読書会の反省:中学生より大人に向いている歴史の勉強
1.初の読書会で意気消沈スミさん
ーこんにちは、スミさん。
コイさんこんにちは。今日は真冬みたいに極寒ですね…雨まで降ってるし。
ーとは言いつつも、なかなかスキー場には雪が降ってないみたい。今年は本当に暖冬だったねえ。
そうですね、スキー行けるタイミングも難しかったですね。
話は変わりますが、私先日、初めて読書会というのに参加してみたんですよ。
ーほう。この前話してた、韓国文学読むというやつ?
はい、それです。ノーベル賞も取るかもしれないと言われている韓国の女性作家のハン・ガンという方の作品2作だったんですけどね。
これがなかなか衝撃的でして。
ーいいじゃない。韓国文学、読んだことないな。
いや、中身も衝撃だったんですけど、読書会は十名程の小規模なんですけど、参加者のほとんどが本職の編集者さんで。
知人の方のお誘いで初参加したんですけど、ファシリテーターの方のまとめや話の振り方がうまくて、何より参加者がみなさん物知りで。
ーふむ。
この本を一言でいうと、韓国の「光州事件」を題材にした鎮魂の文学なんですけど、そもそも私は全然知らなかったんです。
でも読書会のほかメンバーは、文学手法だけじゃなくて、韓国文学の発祥とか民主化の歴史とか死生観とか、様々な角度でコメントが広がっていって。
ーほうほう。
なるほど本ってこう読むのかと。
でも私は一言も話せなかったんですよ。
ーそれで自己肯定感が低められて帰ってきた、と。笑
でも、参加者みなさん、スミさんより15年20年長く生きてるおじさま達でしょ?まあ仕方ない。
それはそうなんですが、私があと10年生きても、あんな風にならないなあ。
思考の発散の仕方が、しっかりした知識に基づいてないと出来ないんですよ。
ー知識も色々とあるけど、ことさら歴史が大事な気がするよね。
歴史を切り口に、文化や社会、経済に広がっていく。
そうなんですよね。
ただ、どうしても歴史って頭から抜けてしまって…
2.東大世界史の第一問
ー最近思うけど、歴史って大人になると面白いよね。
逆に中学生の時に興味が湧かないもん。
でも大人になっても、歴史ってなかなか頭に定着しないですよ。
この前ちょっと勉強しようと思って歴史の教科書を手に取ってみたけど、出来事とか人物とかファクトの羅列で、詰め込まれていてまあ面白くない。
ーうーん、よく言われるけど、歴史は関連づけて考えないと。
この前中学生の子と話したんだけど、学校の勉強で墾田永年私財法とか、それによって3世代の世襲じゃなくなったとかよく知っている。
でも、その文脈を知らない。
確かに、出来事の経緯とか意味は、歴史の先生が補足して語ってくれるくらいですよね。
ーそうそう。
東大入試の世界史の第一問目は、時間軸や地域を跨いで、俯瞰して数百文字でなんらかのテーマをまとめ上げることが求められるよね。
いやあ、こんなの今問われても絶対出来ないなあ。
ー政治と宗教の関係を、文化を超えて論じさせるのが面白いよね。
受験生はすごいですよ。
3.歴史は学生より大人に向いている
ーでも歴史って、その社会で財の生産と分配や贈与をどうやってきたかってことじゃない。
ですね。
ーこれって、大人になると、仕事や私生活で普通に関わるテーマなんだよね。
親から引き継いだ不動産をどうするとか、どんな再分配政策を取るかとか。
確かに。だから、過去の人たちの普通の営みとしての歴史も面白く見えてくるのかもしれないですね。
逆に、中学生にとってはナンジャソリャな世界。笑
ーせいぜい興味があるのは戦いの仕方くらいかな。笑
でもさっきの日本史一つとっても、権力者が土地をどう管理するかという側面から語ると面白いよ。
と、言いますと?
ー例えば、
…という感じで、学校の先生よりうまく説明できる自信があるよ笑
笑。
それに大人になると、社会や経済以外の話も関連が見えますもんね。
例えば文学も、作者が生きた時代の社会や経済の脈の中で生まれたものだと理解すると面白い。
ーそうだね。だから次はしっかり勉強して読書会臨むといいんじゃないかな。
歴史って膨大すぎて、何から読めば良いかわからないな。
ー教科書を最初から読むのも良いけど、「文脈」を意識すると編集の意思されたエッセイみたいなものが良いんじゃない?
そうですね。帰りに丸善に寄ってみます。
ー頑張ってください。
は〜い。ではありがとうございました。
明日からのご出張、お気をつけて。
ーありがとう。