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サブカル大蔵経110 藤子・F・不二雄『エスパー魔美』①〜⑨(小学館)

 こども漫画のトップがリアルな性と悪を描いた問題作。3巻にスネ夫、のび太、しずか、ドラ。4巻にスネ夫、ジャイアン。6巻にドラが下半身ポスターで登場する。つまり魔美たちはドラえもんと同じ世界に生きている可能性を示唆。その隣りで起きる犯罪。その境目の無さに、こども漫画と大人漫画というこちらの勝手な分別が破壊される。漫画にこどもも大人もない宣言。

 それにしても、同級生や隣人のストーカー、いたずら電話、盗聴、応援団の腐敗と暴力…。浮浪者、監督、芸術家、評論家、マスコミ、詐欺、強姦、放火、殺人の犯罪者たち…。実は、魔美の一番の超能力はこういう問題者を引き寄せる力なのでは?と思わせる。

 そのリアルな事件もファンタジーな部分も、すべて秀才デブ・高畑が引き受ける。この設定も不思議だ…。

高畑さんのいうとおりにしてれば、まちがいないんだもの(2巻p.133)

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〈一巻〉

聞いてんの?さっさとあるきなさいよ!!

魔美はいつもあぐらをかく。男っぽいセリフ。ジェンダーへの抵抗。

高畑さんをかけるわけね。うけましょ!!

最初だけ出てきたライバルへの言葉

あいつはけなした!ぼくはおこった!それでこの一件はおしまい!!

評論家へのパパの言葉

〈二巻〉

これからはずっと親友になろうな、チンポコ!

F先生…

〈三巻〉

部分テレポーテーションでおしっこだけ幸子さんの中に転移させたのだ。

同性にも容赦ない

陰気さんはちょっとおかしいといううわさが広まってあれから閉じこもりっきりなの。気の毒なことしちゃったなあ。

 魔美の各話の結末はかなりダーク

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〈四巻〉

おまえの家は呪われている。

いたずら留守番電話

おい!!本気か!?まじめにはたらけばしあわせになれるなんて、ほんとうにそう信じているのか。うそっぱちだ!!

誰の叫びだ?

高畑さんこんちは。高ちゃんてば!!

ドラのスネ夫ばりの酒乱ネタ

このうらみはらさでおくべきか〜

まさかの魔太郎パロ

天鳥くん!!…正気の人とは思えないわ。

直接的なセリフ

〈五巻〉

ゲ!!

この時の魔美の作画は強烈。

ワンダーガールとでも呼んでよ。

魔美は早く大人になりたいみたい。

〈六巻〉

高畑の鼻が急に◯になる。

この描写ショック。

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〈七巻〉

魔美の乳首がリアル描写

〈八巻〉

なぜかママは留守番…

〈九巻〉

高畑の横顔が完全にジャイアン

足塚不二雄「最後の世界大戦」五十万

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でも一番怖いのは魔美が父親のヌードモデルになることを許すママの存在感のなさ。

災厄の元凶となる魔美が男性を惹きつける肉体の説得力はクオーターという設定。

あとは、コンポコが一番の謎か…

(追記)

今、岩明均『風子のいる店』を読み終わり、『魔美』と似てないか?と思っいました。次々と身近で起こる犯罪、事件、異常者。現れるストーカー。日常と非日常、味方と敵の崩壊。頼りになる人も危うい・・・。

『風子』と『魔美』・・・。


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