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ダーニング刺繍

ダーニング刺繍。
この技法と出会った時、私がずっと求めていたものはこれだと思った。

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子育てをしていると、自分の服はお店でろくに見られない。ネットで買うと失敗が多い。
そして安いものは比較的すぐダメになる。
専業主婦の子育てで、自由になるお金も時間も少ない。
だからこそ「安物買いの銭失い」はやめようと考えた。

気に入った服を買い、大切にして長く着る。そのためにはどうしたら良いか?
子育てをしていたら汚れやほつれは免れない。長く着ていれば穴あきや虫食いも避けられないだろう。
その都度、捨てては買うを繰り返していてはキリがない。

そして、今年。出会ったのがダーニングだった。
ダーニングとは、ヨーロッパで古くから伝わる衣類の修繕技法らしい。
これなら私は一生続けると思った。

まずは材料が必要だ。
私は裁縫をするので、針と糸、裁縫道具の殆どは手元に揃っている。
ダーニングマッシュルームだけがなかった。

ダーニングマッシュルームは切れた電球など、硬めの球体で代用可とのことだったが、家にあったのは電球だけだった。
我が家には3歳の息子がおり、電球は万が一割れた時に大変になりそうな予感。やめた。
ダーニングマッシュルームはまだまだ世間に普及していないのか手芸屋さんで見つけられず、ネットで検索。価格と形と相談。
普通の刺繍枠でも出来るが、刺繍枠は製品化前の生地に使うのが向いていて、すでに製品になっているものや厚めの素材にはダーニングマッシュルームの方が良さそうだ。
多分、長く使い続ける。持つか置くか。色んな場面をシミュレーションした。

そして決めたのが、野口光さんのダーニングクラゲ。
持っても置いてもダーニングが出来る。
そして手触り。木の温もりが佳い。
日本国内の職人さんが一本の木材から繰り出して製作されているそうで、分解式特有のぐらつきやがたつきもない。
専業主婦にはちょっとお高めの価格ではあるが、ずっと使い続けることを考えたら。これは間違いなく買って良かったもののひとつになった。

HIKARU NOGUCHIオリジナルのダーニングクラゲ


まずは息子の穴あきズボンから始めた。
そして、自分の靴下、ほつれた小物。
私は魚の目があって、靴下もすぐに穴があく。かと言って独身の頃のようにすぐに買いには行けない。息子が外に出たがらなければ買い物に行けないからだ(子育てしている人にはわかってもらえると思うが、息子を説得するのにとてつもない労力を要する)。
ダーニングで補修出来れば、買いに行く必要もないし、すぐに履ける。お金の節約にもなる。

息子のズボンの膝っ小僧。アップリケなしでも可愛い


靴下を補修。大判ストールと同じ柄に


10年近く使っている、母からもらったティッシュケース


お財布の小銭入れのほつれもダーニング


靴下はダーニングでどこまで履けるか試している節もある


息子のシャツ。漂白剤で変色してしまった部分をダーニングしてカモフラージュ


19歳の頃からかれこれ20年着ているカーディガンも、経年の疲労で擦れてしまった部分を補修した。
いよいよ捨てようか、他のものにリメイクしようか迷っていたが、ダーニングで復活。
別れではなく、まだまだ共に歩めるというのが嬉しい。

19歳の時からのカシュクールカーディガン


そして最近の出来事。
雨上がりの朝、電動自転車で思いっきり転んでしまった。
2人の女性の方がすかさず助けてくださった(本当にありがとうございました)。
そのおかげもあり、幸い息子は無傷、私は膝を擦りむき、上半身にむちうちのような痛み、肘にも痛みがありつつも、他に怪我はなかった。

左手首を見ると、今年買ったばかりのGERRYのダウンジャケットが破けてしまっていた。ジャケットが身体を守ってくれた。
このジャケットを着ていなかったら、きっと左腕はかなり血だらけになっていただろうと思う。

ジャケットはダーニングして補修。
硬めの素材にダーニングは初めてだったけど、悪くなかった。
糸は刺繍糸と刺し子糸を混ぜて、ジャケットの色味に合うように縫った。
ようやく私のジャケットになった気がした。


これからは、
「折角買ったのにほつれてしまった」
「破けてしまった」
「新しいの買わなきゃ…」
と、しょんぼりするのではなく、
「どんな繕い方をしようか。まだまだ使える」
と、楽しみが増えるダーニングという強い味方がいるのが嬉しい。

私を守ってくれたGERRY

これからもよろしくという想いを込めて。

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