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擦過傷

最終電車に飛び乗った。

行き先なんて決めていない。

残金160円の小銭入れとイヤホン、それから携帯。

どこにも行きたくない一心で
どこかへ向かった。

あの人になりたい、
あの人みたいに愛されたい、
あの人あの人あの人。あの人。

そんなあの人が泣いていたのだ。

衝撃だった。僕の人生はそこで終わった気がした。

失くしたものは1つもない。

でも、手に入れたものも1つもない。

プラスもマイナスもない人生に
羨む心だけを散らした。

僕は僕を好きになれない、
あの人の隣には僕の好きな人、
僕の隣に寂しさとそれから______

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