プロジェクトマネジメント<費用計画(コストマネジメント)編>の備忘録
過去の勉強ノート(PM資格取得)をもとに、備忘録として作成
→プロジェクトは計画した時点で80%は完了している
以下の「費用計画(コストマネジメント)」部分について記載してます
1.費用計画
1.1.コスト見積
【INPUT】プロジェクトスコープ定義書・WBS(スコープ定義のOUTPUT)、要員計画(タイムマネジメントのOUTPUT)
上記INPUTをもとに、各アクティビティで発生するコストを算出し、工程ごとの見積を作成する。
【OUTPUT】見積(工程別)
1.2.予算設定
【INPUT】見積、スケジュール(タイムマネジメントのOUTPUT)
上記INPUTをもとに、どれくらいの費用がいつ消費されるか(コストパフォーマンス)のベースラインを作成する。
この時点で、リスク(情報不足による見積精度の低さなど)を見込んでおくことが肝要。(リスクマネジメントについては別途記載)
リスクに対する事前の対策としては、以下が挙げられる。
<契約による対策>
[1]分割契約
要件定義と外部設計を委任契約にし、大枠が決まってから(仕様が固まってから)一括請負契約にする
[2]再見積
事前に再見積の可能性を言及しておく(時期や前提条件も合意すること)
<予算による対策>
[1]CPM(Critical Path Method:クリティカルパス法)
重要なタスクを特定し、リスク発生時に想定されるコスト分を上乗せする
[2]COCOMO(COnstructive COst MOdel:ココモ法)
開発規模の増加に反比例して開発生産性は低下することを考慮し、生産性をリスク分で調整する
★予算による対策(リスク込みの計画)を立てた場合、リスク込みのコストのままでスケジュールを引くと、プロジェクトメンバはリスク込みの工数・スケジュールで作業をしてしまい、実際にリスクが具現化した時にはすでにリスク分のコストを食いつぶしているケースもある。
→プロジェクトメンバ向けには、リスク無のWBSを作成し、本来の計画どおりのコスト・スケジュールで作業してもらう必要がある
【OUTPUT】コストパフォーマンスベースライン
2.定量情報取得(総合編:プロジェクト実行部分)
【INPUT】見積(工程別)
上記INPUTで定義している指標値について、実績値を収集する。
・規模:成果物の出来高
(設計書は頁数・文字数、ソースはステップ数、試験は項目数など)
・工数:成果物作成にかかった工数
★見積の前提(レビュー工数含む/含まないなど)の考慮が必要
【OUTPUT】定量情報
3.コスト・コントロール(総合編:監視・コントロール部分)
【INPUT】コストパフォーマンスベースライン、定量情報
上記INPUTをもとに、予算と実績を比較(差異をチェック)し、問題があれば原因究明および改善を行う。
差異チェックの方法としては、EVM(Earned Value Management:アーンドバリューマネジメント)が有効である。
<EVMを構成する計測値・算出値>
[1]PV(Planned Valuse:計画予算)
特定の時点までに完了すべき作業の予算コストであり、これを基準(ベースライン)とする。
[2]EV(Earned Value:出来高)
特定の時点において完了している作業の予算コストであり、PVと比較することによりスケジュール差異が検出可能。
[3]AC(Actual Cost:実際に発生したコスト)
特定の時点までに投入された(実際に発生した)コストであり、EVと比較することによりコスト差異が検出可能。
[4]BAC(Budget at Completion:完成時総予算)
プロジェクトに必要なコストであり、予算設定時に算出した数値で、EVを算出する際の根拠となる。
[5]SV(Schedule Variance:スケジュール差異)
SV=EV-PV
マイナス値の場合、計画より遅延している。(週1回は算出)
[6]CV(Cost Variance:コスト差異)
CV=EV-AC
マイナス値の場合、予算より超過している。(週1回は算出)
[7]SPI(Schedule Performance Index:スケジュール効率指数)
SPI=EV÷PV
1より小さい場合、計画より遅延している。(週1回は算出)
→原因究明と対策が必要(週単位で改善可能な場合は様子見)
★体調不良による休暇や、着任時期のズレなどはスケジュール遅延になりやすいが、外的要因(ユーザQA待ちなど)による遅延の場合は、即対応が必要
[8]CPI(Cost Performance Index:コスト効率指数)
CPI=EV÷AC
1より小さい場合、予算より超過している。(週1回は算出)
→原因究明と対策が必要(週単位で改善可能な場合は様子見)
★工程の初動や、新規参画要員などはコスト増になりやすいが、残業増加によるコスト増の場合は、即対応が必要
[9]ETC(Estimate To Completion:残作業コスト予測)
ETC=(BAC-EV)÷CPI
過去実績をもとに完了までに必要なコストを算出する。(適宜算出)
[10]EAC(Estimate At Completion:完了時コスト予測)
EAC=AC+ETC
過去実績と残作業コスト予測よりプロジェクト完了時の総コストを算出する。(適宜算出)
★上記[7][8]の対策要否判断の材料となる
[11]VAC(Variance At Completion:完了時コスト差異)
VAC=BAC-EAC
プロジェクト完了までの当初予算と予測コストの差異を算出する。(適宜算出)
★プラスでもマイナスでも大きくブレる場合、顧客と調整が必要
【OUTPUT】予実差異分析結果
4.事後対策
【INPUT】予実差異分析結果
INPUTより、小手先の対応(改善策)では対応しきれない(プロジェクト完了時のスケジュール遅延・コスト超過が確実に見込まれる)場合、事後対策として、以下を行う。
<ユーザ起因の場合>
スコープの変更(機能追加、事前の情報不足など)によりコスト超過となる場合、ユーザと追加費用の折衝を行う。コスト追加が認められた場合、コスト計画の作成をやり直すことになるため、管理面の手戻り費用についても考慮すること。
<開発者起因の場合>
スキルアンマッチや要員追加によるコスト超過となる場合、体制の見直し(スキルマッチする外注への依頼、単価が安いメンバとの交代など)を行う。
★テスト工数の削減だけは、絶対やらないこと
→あとから不具合対応した方が、確実にコストプッシュする(トータルでどうなるか、俯瞰的に対処すること)
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?