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サブカル大蔵経749『出版巨人創業物語』(書肆心水)

新潮社・講談社・岩波書店の創業者。

佐藤義亮・野間清治・岩波茂雄の自伝。

野間清治は、饒舌の裏に、何かが隠されているような。まさに全身講談社。

創業者たちの、鬼神のような魂と、粘着質な仕事ぶりが印象深いです。

作家と、文章と、本のために。

本の最良の応援歌かも。

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君大丈夫ですか、僕のものを出して損をしたら困りはしませんか。p.21

 紀行作家・田山花袋の心配。

私は大正七.八年頃から十年にかけて大杉栄氏とよく話をした。氏はかなりひどいどもりだった。種の起源の訳を頼んだ。なかなか立派な訳である。田舎の甥が父の命令でやって来た。大杉栄と絶交しなさいと。p.80

 大杉栄の星座は新潮社とも繋がる。

新潮世界文学全集、広告は全部私一人てやった。読んでわかる翻訳の建前から、全部の校正を一字一句検討した。訳者に来てもらって夜の一時二時までも研究しあい、中には折り合わないので一万円を呈して原稿を返したのもあった。p.91

 文学を扱う執念。本を出すことの矜恃。

旦那、酒代を。私は、飛び下りざま、物も言わず一人を殴った。p.158

 講談社武勇伝。マガジン的な雰囲気。

この哀愁を晴らすために、又この最愛の康清を記念するために、そうだ講談倶楽部を康清と思って育て上げるのだ。p.176

 講談社社長の講談を漫画にして欲しい。

我が一生の教養を岩波文庫に託すとの手紙。私は始めて本屋になってよかったとの感を深くした。p.353

 書店から出版へ。岩波の革命。

低く暮らし高く想うp.367

 岩波文庫のしおりに使って欲しい。

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