ある面接の日

ある日の面接の直前、履歴書に貼る証明写真がなかったため、駅前の証明写真機で撮るためボックスに入った。
サイズや色を選択している最中に、足音的にも独り言的にもおばあちゃんの傘がガツっと機械にぶつかった音がした。
撮り終えたので「どうぞ~」と声をかけると、
「今朝これで撮ったらサイズが違うかったから、ここにかけて電話してるねん」と言いながら、その女性は携帯で電話が繋がるのを待っていた。
私は最初にサイズ選択があったけど、しなかっただけなのではないかなぁと思いながら「そうですか」と、私は写真の印刷待ちをして、出てきた写真を見たら、大きな傷がついていた。
使える部分もあるし、問い合わせるかどうか迷ったが、その女性に「私の写真にも傷がある」と言って、私もボックスに貼られていた番号に電話をかけてみた。
「私の繋がったら、電話かわったるわ、なかなかでぇへん」とその女性は言った。
私のも繋がらない。もう問い合わせは諦めて、写真を切って貼る作業をしていたら、その女性が「ペン貸して、急いでるんやろ、ごめんやで」という。
とりあえず貸したら、証明写真の機械に書かれた番号をメモしたようだった。
「ありがと、今から面接やろ、受かりますように」と言ってその女性は去っていった。
ドラマかCMで、その年輩の女性はこれから受ける会社の社長か会長の奥様か本人かみたいな展開がありそうだなと思った。

写真についた傷の図

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