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あなたの好みなんて1mmも知らないけど。

つっけんどんに言うとね、そんなこと少しも知らないけど。でも、だからこそ交わった時の嬉しさが大きいの。

でも、いい?絶対に合わせたりしないで。
それが分かったとき、私はただ虚しくなるから。あとで惨めな思いをするなら、最初から「違う」と理解していた方がいくらか気分が楽ってもんなの。

私は私を保つために、あなたとの違いを楽しんでいたい。
だから絶対に同調なんかしないで。

そうだからって否定するのはナシよ。
相手に同調しないことと、相手を否定することは別物なんだから。

「たらこと明太子みたいなもんだね」って、あなた、お腹でも空いてるの?
そう。なら、もう少ししたらお茶しない?その頃には私もお腹が空いていると思うわ。

他人に同調することを選んでいた時期は、思い返せば随分と惨たらしい時間だったわ。

なんだかね、自分が思い出せなくなっていくっていうのかな…。たとえば、お風呂に入るでしょ。でも、自分がいつもどこから洗っていたのか、どんな手順で身体を洗っていたのか、分からなくなっていくの。毎日入っているのに、よ?最後はお風呂の入り方なんて全然分からなくなってた。

信じられないでしょ?そう、信じられないのよ、自分でも。
なんでそんなことになっちゃってたのか、原因がちっとも分からないんだもの。

それなのに事実は、シャワーを出して、その後ずーっと突っ立ってるのよ。
裸にもならないで、ひどい時なんか服を着たままシャンプーしていたりね。

あのねえ、別にお風呂が嫌だったとかそんなんじゃないのよ。
2日も入らなければ頭はかゆくなるし、体調だって悪くなる。頭は「入りたい」ってずっと叫んでるのに、体がどうしても動こうとしなかった。

脳みそと神経が分断されちゃったような感覚って言ったら、伝わるかな。
いくら脳で指示を出していても、それが神経に伝わらないから筋肉が動かない。動けないし、83+76も計算できない。あまつさえ文字も読めなくなっていたの。

「それはゲシュタルト崩壊じゃないか」って?うーん…ちょっとだけ違う気がするのよね。ゲシュタルト崩壊って、見つめているうちに「こんなんだったっけ?」って感じてくるあれでしょ?

私のは、モノ自体を受け入れようとしていなかったっていうか…なんて言ったら良いんだろう、視界に入った瞬間から、理解しようとすることを拒否していたのよね。

理解しなくちゃと思えば思うほど、意識が違う方に飛んじゃうっていうか。

右に左に意識が飛んで、家の中で静かにしていただけでも体のあちこちを家具にぶつけまくって、アザだらけになってた。

そんな日常を繰り返してるとね、他人のことまで気が回らなくなって、「なんとかしなきゃ、普通にしてなきゃ」って焦ってくるの。「周りに突き放されたくない、みっともないなんて思われたくない」って、自分で自分を追い詰めるっていうのかな。

追い詰めすぎると、その内とんでもないことをしでかすのよね。
他人に迷惑をかけ始めたり、支離滅裂なことを口走ったりする。昨日は白って言い張っていたものを、翌日になって黒って言い張るみたいな。

なんでそうなっちゃうと思う?記憶しておくための脳みその部分が故障してるからよ。昨日の記憶がどっかへ飛んでっちゃうから、無責任な発言がどんどん増えていくの。

冷静になった今ならちゃんとわかるけど、あれって相当迷惑なのよ。
「昨日言ってたことと違うじゃん」っていう視線を投げられても、本人は昨日の記憶がないから、「なんで冷たくされているんだろう?」って見当違いな方に関心が行っちゃって全く気づかない。

笑っちゃうわよね。一言も言葉を交わしていないのに、認識のすれ違いが起きているなんて。いえ、ちっとも笑い事じゃないんだけど。

ごめんごめん、なんの話だったかしら。
ああ、そうね、あなたの好みの話だったわ。

同調のない好みの一致は快感に近いものがあるのよ。私はあなたを否定したりしない。あなたを制限したりもしない。あなたの全てを受け入れるなんて崇高なことはしないけれど、それでもあなたを拒絶なんかしたりしない。

私は快感のためにあなたを自由にするの。
だからあなたの好みなんか1mmも理解しようとはしないけれど、それでもどうか、ねえ、お願いよ、私のことを嫌いにならないでね。

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という夢を見ました、っていう話です。
女性がいきなり語り出してんですもん。そりゃ驚くよ。

すんなりぐっすり眠れる方法を探しています。

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