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サブカル大蔵経112 山田芳裕『望郷太郎』①②(講談社)

    山田芳裕。

 この30年、私の周りの先輩や友人で普段漫画の話をしない相手が、ふと漫画の話になると、山田芳裕を勧めてくれた人が多かった気がする。ある人は大正野郎を、ある人は泣く男を、ある人は度胸星を…。私が好きな人たちは、山田芳裕の作品を好きな人たちだった。いつの間にか私も人生とともに山田芳裕を読み続けてきた。

『へうげもの』が終わり、へうげロスになり、『仕掛暮らし』を挟み、『望郷太郎』である。

 山田作品は無邪気な丸目顔、実直な一文字目顔、したたかなタレ目顔の3つが思い浮かぶ。無邪気系は『デカスロン』『大正野郎』『へうげもの』。実直系は『度胸星』や『へうげ』の家康。そしてしたたか系は『へうげ』の有楽斎や今作の主人公だ。

ただ生かされ…愛玩される俺はまるで……まるでペットじゃないか?!もしや…俺を人とみなしていないのか…。

人の世界は500年を経て……埋葬を行う以前まで戻ってしまったのか……

これだけ贈り物が過剰になって…

彼らにとっては…「労働」自体が初めてだからきついだろうが…俺には思ったより楽な仕事量だ

一体 文明の進歩とは 何なんだ……どこでどう変わってしまったんだ……?

 このストーリーは、未来だが、過去につながる。

 『へうげもの』は、過去だが、未来につながる。

 結局、山田芳裕は、今を撃つ。なぜ、こうなってしまったのか…!?と。

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