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サブカル大蔵経805梅棹忠夫編著『日本文明77の鍵』(文春新書)

日本を外国に紹介する時、何を伝えるか。まず梅棹忠夫は【1 群島】からはじめた。

小山修三、園田英弘、谷直樹、守屋毅、米山俊直の5名が執筆。外国人向けのホテル設置用に英語で書かれたものを日本語化して出版したものの新書化。

イギリスの観光雑誌「TIME OUT」のようなスタイルか?

現代よりも魅力的な挿話が並ぶというか、現代の知見では気づきえない内容と文章。

人に伝える苦心が、知るきっかけとなるというか。ひとつの歴史史料になりました。

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【3 四季】日本が島国で海洋性気候下にあるにもかかわらず、地理的に大陸の東縁に近接して位置するため、大陸の寒気団の影響をつよくうけるからである。p.26

 緯度は南よりで高温多湿なのに、東京の気温がレイキャヴィクよりも低い理由。島と大陸を兼ね備えてるのか!

【4 世界最古の土器】その技術は、世界の最高水準にあり、エレクトロニクスや宇宙開発に直結している。その伝統はすでに縄文時代にはじまっていたのである。p.30

 スケールが大きい梅棹新書。一瞬、猿の惑星を想起。

【40 趣味】「お稽古ごと」は「お稽古ごと」として完結するのが理想と考えられていた。p.143

 大衆への文化の拡張。カルチャーセンターの理由。江戸時代からか。

【42 劇場】江戸時代にあって、かなりの数の芸人が、劇場づとめというかたちで、すでに定着し自立した芸術家としての生活をおくっていた。p.151

 よしもとはある意味伝統的なのかも。

【52 郵便・通信】鉄道と自動車のあいだに存在するアンヴィヴァレントな感情p.184

 隔世の感がある、当時の自動車への反感の理由は「非秩序」。

【56 戦争】日本は、ペリー来航以来、戦争の文明の信者となった。p.196

 アメリカの黒船への衝撃と自噴が、帝国主義への連鎖そして第二次世界大戦へ。アメリカが日本を破滅化させたのか。

【61 洋装】銀座での調査によれば、男子の洋服化率は67%、女子1%であった。p.214

 今和次郎による1925年の調査。

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