見出し画像

ミドルのキャリアと知能の変化

「37、38歳くらいから、一歩遅れるようになった」アクション俳優として活躍する岡田准一さんが、TV番組でおっしゃっていた言葉です。イメージでは一歩先迄動けているのに、実際は遅れるようになってしまったというようなこと。それを角度を変えたりしてカメラから見えないように工夫しているというのです。対談相手の林修先生は「体力は落ちるけれど、知恵でカバーできる」と、40代以降の生き方についてお話をされていたことが印象的でした。


キャリアの理論でも、ミドルの体の変化については触れられています。例えば知能については、結晶性知能(crystallized intelligence)と流動性知能(fluid intelligence)があり、経験、教育や学習などから獲得していく結晶性知能は加齢による影響は少ないが、情報収集や処理スピードを指す流動性知能は彼によって下がっていくというものです。

自分のイメージから実際の行動が遅れるのは、情報獲得やスピードの衰えからきているのかもしれません。けれども、長年の知恵でそれらをカバーする行動を考えることができるということではないでしょうか。

参考:健康寿命ネットより「高齢期における知能の加齢変化


成人発達理論においては、能力レベルについて整理されています。「機能レベル」と言われる他者の支援なしに発揮できる能力は加齢によって成長が鈍化します。一方で、「最適レベル」と言われる他者や環境からのサポートによって発揮できる能力は加齢によっても成長を続けていくのです。

誰を巻き込むとこの仕事は上手くいきそうか、過去のどの経験が代用できそうか等を考えて組み合わせれば、新たな経験をさらに重ねて成長を続けていけるということではないでしょうか。

参考:加藤洋平「成人発達理論による能力の成長」(2017)


自分のイメージと実際の行動がズレた時のショック、イメージ通りに仕事が覚えられなくなった時の衝撃等、ミドル世代になるとそれまでと異なる出来事に戸惑う方が増えていきます。同時に体調の変化や、親の介護や子供の成長等のライフイベントの変化を伴うこともあり、混乱することもあるのではないでしょうか。

けれども、見方を変えると、それまでの役割から解放されて、本来の自分がやりたかったことに気づく機会かもしれませんし、経験を再統合してリブランディングする時期なのかもしれません。

キャリア相談や講座の中では具体的にお伝えしています。