本当に銀行は淘汰されるしかないのか
これまで、フィンテックを味方にして、新たな「経済圏」を作ろうとする企業の例を取り上げてきた。
小売やEC、物流などのプラットフォームを持った企業が、それをベースに金融の領域まで手を広げつつある。
そしてそれは、ごく自然な流れに思えてくる。
一方で、フィンテック関連のネット記事や雑誌では、「フィンテックが銀行を破壊する」といった趣旨の議論が多く見受けられる。
実際、既に銀行各社は、人員削減をせざるを得ない状況に陥っている。
にも関わらず、未だに東大卒業生の就職先上位の多くを、銀行が占めているらしい。
果たして、銀行は衰退するしかないのだろうか?
残念ながら、衰退します。 断言します。
新入社員の皆さん、ファイトです。
正確に言うと、今の形の銀行を「銀行」と呼ぶのであれば、必ず衰退する。
理由は簡単だ。
銀行のサービスは、手段を提供しているに過ぎないからだ。
つまり、顧客にとって、銀行でなければいけない理由がどこにも無いのだ。
銀行が提供する主なサービスは、以下の5つだ。
貯金 送金 決済 為替 融資
これらは全て、何らかの目的を達成するための「手段」でしかない。
銀行よりも楽に、安くこれらができるのであれば、別に銀行を利用する理由はない。
コンビニや郵便局は、彼らが消費者に提供している価値を基盤に、実店舗インフラを活かしてATMを設置することで、銀行業界への参入に成功した。
スムーズかつ確実に決済できればそれでいいので、消費者にとっては、アリババでもLINEでも、何でもいい。
「Amazon経済圏」の住人同士であれば、Amazonギフトコードをメールで送るだけで送金は完了、手数料を負担して、わざわざ銀行を使う必要はない。
融資も、時間と手間をかけて、高い利率で銀行から借りなくても、今はクラウドファンディングやICOで資金は調達できる。
他業界の企業は、自社サービスが提供する価値を発展させる形で、金融の役割も担うことができる。
しかし、銀行は価値そのものを提供していないから、他事業に手を広げることもできない。
やがて、収益は悪化する。
お金が無い、だから貸すこともできない、そんな銀行にもはや存在意義は無い。
銀行はただ衰退するしかなく、代わりに、銀行機能を提供する別の何かが台頭すると、僕は予想している。
どうか悲観しないで欲しい。
何かが終わると同時に、その分また新しいものが生まれる。
ただ、それだけだ。
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