適当な言葉から架空の商品を作ってみた話
今回は言葉のイメージから架空の商品を作ってみるという実験の話を書こうと思います。
突然ですがみなさんは、『音相』という考え方をご存知ですか?
音相とは、言葉の音の響きから感じるイメージや雰囲気のことです。例えば『赤』と『レッド』では、同じ色なのになんとなく印象が違いますよね。
この音相という考え方を使って、何か面白いことができないかと考えました。
そこで注目したのが商品やキャラクターの名前です。
商品やキャラクターの名前って、そのものが出来上がった後に付けられていることが多いんじゃないかと思ったんですね。「新しいおにぎりができたから、これが売れやすくなる名前を考えよう」とか、「マスコットキャラクターの絵が完成したから、可愛い名前を付けよう」とか。
それじゃあその逆のアプローチで、名前からものを作ってみたらどんなものが出来上がるんだろうと思い、実験してみることにしたんです。
『ぽもな』 『しゅっつりん』 『ぶもーしっか』
という意味のない3つの言葉を作って、それらの言葉から浮かび上がるイメージをいろんな人に聞いていきました。
例えば『ぽもな』がどんなものっぽいかについて聞いてみると、
「和菓子っぽいもの」というイメージを思い浮かべる人がいたり、
『しゅっつりん』がどんなものっぽいかを聞いてみると、
「洗剤」というイメージを思い浮かべる人がいたりなどなど。
こんな感じで3つの言葉から浮かび上がるもののイメージを、どんどん聞いていきました。
そして、みんなから出たイメージをまとめた図が↓こちらです。
『ぽもな』という言葉のイメージからは、「甘い」とか「柔らかい」といった抽象的なイメージを思い浮かべる人がいたり、「幼児向けおもちゃ会社の名前」みたいに具体的なイメージを思い浮かべる人もいました。
『しゅっつりん』という言葉からは、「便秘解消薬」や「除毛剤」といった薬品関係のもののイメージを浮かべる人がいたり、「ドイツの集落」や「ドイツ人」といったドイツっぽい印象を感じる人もいたようです。
面白かったのは、どんどん出てくるそれっぽいもののイメージに対して、みんなが「分かる分かる!」と頷いていたことでした。
その場にいた多くの人々が、お互いが言葉から感じた『それっぽさ』を共有していたのです。
やっぱり、音相ってすごい!
今度は、みんなが出したもののイメージが、どうやって浮かんだのかについて聞いていきました。
すると、
すでにある言葉の一部や、擬音語からイメージを連想していたことが分かりました。
さっき、『しゅっつりん』を洗剤と言った人がいましたが、実際に洗剤系商品の名前を調べてみると、『リン』がつく名前のものがたくさんあることが分かったんですね。
普段何気なく見たり聞いたりしていた言葉ともののイメージが、頭の中でしっかり結びつけられていたことが分かりますね。
最後に、みんなから収集したたくさんの言葉のイメージを、実際の物として出力していきます。
今回は薬品関係のイメージが多かった、『しゅっつりん』を実際に作ってみたものをいくつか紹介しようと思います。
↑虫刺され薬のしゅっつりん
↑便秘解消薬のしゅっつりん
↑男性用除毛剤のしゅっつりん
どうですか?
『しゅっつりん』ぽさ、感じましたか?
後日、実験に参加してくれたみんなに、実際に作ったたくさんのそれっぽい名前のものを見てもらいました。
「分かる分かる」
「そうそうこんな感じのやつ!」
実験を通してみんなの頭の中で生成されたイメージが、実際のものとしてこの世界に出力されました。
今回の実験では、言葉のイメージからものの外観だけを作ってみましたが、言葉から思い浮かぶ機能や物語のように考え方を応用すれば、普通に考えているだけでは思い浮かばなかったようなアイデアがたくさん出てくるようになるかもしれません。
皆さんもよかったら是非一度、『名前から何かを作る』という発想法を実践してみてください!
最後に、今回の実験の様子をまとめた3分半の動画もあるので、よかったらこちらも見ていただけますと幸いです。(実際に作った洗剤のしゅっつりんや、しゅっつりん以外の名前のものもたくさん紹介しています)
それでは!
実験を行ったチームのメンバー(宮田、佐野、藤岡、倉橋)
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