同質の人たちが増えすぎる功罪
企業において、ダイバーシティが進まない背景として、治部れんげさんは、“企業がまだマジョリティ層を採用できていたため”であるとしています。それまで活躍してきた人材と同様の特性を持つ人材にこだわる企業はまだまだ多いものです。例えばフルタイム勤務可能な若手にこだわって採用を進める等です。けれども、ここは少子高齢化の影響も出てきて、少しずつ多様な人材の活用が進む兆候が見られるように思います。
newspicksの記事より「ダイバーシティ&インクルージョンは「常識」」
もう一つの背景として、マイノリティが組織で力を発揮できにくく、少数派で固まってしまい、力を出し切れずにいるということもあるのではないでしょうか。30%を超えないと、組織の意思決定に影響を出せないという考え方もあるのです。※
※ハーバード大学の社会学者であるロザベス・モス・カンターが提唱した「黄金の3割」理論
力を出し切れなかったマイノリティは、自身が力を発揮できる環境へ移るため、常にマジョリティのみが力を発揮し続けてしまうということもあるでしょう。
皮肉なことに、ある組織ではマイノリティである人が、別の組織ではマジョリティとなって、普段受けている圧力からか、無意識にマイノリティを居心地悪くさせているということもあります。男性が多い職場で居心地の悪さを感じている女性が、地域活動では女性だけで活動を進めて男性が参加しにくい雰囲気を醸成してしまうという事例です。これらの事象にも、気づいている人が増えているように感じています。
企業においてても、地域においても、気づいた人が多様な人が過ごしやすい環境づくりを進めることと、マジョリティ側に入った時に無意識にマイノリティに居心地の悪さを作っていないかを意識すること。両方の施策が大切だと感じています。個人が感じた違和感をそのままにしないこと、一つのアクションを起こすことから、ではないでしょうか。