独りきりのララバイ/サノトモキ

独りきりのララバイ

地下鉄のホームで 誰もの足音が今
満員電車に 吸い込まれてく
埋もれやしないと 勇んでた僕も
いつかそこへ 消えてった

一人きりだった 誰かと笑っていても
気休めだった 何をしてても
プロローグのまんま 過ぎ去ってく今日に
潰されてた 真夜中

とっくに殺めたはずの「願い」が
まだ血液に溶けて 呼吸している
ひとり夜の六畳に 耳を澄ませば
「君」が打ち鳴らす鼓動が また聴こえている

君の方へ 僕の方へ
また揺らいで 傷ついてくけど
この場所で 終わるなんて
許せなくて 君を探していた


鏡の自分が 夢見てたもんじゃなくても
僕のことなど 誰も見てなくても
その葛藤を 胸に焼べるよ
手がかりなら そこにある

"夢"など呼べる代物がなくても
ちっとも問題はない
明日が今日より少しだけでも
自分に素直であれたら

痛みを燃やした 遺灰の中から
それでも残った何かを 抱えていくんだよ
涙が最後の火を 消し去ったらほら
改札を今飛び出て 胸踊る方へと

笑えないね 自棄になって
まあいいやって 自分を捨てても
青くたって 無様だって
笑いたいね 人に笑われても


もう探すのはやめよう 正解などありはしないんだ
ただできるのは 一つひとつ
目の前のちっぽけな「願い」を
つかんで 引き寄せ 叶えていく
それだけ


変わりたくて 変われなくて
また揺らいで 傷ついてくけど
この場所で 終わらないぜ
また行こうぜ さあ行こうぜ

君の方へ 僕の方へ
また揺らいで 傷ついていくよ
戻れなくていい 消えちゃったっていい
また行こうぜ さあ行こう

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