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魅力的なキャラ作りのコツ/ヒールには「花」を、フールには「おいしいところ」を

キラリと光るヒール(敵、悪役)やフール(愚か者、ボケ役)は、ストーリーをさらに魅力的にします。
なぜならば、主人公がどれだけ魅力的な人物だとしても、他の登場人物に魅力が欠けていると、主人公の本来の魅力自体をあまり発揮させることができないからです。
キャラクターの個性や魅力は、多くの場合他のキャラとの交流(コミュニケーション、リアクション等)を通して描かれることになります。
もちろん、他者との交流がないシーン(主人公がたった一人で苦境に立たされる等)で魅力が描かれることもあります。しかし、人間は社会性のある生物(他者との交流なしに生きていくことができない生物)ですので、心理的に他者との交流から見えてくる魅力や個性の方が記憶に残りやすく、胸を打ちやすい傾向があります。

この記事では、魅力的なヒールとフールを考える際の王道パターンをご紹介したいと思います。

ビジュアルだけに頼らない魅力作りが必要

ヒールやフールに限らず、キャラクター作りにおいて、ビジュアル(外見)は非常に重要な要素です。
一般的に、容姿の優れた人物が主人公や主要キャラに登場することが多いのは、ビジュアルの良さが読者を惹き付ける上で非常に重要であることの現われでもあります。

しかし、ヒールやフールの場合、(作品や設定にもよるのですが)好感が持てないような外見にしなければならないことが多々あります。(=ビジュアル面でのメリットを享受させることができない場合が多くあります。)

ビジュアル(=見た目、外見)で魅力をみせることができない場合、性格や個性やシナリオ(台詞)など、キャラの内面から滲み出てくる魅力で読者の興味を惹く必要があります。

外見的な魅力と内面的な魅力の違いに注意

少し話が逸れますが、外見的な魅力と内面的な魅力の違いについて触れておきたいと尾も増す。

外見的な魅力(ビジュアル)は、視覚で魅力の有無が判断されるので、見た瞬間、即座に読者に魅力が伝わります。
つまり、ビジュアル面での魅力は、読者にほとんど負担をかけません。
(読者は視覚にキャラを入れるだけで、魅力があるかどうかを判断することができます。)

一方、内面的な魅力は、読者に物語や台詞を『読んで』もらわない限り、読者に伝わることはありません。(アニメやボイスドラマなどの場合は、台詞を『聞いて』理解してもらう必要があります。)
『読む』という行為は、視覚的な情報処理に加えて、言語的な情報の処理も必要になってきますので、『(ただ外見を)見て判断する』という行為よりも、読者の脳にかかる負担の度合いが高くなります。

そのため、内面的な魅力を読者に伝えることは、外見的な魅力(ビジュアル面での魅力)を伝えるよりも難しくなります。
職種で分けると、外見的な魅力はイラストレーターや原作ありの漫画家などの専門分野となり、一方内面的な魅力はシナリオライターや原作者、小説家などの専門分野となります。(原作なしの漫画家の場合は、外見的な魅力も内面的な魅力も漫画家本人が考えることになります。)

外見的な魅力のように、瞬間的かつ直感的に判断できる魅力と違って、内面的な魅力は見聞きした情報を一旦脳内で処理してもらう必要がありますので、魅せ方や気付きやすさなどにも気を配らないと、なかなか読者に魅力が伝わらない場合がありますので注意が必要です。

ヒールには「花」を、フールには「おいしいところ」を

魅力的なヒールやフールを考える際の王道パターンは、

ヒールには「花」を持たせ、
フールには「おいしいところ」を持たせる

だと個人的に思っています。

ヒールにとっての「花」とは、具体的にはヒールの悪役としてのカリスマ性(ぞくっとするような狂った信念、悪の美学など)や、意外な一面(善心の欠片など)を指します。

悪人としての魅力や、人間味が感じられる一面をヒールに付与することによって、内面的な魅力を高めることができます。

悪人の魅力について、詳しくは前回の記事『敵やラスボスがいるストーリーを盛り上げる方法』をご覧いただけますと幸いです。

漫画作品での例としては、『ジョジョの奇妙な冒険』の悪役キャラや、『HUNTER×HUNTER』のメルエム(王)です。
『ジョジョの奇妙な冒険』には、強いカリスマ性や信念を持った悪役キャラが多数登場します。(ディオ、吉良吉影など)
また、『HUNTER×HUNTER』のメルエムは非常に残虐な性格のキャラクターですが、コムギという少女に対しては愛情を抱いていることを読者に感じさせます。

フールにとって「おいしいところ」とは、読者が「こいつ、おいしいところ持っていくな~!」と思って、そのキャラに愛着を感じてくれるような出来事や状況などのことです。
例えば、「本人にはそのつもりがないのに、結果的に味方の危機を救う、本人が得をする」など、努力なしに得られる奇跡的な幸運も含まれます。

分かりやすいのは、バトル漫画の登場キャラクターで「本人は強くないのに、周りからは強いと思われていて、なぜかそれがバレない。敵からも強いと思われていて、敵が勝手に勝負を避けてくれることもある」というパターンです。『ドラゴンボール』のミスターサタンや、『ワンパンマン』のキングなどが該当します。(参考:ワンパンマン 42撃目

フール本人が小物(実力不足、経験不足)であり、フールの得た幸運が実力から考えると到底得られるものではないレベルのものであればあるほど、実力と幸運の大きさの違いにギャップが感じられて面白く感じられる傾向があります。

まとめ

このように、キャラクターに「花」や「おいしいところ」を持たせることによって、ビジュアルからはとても読者の共感や好意を得られないようなキャラクターであっても、読者にとって魅力の感じられるキャラや「愛されキャラ」にすることができます。

「花」や「おいしいところ」のあるキャラクターは、ストーリー全体にも「花」や「おいしいところ」を添えてくれますので、おすすめです。

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