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詩と詩と思しきものの観察及び観測

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詩と詩と思しきものを観察または観測したものです。
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2021年10月の記事一覧

葬祭[詩]

葬祭[詩]

 色付いた並木道を抜ける
 日曜の朝は空気がかろくて澄んでいて
 ああ これは祭りだ
 昨日の雨は落ち葉を湿らせ澱を流して
 街を覆っていたフィルムが剥がれてしまったようだった
 ああ これほどの祭りの日はないだろう
 吸った空気が冷たくて
 肺の奥まで青い秋になった

↑じつはちょっと文字の色青っぽいの。

鹿の骨[詩]

鹿の骨[詩]

 夕方 川沿いの砂利を歩いて骨を拾った
 シカの骨に違いないと思った
   シカの骨だね
 川の音で掻き消えているのに
 あなたがそう言ったのがはっきりと分かった
 私はうなずいて骨を遠くに放った
 夕の川沿いの薄闇の中 骨はゆるく弧を描いて川底に沈んだ

ヒート・アイランド[詩]

ヒート・アイランド[詩]

 浜辺を波が 滑らかに走っている
 夜の入り口と 夕焼の最後が適当に混じって
 
 紫色になっていた
 
 水平線が溶け出している 路面の熱
 空で肺をみたす つややかな夜が来るまで
 凪を待って 街灯の一歩先を歩く

無題[詩]

無題[詩]

ここにはなにもない
 おなかへったね
 空虚がこちらをみている

ゆびさきまで神経がかよう
 どっとでこうせいされたわたしと
 その他 のさかいめをうしなう
 じぶんでうごかせないもの
 と
 触れられないものと
 みえないものの3分子が
 ひたすらうしろでまわっている

うつわからばけものがはみでている
 贅肉?
 うでのながさがたりない
 ずる とやわらかな身が器をでる
 それだけ

くさはら

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