たかが皿洗い・されど皿洗い

昨日はボランティア初日だった。「皿洗い」担当に向けての10ステップくらいのマニュアルが事前に送られてきたから、2度読む。

ふむふむ、右手で食器をゆすいで、左手でラックに並べる。使ったフォーク類は白い容器に浸し、きれいになったら黒い容器に移す。ゴミは。。。と読んだところで、「え〜い、行って実際に見ないと具体的に頭に入らない!」となんとなく全容を掴んだところで良しとする笑。

よく考えてみると、私はアルバイトを含め飲食業で働いたことがない。強くは反対しなかったものの、父があまり飲食業でアルバイトするということに賛成しなかったのもあって、学生時代のアルバイトは家庭教師やきょうこに教えてもらった販売の仕事くらいだった。だから、大学の時、みずほが喫茶店でアルバイトしてるのは、すごく憧れてたんだよ、かっこいいなぁって。今になって言うけど。みやはどんなアルバイトしてたのかな?それともお嬢さんだからバイトはしなかったんだっけ?

とにかく、そう言う意味ではレストランの裏方という私にとっては「未知の世界」へ足を踏み入れたことになる。これにプラスして、NZでの初めてのボランティア。別にドキドキはしないけど「どんな感じなんかな?」という気持ちはあった。

お店の名前は「Everybody Eats」

レストランの趣旨は、①余剰食品や寄付による食品でほぼ賄うことによりフードロスを少なくする、②スタッフはシェフなど一部の人を除きほぼボランティアで賄う、③メニューは毎日日替わり(前菜・メイン・デザートの3コース)。一種類だけ。余剰食品からメニューを考えるシェフはすごいね。日々のメニューがインスタで知らされるから行きたいと思えばその日のメニューを見て決められる、④お客さんは自分が払いたい金額を払う。1食分作る経費は10ドル(1000円ほど。NZの物価を考えるととても安い)。だから10ドル払う人もいるし、生活困窮者は払わなくてもいい、反対に他の人の分も払える余裕のある人はどれだけ払ってもいい。家族で来れば生活に困っている人でも、温かく栄養のある食事が子供も含めてみんなで無料で食べられるわけだ。ちなみに私が以前にお客さんで行ったときは、20ドル・30ドル払ったし、娘が友人と行った時は、40ドル払ったといってた。これは個人の生活状況に鑑みて払えばよくて、携帯から払えるのでそれぞれがいくら支払ったかも誰にも(レジの人)知られることはない。素晴らしいシステムだ。⑤テーブルも大人数で食べられるような仕組みになっているから、自然に他の人とテーブルを囲むことになる。隣になった人と話すのもよし、一人で食べるのもよし。

Everybody eats. レストランの名前のように「みんなが食べられる、そしてみんなで食べよう」という思いが溢れている。その主旨にすごく共感する。そしてレストランがうちから徒歩5分という便利さなので、これはボランティアするしかないっしょ!

ということで最初はfood prep (食事の準備)に応募した。午後3時から6時くらいなので時間的にはいいかな、と思って。でもこれがなかなかボランティアの割り振りが合わなく「来てください」という返事(ウェブ上で)にならなかった。

では、皿洗いなら、ということで応募した。この歳になって皿洗いかあ、というちょっとした自負もかなぐり捨てて。。。そしたら「即お願いします」となり昨晩から始まった。

レストランは午後6時から8時までの2時間営業。5:30に行くとボランティアの人がチラホラ。「初めてです」といってフレンドリーに挨拶すると、「よく来てくれたね」とのフレンドリーな返答。早速名札をもらい(お互いの名前がわかるように。これもいいシステムだ!)キッチンに入る。

当日のシェフ(Tristin)がいて、ざっとシステムを説明してくれる。そしてヨーロッパの一流店で修行をして、NZに帰ってきてちょっと違うことをしたかったからこのお店で働くことにした、と彼の自己紹介も手早くしてくれた。私が日本人だというと「日本人は仕事が早くてキレイだから、日本人の人と働くのはすごく好きだ」と言ってくれた。素直にすごくうれしい。「何人だから」という考えはあまりしないようにしているけど、こういう肯定的な見方は嬉しい。これまでTristinと関わってきた日本人の人たちに感謝する。

「日本人」ということで、お皿洗いが担当だけど、ケーキを切り分けることを先にやってくれる?と頼まれる。1メートルx 50センチくらいのケーキを50人分くらいに切り分ける。。。「え?私?」と思ったけど「はい!やります!」とやる気を全面に出し(笑)引き受ける。

日本だったらキチキチに均等に分けなくっちゃと緊張するけど、何しろそういうところはおおらかなNZ。Tristinも適当に分けてくれればいいよ、と言ってくれたのでちょっと気が楽。

でも、でも、でも、やっぱり大きさがまちまちになっちゃった〜涙。
「きちんと仕事をこなせない日本人もいるんかな」とTristinの中の評価が落ちませんように。。笑

そのあとは、使用済みのお皿がどんどん運ばれてくるので、皿洗いに終始した。昨晩の私のパートナーはMarkさん。同年代の優しそうなおじさま。週3回のボランティアをもう2年半続けているのだとか。偉い!

一つひとつの手順を教えてもらいながら、やっていく。システム化されているので動きやすいしわかりやすい。「マニュアル2回読みました!」と自己アピールすると「平均の人より2回多く読んでるね!」とジョークで返され一気に雰囲気が和む。

5時半からレストランが閉まって後片付けの8時半まででボランティア終了。全員で20人以上のボランティアがいたと思う。キッチンのお手伝いや、盛り付け担当、フロアでのウエイトレスさんたちなどなど。リタイアした人や、仕事が終わってきてる人、学生さんもいそう。週日の夜にこんなふうに自分の時間を役立てようといる人がいるということが素晴らしい。以前にも書いたと思うけど、貴重な時間の過ごし方だ。

みんなこの近くで働いていたり住んでいたりする人。前述のように年齢もバラバラ。NZ人ももちろん、中国系の人、スペイン人、そして私のような日本人。みんなが気持ちよくキビキビ動くのは参加しててすごく気持ちよかったし、心底楽しかった! Everybody eats, Everybody works!だ。

NZに移住して4ヶ月、そろそろ地域・コミュニティーに入っていきたい、と思っていたので、これはいい足掛かりになると思う。一気に親しくなれなくても、同じ思いを持っている人たちと、場所と時間を共有できるのはとてもうれしい。

そして余談だけど、昨日が私の出勤日?初日だから、と娘が豚の生姜焼きを作って送り出してくれた。そして犬の散歩がてらレストランまで一緒に歩いて行ってくれた。娘が小さい時に学校に一緒に歩いて連れてった時のこと思い出す。それが逆転したみたいね、と笑いながら。

家族のサポートもとっても温かくありがたい。いい日だった。


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