下山田志帆/Shimo Shiho

女子サッカー選手です。主にジェンダイシューや多様性について、スポーツを切り口に。他者と…

下山田志帆/Shimo Shiho

女子サッカー選手です。主にジェンダイシューや多様性について、スポーツを切り口に。他者との関係性、恋愛や家族のあり方についてを、考えて考えてたまに吐き出しています。よく小難しくて変なやつだといわれますが、そんな自分が好きだったりします。

最近の記事

ここでなら息が吸えると信じられる場所は、何箇所あったっていい。

「日本の女子サッカー界も、セクシュアル・マイノリティにとってのセーフティな場所であれると思いますか」 女子W杯開催中のタイミング、NHK・クローズアップ現代で「女子サッカーとLGBTQ+」を切り口に番組を放送するとのことで、5月から取材をしていただいていた。冒頭の問いは、その取材中に質問されたものだ。 今回の放送にあたり、日本の女子サッカー界だけでなく、アメリカのトップリーグの試合も取材をしていると担当者の方が教えてくれたので、取材のなかで印象に残っていることは何ですかと

    • 本当の意味での”子どもたちのために”は、たとえ誰に何を言われたとしても「自分は、この世界が素敵で楽しいと思う」と本気の目で言える大人であることなんだなと思った

      『みんなのいろいろ』という絵本の制作に携わらせてもらいました。 ・・・ セクシュアルマイノリティ当事者として、アスリートのひとりとして、スポーツで辛い想いもしたけれど、それ以上にスポーツがあったから幸せであれたこと。今、スポーツが楽しくない、スポーツの場が居心地が悪いと感じている子どもたちに、自分を含めスポーツで幸せな想いを得てきた側のアスリートは何ができるのだろうと、ここ数年ずっと悩み続けてきた。 ・・・ そんな中で、去年の春、2020年からお世話になっているNik

      • 休み時間、サッカーボールを持って校庭に走っていくのは男子ばかりだった

        先週、OPTとSammysの合同企画で、フットサル会なるものを実施した。 サッカー経験は問わず、女性をはじめとしたジェンダーマイノリティであれば誰でも参加OK。それぞれ、お仕事や個人的な友人関係の方に声をかけ、最終的には総勢14名での開催となった。 参加者は、人生初サッカーの人、元プロサッカー選手、産後久しぶりにボールを蹴る人、高校までサッカーをしていた人…バックグラウンドは様々で。それでも、それぞれがめちゃくちゃ良い笑顔で走り回っている中でふと思った。 もし、小学生の

        • とてもひさびさに、ひどく、ゆらぐ。

          ・・・ とてもひさびさに、男に生まれてくればよかったなと思った。 小・中学生の頃、毎日のように男になりたいと思っていた。小学校3年生の頃から同じチームでサッカーをしてきたやつらが、急に身長が伸び、筋肉質になり、声が低くなっていく一方で、意図せずして”女性らしい”体型に近づいていく自分。当時は、毎日「男になりたいな〜」とぼんやり思っていたけれど、大人になるにつれてあんまりそう思わなくなったので不思議である。 ・・・ 「下山田さんって胸オペしないんですか」 「引退したらホ

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        ここでなら息が吸えると信じられる場所は、何箇所あったっていい。

          もっと高く跳ぶために、2年半を素直に綴る

          2021年シーズンを持って、2年半お世話になったスフィーダ世田谷FCを退団することになった。 12月はじめにGMとの面談で退団する意向を伝え、シーズン終了後の年末には「退団リリースを出すので文章をください」と連絡をもらったのだけれど、正直全然気持ちの整理ができていなくてしばらく未読無視してしまった(ごめんなさい)。 実家に帰る電車の中で2年半のことを思い返してみると、たくさんの反省とたくさんの感謝の気持ちがブワっと溢れてきて、ようやくGMに連絡を返せたのが今年の初めの話。

          もっと高く跳ぶために、2年半を素直に綴る

          「女なんかに負けるな」に声をあげてくれた、”彼ら”へのリスペクトを込めて

          母は、私の発信をよく追いかけているようだ。 母の姉妹ラインでは定期的に情報がシェアされているようだし、実家に帰省すればインタビューが掲載された雑誌や新聞がそれとなく本棚にしまってある。 この歳になると、親に発信を追いかけられるのはやっぱり恥ずかしいと思う自分がいたりするものである。 ・・・ 先日、久々に実家に帰った。夕飯を食べ、みんなで食後のコーヒーを飲みながら団欒しているとき、ふと母が切り出した。 「そういえばさ、志帆がTwitterでシェアしてた記事を見たのよ。

          「女なんかに負けるな」に声をあげてくれた、”彼ら”へのリスペクトを込めて

          なぜ、女子サッカー選手は「"女子"サッカーの魅力」を考えなければいけないのか。

          「女子サッカーの魅力ってなんだと思いますか」 今まで死ぬほど聞かれてきたこの質問。聞かれるたびに、うまく答えられずに困ってしまう自分がいた。 「ひたむきな姿ですかね」 「まっすぐに頑張ろうとする姿勢だと思う」 「男子よりも繊細で気が効くプレーかな」 「女子サッカーの魅力ってなんですか」の質問に対して、よくこんな回答を耳にしてきた。どれも間違っていないと思う。むしろ、正しい。けど、他の選手や指導者、ファンがそう答えるたびに、それは本当に"女子サッカーの魅力"なのだろうかと

          なぜ、女子サッカー選手は「"女子"サッカーの魅力」を考えなければいけないのか。

          子供の頃、体育が嫌いすぎて死にそうだったんだけどみんなはどうだったのよって話。

          サッカー歴は、今年で17年になる。 小学校3年生の頃から毎日サッカー漬け。サッカーのない週末なんて考えられなかったし、そんな毎日が自分にとっての幸せだった。 そして、それは今でも変わらない。 コロナによって、長い期間チームメイトにも会えず、ボールを蹴りに外に出ることも許されず。今までの人生ではありえなかった時間を長い間過ごすことになったのだけれど、やっぱりソワソワと落ち着かなくて。週末にサッカーのない時間は耐え難くて。 今、ちょっとずつだけれど、再びチームメイトと一緒

          子供の頃、体育が嫌いすぎて死にそうだったんだけどみんなはどうだったのよって話。

          知ってほしい。そして、想像してみてほしい。指導者に今、求めること。

          選手は、指導者のことをよく見ている。 その指導者がどんなことを考えていて、良い悪いの線引きをどこに置いているのか。どんな風に振る舞うことが、その指導者にとっての”良いアスリート”なのか。 指導者が思っている以上に、選手は指導者のことをよく見ていて、指導者が思っている以上に、指導者の価値観はそっくりそのままクラブの価値観になり、選手個人の価値観になっていたりするのである。 ・・・ 「”なんだお前、その髪型。男みたいじゃん”って監督にいじられるんです」 「コーチにカミング

          知ってほしい。そして、想像してみてほしい。指導者に今、求めること。

          幸せは、共有するくらいがちょうどいい。

          ある日、友達とのご飯に行っていたパートナーが、帰ってきてポロポロと泣き出した。 久しぶりに会う友達とのご飯。さぞかし楽しかったのだろうと思っていたからこそ、急に泣き出した彼女の姿に動揺する。 「どうしたの?」と聞くと、言おうかどうか一瞬ためらいつつ、彼女が口を開いた。 「『はやく結婚できる恋愛が見つかったらいいね』って言われたの。私は付き合ってるだけで幸せなのに、そのうち別れるだろうって、可哀想だっておもわれてて。ショックだった」 ・・・ 自分が良く聞かれる質問

          幸せは、共有するくらいがちょうどいい。

          エースを止めるか、ナプキンを止めるか…アスリートと生理の付き合い方を考えてみた。

          あれは大学4年の夏の事だった。 自分が所属していた女子サッカー部のリーグ戦。 ちょっと走るだけで汗がだらだらに流れるような蒸し暑い日で、前日の雨の影響もあってか湿ったグランドからの熱気が凄まじい。そんな日だった。 当時、センターバックというディフェンスのポジションを担っていたのだが、試合内容はかなり押されていて、相手エースを中心に攻め込んでくる相手の攻撃をとにかく必死になって守っていた事を覚えている。 確かその瞬間も、相手エースが得意のドリブルでこちらのゴール前に侵入

          エースを止めるか、ナプキンを止めるか…アスリートと生理の付き合い方を考えてみた。

          ショートカットのゆううつ

          私ごとだけど、つい最近ベリーショートにした。 小学4年生ぶりに髪の毛を結ぶくらいまで伸ばそうかなあって気持ちになり、半年くらい伸ばしていたんだけど、その半年間をあっけなく切り落としてきた。 「伸ばしてた方が大人っぽいよ!」 「髪長い系ボーイッシュって感じで新しい!」 などなど、色々言われていた中での決断だったんだけど。 髪を切った後、鏡を見て 「あ、自分だ。」 って思えたから、切って良かったんだと思う。 (自分でも言うのもなんだが結構似合うし。) *** 先日

          ショートカットのゆううつ

          そろそろ、”当たり前”から抜け出してもいいですか。

          東京大学の入学式、女性学の第一人者である上野千鶴子さんの祝辞。これが、やたら心に刺さった。 今まで、女性学とかフェミニズムに正直苦手意識があった。というのも、自分自身のセクシャリティがハッキリしていない分、男性・女性を分けて考えることに対して居心地の悪さを感じていたからだ。 ただ、カミングアウト後にして最近気がついたことは、自分のセクシャリティが明確でないからこそ見ることのできる男女の景色があるのだということ。(現時点で)男女で分けざるを得ないスポーツ界に身を置き続けてい

          そろそろ、”当たり前”から抜け出してもいいですか。

          「"メンズ"って結局どんなセクシャリティなの?」

          こんにちは。シモです。 いよいよ、今日、なでしこリーグが開幕しました〜!ってことで、試合のWeb配信を見終わったところ@ドイツ。やっぱり日本の選手って選手全員の技術が揃って高いよなあ… そんな話はさておき、今回は、2回目のnoteにしてちょいと堅苦しくなってしまうかもだけど…カミングアウト記事を@すてっぴぃさんに出してもらってからというもの、書かなきゃいけないな…と思いつめていたこちらをテーマに。 ”メンズ”って結局どんなセクシャリティなの? ▼カミングアウト後にちょ

          「"メンズ"って結局どんなセクシャリティなの?」

          note、始めてみました。

          こんにちは。下山田志帆です note、始めてみました。 元から文章を書くのは結構好きだったけど、こうやって”下山田志帆のページ”に何かを投稿する経験は中学の時の前略プロフの時からないなあ。ってことで、ちょっとビビってる。 ▼noteから学んだ、noteを書く意味 さて、なんでいきなりnoteを書こうかと思ったかについて。 先日、尊敬する大先輩@すてっぴぃさんのnoteにて自分のセクシャリティのカミングアウトをさせていただいたわけですが、その時に1番感じたことは「

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