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“転職先になじむ”ことについて考えてみる

このnoteは、どの記事も「あくまで個人の主観です」のスタンスで書いているつもりではありますが、今回の記事はいつも以上に主観を前面に出したいと思います。 

割と転職経験は多め

社会人としての時間が長くなってきましたが、同世代の中では転職経験は多い方だと思います。
 
長く在籍している会社もあれば、すぐに辞めた会社もあり、業界も横断しています。当然、しっかり貢献できた会社もあれば、ほとんど何も貢献できないまま去っていった会社もあります。
 
必ずしも行く先々でなじめたわけではないです。そもそも人見知りなので、こちらから積極的に話すモチベーションがない

え? ディレクターとして人見知りは致命的ではないか?
…まあ、そうかもしれませんねぇ。
とはいえここまで生きてきてしまったので。


ディレクターにとっての“なじむ”こと

さてディレクターという仕事において、一緒に働く人や会社の価値観・雰囲気というものは、ことのほか重要だと思っています。

基本、ディレクターってひとりで完結できないことがほとんどですからね。そして、直接的なお金のやり取りなしに一緒に仕事をできるのはその会社のメンバーで、当然プロジェクトのコアな部分はその社内メンバーと一緒に行うことになるでしょう。

それこそ、言葉を尽くさなくても分かり合えるような関係を築ければ、仕事のパフォーマンスにかなり有効に働く可能性が高い。

もちろん、一緒に働く人とは仲がいい方が精神衛生上もいいですしね。

Webディレクターの職場は、価値観も千差万別

一方で、以前の記事(Webディレクター人材問題③ 可視化は困難!? Webディレクターの“経験”について考える)でも書いた通り、Webディレクターの職場は千差万別。

多様な背景、多様なスキル、多様なモチベーションの人間が「Webディレクター」というふわっとした一つの肩書で仕事をしているのだから、下手をすれば話を合わせることでさえ大変です。

“会社の空気”には、いるだけで染まっている

しかし、雇われたのは、そして後からやってきたのは自分ですから。「入社したからにはその企業の価値観や文化、もっと言えば不文律のノリなどにも適応してなじまなければ」と思いたくもなります。

ですが、そもそも“なじむ”ってなんですかね?

人になれて親しくなる。また、物事や場所になれて親しみをもつ。「都会の生活に—・む」「土地の言葉に—・む」

デジタル大辞泉より

…ふむ、なるほど。

だとすると、私自身はそこまで気にしなくてもなじむことは可能だと考えています。というか、そこの適応に必死になる必要はない、と結論づけています。
 
フルリモートの働き方などならともかく、一定の出社日を設けている会社で働いていると、(自覚のあるなしはさておき)放っておいてもある程度は企業の空気感に染まっていきます。
 
スピード感のある会社なら少し早口でせっかちになり、じっくり考える会社ならPCの前で腕を組むことが増え、にぎやかな会社なら声が少し大きくなる。人間とはそういうふうにできていると思っています。 

前述したような「言葉を尽くさなくても」という関係になるには相性と時間が必要ですが、少なくとも誠実に仕事を行っていれば、相手に悪意がない限りは自然と環境には慣れます(そして相手に悪意があるのなら逃げましょう。あなたに代わりがいるように、あなたが働く会社も代わりはいくらでもあります)。

大丈夫、あなたが思っている以上に、あなたは会社に適応できているはずです(そしてあなたが思っている以上に、人は新入社員に興味がない)。

そもそも、なじむ必要があるのか

それでもしっくりこない場合、あるいは不安感がある場合は。

私はそもそも論として、中途社員が会社の空気に完璧になじむことなどできないし、会社もまた中途社員に完璧に溶け込んでもらうことを望んでいないはずだ、と思うことにしています。

企業の立場で考えてみると

企業が中途社員を採用する理由はいくつかありますが、そのひとつに「新しい価値観の受容」があると思います。
 
自分たちがいま持っている強み、文化、価値観を、社員にインストールさせたいのなら、重視すべき採用戦略は新卒採用の強化です。その方が自分たちの価値観を根づかせやすいから(あくまで期待値の話です)。

そして、そのような意図で採用された新卒社員は、確かにその会社の価値観にフィットし、同期や先輩社員をうまく頼りながらいきいき仕事をしているように見えます。それを見ると中途採用はどこか疎外感を覚えるかもしれませんが、その疎外感こそが中途社員に求められていることという可能性もあります

企業が中途採用を行うメリットとしては、新卒社員よりも低負担で早く実務に貢献していくことと(即戦力ではなくても、例えばマナー研修を省力化できるだけで企業の負担は減る)、企業にこれまでなかった経験や価値観を還元することなどがあると思います。
 
大事なのは後者で、つまりは「この会社とは違う何かを持っている」=違和感があること自体が、中途社員の価値のひとつだと思うのです。違いを生み出すのはスキルや実績だけではありません。人間性や物事の捉え方なども、会社に違いをもたらすための重要な要素です。だから無理になじむ必要もないし、そもそもなじめない一点があること自体が実は価値になっている可能性すらあるわけです。 

でも、なじむ努力は怠らない

というわけで、私たち中途社員は必ずしもその企業に身も心も染まらなくていいという免罪符を得ることができました。

ですが。なじみきることを求められていなかったとしても、なじむ努力をしなくていいかというと話は違います。

上記の論理はあくまで、なじむことに過度なプレッシャーを感じる必要はないというメンタルコントロールの話です。その会社になじむ努力はするべきだと思います。

 「自分がなぜ転職をしたのか」を思い返してみましょう。
何かしらその会社から得たいものがあるから、転職を決めたはずです。そして相手から何かを得るためには、相手の信頼を獲得しなければいけません。
 
相手の信頼を獲得するためには?
能力があればいい?
いえ、それ以上に人柄も大事ですよね。

なじむ=その会社の色に染まることではない

とはいえ人間性や会社へのコミットメントを示すために、やる気とガッツをアピールする必要はないかと思います(やってもいいとは思うが)。それよりも、会社とそこで働く社員をリスペクトすることと、そのリスペクトの姿勢を表現することが大切だと思います。 

経験のある方には分かると思いますが、自分と同じ職種の新入社員が入ることに対しては、既存の社員は微妙に複雑な感情を持っている可能性があります。
 
新しい仲間が来る、自分の負担が減るかも、新しい刺激をもらえるかも、というポジティブな感情の中に、合わないタイプの人だったら、自分の仕事を否定されたら、自分の立場が危うくなりはしないか、といったネガティブな感情も何かしら混在していると思います。
 
だから、自分が持っているリスペクトを、ちゃんと相手に伝わるように表現することには私は気を配っています。 

転職先はリスペクトできることだらけ

…といっても、特別なことはしていません。

ちゃんと話を聞く、ただ聞くだけでなく要旨を確認して話を理解できていることを伝える、サブ担当で入ったときには自発的なサポートを心がける、自分の意見も伝える、なるべく「何かありますか」ではなく「これやりましょうか」と投げかける、個人の感情ではなく会社や社員にとって有用な意見かを考えながら話すなど、社会人の心構えとしてどこかの研修で受けたようなことをやるだけです。 

役員待遇で入社してきた/ライバル企業からスカウトされた、といったような特殊な事情を除けば、たとえ即戦力として期待された社員でも、初日からその会社のトップレベルのパフォーマンスを出すことはできやしないし、その期待も恐らくされていません。

すべての会社には、その会社(および社員)が独自に築き上げてきたものがあります。たとえあなたがどれだけ優秀であっても、その会社や社員が当たり前にできて自分にはできないことが、たくさんあるはずです。

会社があなたに「この会社とは違う何かを持っている」と思ったということは、あなたもその会社に対して「自分とは違う何かを持っている」と思ったわけで。

それこそが、会社をリスペクトできるポイントです。あなたがその会社に転職してきた理由です。だから、その違和感を“新しい知見”として吸収していけばいいのだと思います。その謙虚な姿勢がきっと、会社や既存社員にも誠実さとして伝わっていくと思います。

だからやっぱり、そこまで気にしなくてもなじむことは可能だと思います

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