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ベトナム起業日記 #19. ベトナムにあって日本にないセフティーネット
ベトナムの朝はコーヒーから始まる、かどうかはわからないが、朝散歩をしていると至るところにコーヒーショップがあって軒先の低めの椅子に座って男たちがコーヒーを飲んで話し込んだり、ぼーっと通りを眺めたり、スマホをいじったりしている。
これに習って今朝は僕も昨夜チームのメンバーのVくんに教えてもらったベーカリーでパンを買ってから、近くのコーヒーショップに入って行った。
スタッフが席に案内してくれ、僕もそこに座ってサイゴンの朝の風景の一部になることができた。
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ココナッツコーヒーというコーヒーの下にココナッツミルクの層が入ったアイスコーヒーを飲みながらスマホでニュースを読んでいたがふと人の気配がして顔を上げると「ティリオン・ラニスター。。」という言葉が無意識に頭に浮かんだが
眼の前に身長が伸びない障害を持った人が立っていた。
男性は宝くじのような券を見せてきて、おそらく「いらないか?」のようなベトナム語を発した。
手を少し上げていりませんというジェスチャーをすると、男性はカフェにいる他のお客にも順番に声を掛けていった。
この間、店のウェイターも奥にいるオーナーと思しき女性もその男性を気にしている素振りはない。黙認しているのだった。
これが日本だったらどうだろう?カフェに入ってきて別のものを売り始める人がいたら即座に注意されてしまうはずだ。
思い出せば今までもカフェでお茶をしているとき、ビアホイ(ビールがメインの大衆居酒屋)でビールを飲んでいるとき、似たような経験を何度かしたことがあった。
ベトナム社会にあるセフティネットというか、社会の寛容性、互助の精神のようなものを感じた。
そういえばバブルが崩壊して氷河期真っ只中だった僕が大学生だったとき、新聞の社説か何かで、「日本は長い間お金持ちの国だったから途上国にあるような困った人が生きられるよな仕組みが社会から失われてしまった。このことが後々日本が貧乏になった時に問題になるだろう」、というような記事を読んだ。
おそらくベトナムには日本ほど充実した社会保険や生活保護の仕組みはないだろうが、このように市井の民の間でのセフティネットが残っているのだろう。
戦後の日本にもこのようなものがあったんだろうなと想像した。
日本はこれから格差がもっと広がっていくと言われているが果たして社会は分断せず助け合うことができるのだろうか、などと交通量の多い道路を臆すこともなく渡っていく宝くじ売りの男性を見ながら考えるのであった。
続く。
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