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普通の女の子になりきれないわたしへ、


星がたくさんついたジミーチュウのキーケースを使っている。
2年以上がたち、いつのまにか星がひとつこぼれ落ちてなくなっている。
星はどこに落としてしまったんだろう。気づいたときにはなくなっていたから、もう見つけることはできない。

星さん、ごめんね。
どこかに落ちてしまった星はかわいそうなのかな、それともどこかで見守っていてくれているのかもしれない。




自分をかわいそうだと思わずに明るく生きていけることは多分きっと才能に近い。

中学校からの友達の一人である尊敬している彼女から久しぶりに電話があった。
彼女の口から出てくる言葉はどんなときも、ナチュラルで明るくて前向きな言葉が多かった。
悲劇のヒロインを気取ることは容易くて逃げ道である場合も多く、彼女は今までの様々な経験から決して生きることが容易いわけではないことを知り尽くしていながらいつもしっかり自分の価値を知っていたんだと思う。

わたしはいつも悲劇のヒロイン体質で「どうしてわたしばっかり」を合言葉かのように生きてきた。
自分を受け入れてもらえない怖さを知っているからいつも誰かを傷つけることや傷つけられることを恐れて言葉を選びすぎたり、自分の中で自分の感情を引っ掻き回してしまうからそんな彼女の太陽みたいな自尊心や自己肯定感が眩しくて憧れだった。



もう全部嫌だ、と投げ出したくなることは何度もあって、それが行き過ぎると消えてなくなりたいと思う夜があった。
そのたびになぜか、たくましく強く美しく優しく生きている彼女を思い出した。
わたしもあなたに近づいてみたい、と思った。
だからもう少しだけ生きてみようかな、そう思って乗り越えた夜が、眠れずに朝になるまで待ち望んだ夜があった。



わたしはこの世界が大嫌いだ。
普通と呼ばれるもののために精一杯努力をしてありふれた合格点を手に入れることが正しさだと揶揄され、それを手に入れられない取りこぼした人はいくら頑張っていても「変な人」と烙印が押されるこの世界が多分昔からちゃんと嫌いなんだと思う。

なんにも見たくない、なんにも感じたく無いと思う場面や理由が溢れるほどあって、それなのにどうしてここで、この世界で生きていくことが眩しいこと綺麗なこと美しいことだと感じたり思ったりする日があるのだろうか。
そんな一握りの光があることを知ってしまっているから生きてさえいれば、プリズムみたいな光にまた出会えるかもと日々を繰り返しているんだろうと思う。



中途半端に美人だと言われることもたまにあるくらいのルックスで、人よりも神経質で心配性で他人の言葉を気にしてしまうような自分軸のなさが露呈されることも多いわたしは普通に生きようとすることをひたすら頑張っている。いや、頑張っているつもりなのかもしれない。

日本人特有の「みんなと同じ」を少なからず目指しているし、突拍子もない行動はしないように気をつけている。それでも、未だ独身であることや一人っ子であること、そういったコンプレックスは半熟の目玉焼きを割ってじわっと流れ出すみたいに広がって止まることを知らない。

女性という性質をポジティブに扱って得をしながら良い面の上澄み液だけを拾って楽しく生きていくには鈍臭く真面目で真っ直ぐで自分に自信がなさすぎる。



唯一、子供の頃から褒められ続けていることといえば、髪の毛だけだ。
長所は?と聞かれて間違いなく答えられるのは「髪の毛が綺麗と言われます」それだけだ。

わたしの髪の毛のキューティクルは欧米人並に強いらしく少々のことで傷んだりしない。かつ、トリートメントをすると人の倍以上ツヤが出やすい毛質だそうだ。
大学生の頃に自分を変えたくてハイトーンにしたくてブリーチをして色を入れたことがあるけれど「お人形さんみたい」と美容師さんに褒められて何度も髪の毛を撫でられた。
黒髪ロングを愛していた頃はトリートメントをしてもらうたび「TSUBAKIのCM出れるよ」と言ってもらえた。
つい先日も部署の後輩に「本当に髪の毛綺麗ですよね。ツヤが違います」と褒めてもらえた。

髪の毛には本当に感謝している。
わたしの長所になってくれてありがとう。



それ以外で今まで頑張ってきたことを問いただされるとパッと思いつくことは仕事を新卒から続けていること。それくらいしか、人生で自分をすり減らしてでも頑張ったことは他にないのかもしれない。

だけどきっと、わたしは世間が求める「普通の女の子」にはなりきれない。
足りないものがたくさんありすぎて、補いきれない。普通を求められることがこんなに苦しいとは思わなかった。




普通の女の子になりきれなくて、ごめんなさい。
それもどこに向かって謝ったらいいのか、それすらよくわからないけれど。



生まれ変わったら人間は望んで無いけど(彗星希望であることはnoteにも書いたと思う)、もし人間なら男性を希望するし(男性だから楽だと思っているわけではないです)もし、もしももう一度女性ならばどうか普通の女の子になれることを願う。
普通に進学して就職して、誰かと出会って結婚して子供を産むという世間が求める普通をこなせる女の子になりたい。ただそれって本当は、ミルフィーユみたいな奇跡の積み重ねであることを知りながら卒なくこなせるそんな人になれますように。

だけど、実際は生まれ変われないからここまでなんとか生きてきたわたしがわたしであるからこそ美しいんだってこと何度でも自分に言い聞かせて生きていきたい。
あなたも、あなただから生きてきた軌跡があって、どの瞬間も間違いなく美しいからどうかそのまま生きてほしい。



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