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学び

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自分にとって学びになったことのメモなど
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記事一覧

スウィング・キッズ 政治思想の対立を超える"ダンス"

前半とってものめり込んで観ていたのに、いや、だからこそ、ラストで「おぉぉぉ……つ、つらい……」と真っ暗な気持ちになった映画を久しぶりに観た。でもほんとにみんなに観てほしい「スウィング・キッズ」。※なにとぞ心が元気なときにね……! 朝鮮戦争当時(1950年代)の巨済(コジェ)捕虜収容所が舞台。新任のアメリカ人所長は収容所のイメージアップのために、戦前はブロードウェイで踊っていた下士官の黒人ジャクソンに「ダンスチームをつくるように」と言い渡す。「そうしたら沖縄にいる妻のところへ

リチャード・ジュエル 3日間で英雄から容疑者に暗転した実話の映画化

映画「リチャード・ジュエル」刺さりまくった……。自分がメディアで働いているからというのもあるけど、SNSがある今、誰も人ごとではない。むしろSNSのある今だったら、1本の記事がつけた火にどんどん油が注ぎ込まれて……もっとひどいことになっていたんだろうな……とぞくっとした。 あらすじ: 1996年、アトランタ五輪開催に浮かれたアメリカ国内。アトランタのセンテニアル公園で開かれていたコンサートで、警備員として働いていたリチャード・ジュエルは、不審なリュックを見つける。呼ばれた警

埼玉ピースミュージアムって知ってた?

チェルノブイリやアウシュビッツ、クライストチャーチ、ペリリュー島、ソウルの南北境界線などなど、戦争や災害に思いをはせて学ぶ旅「ダークツーリズム」が好きで世界各地を旅してきました。 が、コロナ禍で旅に行けず落ち込んでいたところ、友人から「埼玉県の平和資料館いかない?」と誘われました。えっ?埼玉にそんな資料館があったの??という感じ。 調べてみたところ埼玉県こども動物自然公園のそば!ここは、世界一しあわせな動物と呼ばれるクオッカを、オーストラリア以外で唯一飼育しているところなん

オラファー・エリアソン「ときに川は橋となる」超おすすめ

オラファー・エリアソンの個展「ときに川は橋となる」がめちゃくちゃよかった……。半日休をとって平日に行ってきたんだけど、空いてる平日に行くのを全力でオススメする。全部の展示をじっくり見られたし、光のアートを独り占めできる時間もあった。 この展覧会のテーマは、気候変動やサステナブル。公式HPには、 オラファー・エリアソン(1967年生まれ)はアートを介したサステナブルな世界の実現に向けた試みで、国際的に高い評価を得てきました。本展覧会は、エリアソンの再生可能エネルギーへの関心

カラーになった「戦争」 記憶の解凍で自分ごとになる

当時広島の高校生だった庭田杏珠さんと、東大の渡邉英徳さんの「記憶の解凍」プロジェクトが、『AIとカラー化した写真でよみがえる戦前・戦争』の1冊にまとまった。 白黒写真を、AIと、当時を経験した人たちの証言や資料などをもとに、手作業で彩色してカラー化するのが「記憶の解凍」プロジェクト。 渡邉先生が以前、Twitterでシェアしたカラーのきのこ雲の写真を見たとき、今までよりも「これは本当にあったことなんだ」と強く感じて目が離せなくなった。 プロジェクトのうち350枚がおさめ

PCRを無節操にやっても意味ないと言い続けてすみませんでした

今日はお詫びの記事です。 昨晩ずっと、寝ないで考えていたことがあります。 これまでに私がTwitterやYouTubeなどで申し上げてきた、 「PCRをただ受ければいいというものではない」 「検査というのは未来予測であり、その精度を高めるためには工夫がいる」といった、医学的・科学的に完全に正しい話、ド正論。 これらがいくら正しいからと言って、ただこればかりを申し上げてきたことは、下策でした。不徳の至りです。大変失礼いたしました。戦略が足りませんでした。頭も性格も悪かっ

なぜ、女子サッカー選手は「"女子"サッカーの魅力」を考えなければいけないのか。

「女子サッカーの魅力ってなんだと思いますか」 今まで死ぬほど聞かれてきたこの質問。聞かれるたびに、うまく答えられずに困ってしまう自分がいた。 「ひたむきな姿ですかね」 「まっすぐに頑張ろうとする姿勢だと思う」 「男子よりも繊細で気が効くプレーかな」 「女子サッカーの魅力ってなんですか」の質問に対して、よくこんな回答を耳にしてきた。どれも間違っていないと思う。むしろ、正しい。けど、他の選手や指導者、ファンがそう答えるたびに、それは本当に"女子サッカーの魅力"なのだろうかと

アメリカのフェイクニュースをめぐる状況が、ドラマを超えててモヤモヤする

これは、なかなかにモヤモヤする記事 アメリカのインフルエンサーのニュースと言うことで名前もブランドもカタカナばかりでメチャメチャ読みにくいんですが、要はブランドから結構な金額で仕事を請け負っている著名なインフルエンサーが、陰謀論満載のニュースサイトをシェアしまくっているという話です。 日本にいると、この辺の温度感は分かりにくいんですが、記事からリンクされてるQAnonというニュースサイトの記事を読むと、なかなかにガチな陰謀論ニュースサイトみたいですね。 個人的に大好きな

美術館に行くのが楽しくなる1冊 絵に会いに旅に出たい…

家にこもっていたこの数カ月、旅の写真を見返しては「あ~ここでも、あそこでも美術館で過ごしたなぁ」と感慨にふけっていた。 子どもの頃は「美術館は静かで息苦しいし、絵は描いている方が楽しい」派だったのに、働き始めて旅のかたわらアートを観る・体験するようになってから、美術館って楽しい……!!と思うように。「鑑賞するってけっこう身体全体をつかうんだな」とも感じた。(美術館に行ったあとって、絵に圧倒されたり、「うぉぉぉ」って興奮したり、エネルギーごっそり吸い取られて疲れたり……ってこ

人は人と出会うべきなのか

「というのも、各々は直接的に他者のうちに自分を知るからであり…しかもそれによって、各々が、他者もまた同じように彼の他者の内に自分を知るのだ」(ヘーゲル『イェーナ体系構想』法政大学出版局)  「臨場性」はなぜ必要か  コロナ禍の中で、心から消滅して欲しいと思ったのは「ハンコ」である。  大学が入構自粛になっているのに、ハンコを押すためだけに出勤することの徒労感。そういえばうちの大学では、会議からはほぼ完全に紙資料が駆逐されて、タブレットで会議資料を閲覧することになりはした

「編集」とは何か? 編集者の仕事をもう一度考えてみる

「編集」ってなんだ?ここ数年、「編集」という言葉が注目を集めている。特に、編集者という職務上の技術としての「編集」がビジネス一般に活かせる、という文脈で語られる機会が多くなったように思える。 どちらかといえば、世の中に出ることが少なかったこの職業にスポットライトが当たることは、どのような文脈であれ、基本的にはいいことだ。「編集」という仕事に関心が集まっていることは編集者の端くれとして純粋に嬉しいし、出版業界の未来のためにも、多くの若者(学生)が編集者という職業に憧れを抱いて

行きたかった和食展…ガイドブックめちゃ面白い

3月14日から6月14日まで開催予定だった「和食 ~日本の自然、人々の知恵~」。前売り券まで買って楽しみにしていたのに、ほんとにほんとに残念ながら中止になってしまった…。 どんな内容だったのか気になるので、公式ガイドブックをお取り寄せ。このガイドブックがめちゃくちゃ面白かった~!ごはんが好きな人なら誰でも「へー!」となるところが多いと思う。 てっきり日本全国の水はぜーんぶ軟水なんだと思ってたら、地域によっては中硬水のところもあるのも初めて知った。しかもそれが沖縄・熊本、関

料理研究家さんのレシピにめちゃ助けられているお家ごはん

ほんっっとに料理する時間とごはんについて考える時間が増えた。ただ、自分の好きな味にしやすい一方で、「あーいっつも同じメニューだな…」ってマンネリに感じることも。そんな時は、料理研究家さんのレシピにめちゃめちゃ助けられてます。 まず忘れちゃいけないのが、数々の楽ちん&おいしい&お手頃レシピを紹介してくれる漫画家深谷かほるさんの『夜廻り猫』だよね(しょっぱなから料理研究家さんじゃないけど!でも深谷さんはめちゃくちゃ料理上手なのですよ)。 貧むす、チワー焼き、煮奴丼(にゃっこどん

『三つ編み』を読み終えて爽快な気持ちになった快晴の朝

必要に迫られ、ひさしぶりに通勤して働いたらめちゃくちゃヘトヘトになった。週3~4日でランニングして体力はそんなに落ちてないはずなのに、気疲れなんだろうか。 帰ってお風呂入ってごはん食べてハイボール飲んだら、急に猛烈な眠気に襲われ、すぐベッドへ。たぶん22時前。案の定、未明に目覚めてなかなか再び寝つけなかったので、GW中にkindleで買った『三つ編み』(レティシア・コロンバニ/早川書房)を読み始めた。 ……ら、面白くて、続きが気になって気になってやめられなくなり、夜が