安部公房 燃えつきた地図(新潮文庫)を読んで
中々面白いと思った小説に出会えず、久々の投稿になってしまいました。
今回も味覚や嗅覚などで表現する、抽象的感覚派読書感想文を書いてまいります。
今回の作品は安定して面白い安部公房の「燃えつきた地図」です。
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大まかな粗筋は、失踪した男の行方を調査するように依頼を受けた興信所員です。
数少ない手がかりを頼りに、男の行方を調べるも確証を得られず、都会の中を彷徨い続ける物語。
そんな興信所員の主人公にとって、起こるべきでもあり、非現実的な結末が待っているのです。
やはり安部公房の作品は安定して面白く、期待を裏切りません。何よりこの作品は、キャラクターがとても魅力的です。
行方不明になった男の奥さんと対面するところから始まるのですが、この奥さんが曲者であり、物語の世界に現実臭さを付与していると感じました。
この作品を喩えるならば、様々な具材がぐちゃぐちゃに混ぜ込められた、未知の灰色のソース焼きそばのようでした。
具材は赤いブドウや紫のザクロ。多産や豊穣を意味する果物のあべこべな色合いが、不可思議でもあり数多くの人間を包含する現代社会を連想させます。
未知の灰色のソースは、人間の雑踏から巻き起こる砂埃のようで食欲を誘わないが、食べると胡麻のコクが深くとても美味なのです。
これで今回の読書感想文を終えます。
安部公房の作品はどれもお勧めできるので、ぜひお気に入りの一冊を見つけてみてはどうですか。
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