見出し画像

キャリア相談と、健康経営の関係

働く女性の更年期離職の調査によると、更年期症状が原因で離職した40代、50代の女性は、高位推計で45.9万人とされています。そして、離職理由は、仕事を続ける自信がない、働ける体調ではない、等の理由です。

参考:JILPTリサーチアイ 第70回 働く女性の更年期離職

更年期とは、閉経前後の約10年間に女性に現れる体調の変化を指し、めまいやほてり、頭痛などが挙げられます。一般的には40代後半から50代前半を指しますが、人によっては40歳前後から症状が現れる場合もあります。

企業にとって注目すべきことは、この時期が、女性がリーダー職や管理職に就く時期と重なるということです。実際に、個人のキャリア相談や、企業内のキャリアコンサルティングでは、体調が心配でリーダー職への挑戦をしない方や降格を考える方が少なくないのです。

管理職を辞退する理由に、“自信がない”というものが上がった時は、体調との両立問題が含まれている可能性があるのです。けれども、女性特有の症状は永遠には続きません。病院の受診等の有無にもよりますが、緩やかに改善されていくことが一般的です。その期間に、休暇や在宅勤務の活用などがあればグッと楽になる場合もあるのです。

とはいえ、更年期症状と仕事の両立問題には、複雑な個人事情があります。加齢による体調の変化を周囲に知らせたくないという思いや、知らせることによって不利益な処遇を受けたくないということから、開示しない場合もあるのです。健康問題は、個人的な事情でもあるからです。

個人のキャリア相談や企業内キャリアコンサルティングが有効な理由は、健康問題が、個人的な事情であることが大きく影響します。健康相談ではなく、まずはキャリアの相談として、外部の専門家と接点を持つ場合が多いのです。私たち専門家は、豊富な事例を元に、個人へのキャリア継続のアドバイスとリファー先のガイド、企業への環境整備のアドバイスを行います。

管理職の皆さんへ、女性のホルモンバランスの変化や職場環境の整備について講義をした際には、「これまでこのような話を訊く機会がなかった(男性)」「自分は症状が軽かったので、重い人への理解が進んでいなかった(女性)」等の感想がありました。


企業においては、従業員の健康増進を経営戦略に入れる事例が増えています。女性の健康管理に関しては、管理職が知識を習得しておくことと、個別相談できる窓口を創設しておくこと、本人の申し出があれば利用できる、休暇や在宅勤務の制度を整えることが効果的だと言えるでしょう。


外部専門家としてセミナーや個別キャリアコンサルティングを担当しています。