見出し画像

置かれた場所では咲けない花もある。

もう少しで新年度……という今の季節に、いつも思い出すことがあります。

新卒で正社員として入った会社のこと。

現在の私はフリーの音楽家、駆け出し写真家、会社員を兼業していますが、新卒で入ったのは今勤めているところとは違う会社でした。

ちょっと特殊(?)な会社ゆえ、あまり詳しく書くと会社名が特定出来てしまいそうなのでざっくりとお話すると、音楽関係の人材派遣の仕事でした。
派遣さんや取引先企業とのやりとりをしたり、現場に出向いてアレコレやったり。

残念ながら、始めからその仕事がやりたかった訳ではなく、もともと目指していた音楽家の道を一度断念して就職……という選択をしたわけですが(理由についてはまた今度書くかもしれないし、書かないかもしれない。)、私はその会社をたった4ヶ月程度で辞めてしまいました。


もう本当に、単純に、シンプルに、会社がまったく合わなかったのです。


その会社は新卒をほぼ採ったことがなく、あまり教育体制が整っている会社ではなかったので、右も左も分からない社会人一年生の私にはなかなかしんどいものがありました。

人間関係的にも決してクリーンな場所とはいえず、社内は常に殺伐とした空気が漂っていました。
女性が多い職場だったのですが、『あ〜〜こういう女子、クラスに1人はいるよね〜〜〜!』ってタイプを何人も集めてきた感じで、中途社員も人が入っては辞め、入って辞めの繰り返し……。
私と同時期に入った中途社員は、入社2日目で辞めました(笑)

残業が死ぬほど多いとか、休みがないとか残業代が出ないとか、そういうブラックではなかったのですが(むしろそこはホワイトだった)、会社の雰囲気がブラックだった。そんな感じです。
分からないことを聞いてもろくに教えてもらえず、『臨機応変に』と言われるだけ。そして失敗して怒られる。そんな会社でした。

これだけ聞くと会社が圧倒的に悪いように聞こえそうですが、今思い返してみると私にも悪いところがあったと思います。

決められたことをキッチリ真面目にこなすのは得意だけど、臨機応変な対応は苦手。

現場に出てよーいドン!で仕事が始まって、その後はもうストップすることも引き返すことも出来ないような状況は特に苦手で、オロオロしてしまう私の姿は、先輩社員や上司から見たらそれはそれはイライラするものだったと思います。

いや、入社間もない新人なんだからそこは多目に見てくれよ!って思ったし、そもそもきちんと教えてくれればいいじゃんっていうのが本音ですけど。

そんなこんなで『出来ない新卒』レッテルを大きく貼り付けられた私は会社に馴染めるはずもなく、人間関係もまともに構築出来ないまま約4ヶ月ほどで退職の道を選んだわけです。

その頃の自分は『私はダメなやつなんだ』『どこに行っても絶対上手くいかない』と本気で思っていて、会社という組織に属することが怖くてたまらない、そんな心境。


でもどこかで働かないと生きていけない。


せっかく正社員辞めるんだから、本当にやりたかった音楽ももう一回やりながら働ける場所を探そうと試み、今の会社にたどり着いたのです。

今の会社ではいわゆる事務仕事を担当し、3年半ほど勤めています。
今も『出来ないヤツ』をやっているのかというと、なんと有り難いことに真逆です。
自分で言うのもなんですが、無事に(?)『いてくれないと困る人』ポジションを獲得出来ました。

でもこれは、決して私がすごいとかではなくて、ただ業務内容や会社の空気感が私に合っていた。それだけです。

今の会社は新人研修も1〜2ヶ月と長く、研修期間は隣に先輩社員がベッタリついていてくれます。
実務に入ってからも、分からないときは一旦手を止めて上司に確認を取りにいける環境。
不器用で頭も良くない私にはこの方が合っている……というか、こうじゃないと無理なのです。

前職のような『走りながら教える。でも失敗は許されない。』という環境は、私にはまったく合わない。
適材適所という言葉はやっぱり正しいのだと身をもって知りました。


よく『置かれた場所で花を咲かせなさい』なんて言葉を聞くけど、本当にそうなのか?
一概には言えないと私は思っています。

もちろん取っかえ引っ変えし過ぎるのは良くないけれど、合わない土、合わない気候では咲く花も咲きません。
南国の花が北国では育たないのと同じ。
どれだけ水をあげても肥料をあげても、合わない場所では花を咲かせられない。

新卒で入った会社を辞める時、周りからは『もう辞めるのか』とたくさん言われたし、自分でもたった4ヶ月で辞めてしまうことに情けなさを感じていました。

でも、やっぱり辞めてよかった。
辞めたことにまったく後悔はしていません。

合わない場所でいつまでも苦しんでいられるほど、人生は長くはないはずだから。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?