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ダイバーシティは不要?中小企業の事情

日本の人事部の調査によると、従業員が100名以下の中小企業においてダイバーシティが必要だと回答した企業は63%です。従業員5001名以上の大企業ではほぼ100%が必要と回答している結果と比較すると、歴然とした差があるのです。

中小企業がダイバーシティを必要としない理由として、「均一的な環境が経営しやすいと考えている」「全員が同じ方向を向いて一丸となるべきステージ」等が挙げられています。大企業では「人材の確保」「イノベーション」「生産性」等を理由に、ダイバーシティを推進している状況とは全く異なり、“ダイバーシティは役立たない、多様な人材の活用は会社の士気を下げる”などと考えられているのではないでしょうか。


長期的に考えると、多様な人材の活用は企業の信頼度を向上させ、新たな人材確保につながるメリットがありますが、多様な人材が入った時の人材管理の難しさや社内への影響への懸念のほうが大きいのでしょう。中小企業では人事を一人で担当していたり、他の業務と兼務していたりすることも一般的で、ダイバーシティ部署が存在する大企業とは業務の進め方も全く異なります。そのため、大企業のやり方をそのまま伝えても、問題解決にはならず、かえって企業規模の違いによる難しさを知って活用を諦めるリスクがあるのではないでしょうか。伝え方には注意が必要です。


一方で、中小企業の中でもダイバーシティが推進されている企業の場合は、経営者がメリットを知ることで一気に全社にその認識が浸透しています。経営者が集まる中小企業の団体で事例を知ることや、たまたま活用した人材の活躍によって、それまで採用していなかった層、例えば女性や障害者、離職歴がある人材、異業界出身の人材等の活用に目を向けて推進しているというケースです。団体への働きかけ、先進事例を知る経営者への働きかけが、中小企業へダイバーシティを推進を後押しする一歩になるのではないでしょうか。


参考:神奈川県中小企業家同友会ダイバーシティ委員会

   神奈川県中小企業によるSDGs活用事例集