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こころの琴線というもの

思わず、胸がきゅぅ・・・っとするときがある。

緑の草原を吹き渡る風に。
レース編みのような雲に。
蝉しぐれのなか見上げる空に。
水彩のような夕焼けに。

 

思わず、胸がきゅぅ・・・っとするときがある。

CMの写真の笑顔と小田和正に。
駄々をこねる見知らぬこどもに。
祖母に似たしわしわの手に。
いつの間にか小さくなった父の背に。

 

思わず、胸がきゅぅ・・・っとするときがある。

本からはらりと落ちた写真に。
こどもの教材に描かれた物語に。
誰かが誰かに優しくされた話に。
誰かの慟哭にピントを合わせようとするときに。

 

いつしか、こころ動かされるものが増えていることに気づいた。

「年を取ったら、涙もろくなって」ってよく聞くけれど、それは年を取ったせいじゃない。
経験を重ねたからだ。
空に、雲に、人に、出来事に、物語に結びつく、こころふるえる経験を。

あなたのことばを聴いて、私はあなたの人生を想像し、尊敬し、共感し、味わう。
あなたのことばを聴いて、私は喜び、怒り、哀しみ、楽しむ。
あなたのことばを聴いて、私も愛し、失い、泣いて、祈る。

こころの琴線というものは、きっと増えていくものなのだ。
こころふるえる経験を重ねるたび、それは1本1本増えてゆく。
触れる琴線が増えるたび、人生は味わい深くなり、祈りで満ちる。

あなたのことば、聴かせてください。

ここまで読んでくれたんですね! ありがとう!