔(ヴァンパイア)もいる。
ホラー映画っていうものは、想像上、どのような恐ろしいものであったとしても、その恐ろしいものをリアルに再現してみるとどうなるのか。

第七章はよくあるB級ホラー映画のあるあるかな。これはなかなか面白い。

第八章はテレビシリーズのホラードラマについて述べられている。

第九章はホラー小説のあらすじ・考察について述べられている。
気になるホラー小説は『ゴーストストーリー』『ローズマリーの赤ちゃん』である
そして、一番気になる作品といえば、やはり『ローズマリーの赤ちゃん』かな。
ロマン・ポランスキー監督で映画化されていたけれども、『吸血鬼』に出演していた女優またはロマン・ポランスキーの妻であるシャロン・テートがチャールズ・マンソンらのカルト集団に殺害された事件って、あの映画の影響でもあったのかなぁと思った。
『ローズマリーの赤ちゃん』という作品(まだ読んでもないし、見てもない)は、悪魔崇拝者のカルト集団が出てくるので、おそらく関連性があるのではないか。
その赤ちゃんは悪魔の子であれば、ローズマリーの夫がつまり、悪魔(インキュバスかサタンか)ではないだろうか。

そして、最後に第十章は映画の影響で、殺害していたり、自分の人生を無駄にしていたりすることはある。ホラーっていうのは、麻薬のように中毒性があり、人間の精神的な影響を及ぼす恐れがある。
悪い意味ではない。
メリット性があるのは、現実的に犯罪に巻き込まれそうなときに被害を遭わないために、警戒心・危機感を持つべきだとされる

これらの10章のスティーブン・キングにとってのホラー作品と恐怖について述べるっていうのはよっぽどマニアックである。
キューブリック監督の『シャイニング』は、キングにとっては、アル中の父親と子供との愛情を描かれる感動的な作品(原作では)なのに、映画(キューブリック)は、父親が子供に対し、虐待している設定となっていたので、怒ったのであろう。
『シャイニング』はキング自身の経験で、アル中の自分と父親との関係性を基づく話なのである。
この一冊分の『死の舞踏』を翻訳している訳者さんはけっこう大変だなぁと思った。
この作品のエッセイは途中からダラダラと書かれているので、正直、読むのやめようかなと思っていたけれども、スティーブン・キングのファンだし、ホラー映画(作品)が好きなので、そこは頑張って全部読んだ。
ホラーの定義は十分理解できた。


★オススメだと思うところ

ホラー作品が好みな方、スティーブン・キングのファンの方、恐怖を感じたい方


★おわりに

スティーブン・キングのエッセイは結構、長かったです。
図書館から借りてきた本なので、2週間の返却期限まで全部読めれそうかなぁとちょっと心配していたので、頑張って一気に読み上げて読破しました。ホラーに興味ある人にとっては、ホラーに関して色々、参考できます。キングのファンもしくはホラー好きな方にはオススメです。

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