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心理の仕組みを高校の合唱コンで例えてみた。


今回はパーツ心理学に基づく心理の解説です!



私達はたった一つの人格で日々暮らしているわけではなく、心理学用語で「パーツ」或いは「サブパーソナリティ」「副人格」などと呼ばれるたくさんの“私達”を抱えながら生きています。

極端な例は多重人格(解離性同一性障害)という精神障害で知られていますが、健康的な人でも誰でも心の中には沢山のパーツ達が存在し、日々葛藤を生み出したりもしています。あなたの中にもこんな自分達はいないでしょうか?

●目標を達成するために頑張ろう!と決意する自分

●決意したのに怠けてなぜか動けない自分

●そんな自分にダメ出しし、いつも厳しく責める自分

●そんな自分をなだめて折り合いを付けようとする自分

●そもそもそんな目標目指して意味があるの?と疑義を挟む自分…など。

あなたの中にも“いつも聞こえる声“、”よく繰り返してるパターン“ってないでしょうか?


今回は、そんな心の内側の仕組みを「高校の合唱コンクールで優勝を目指すクラス」という例で考えてみる事にしました!



キャラクター紹介


まず、学内の一大イベントである合唱コンクールで優勝を目指す3-Aのメンバーをご紹介しますね。

1️⃣学級委員長

ザ・優等生。ルールに厳格で、ルールを守らない人にすぐ怒る。
先生にはいつも頼られるけど、融通はきかない。


2️⃣サボり魔くん

授業が終わったらいつもすぐ消える。
合唱コンクールの練習にも参加せず、全く協力的でない。
当然、毎回委員長に怒られている。

3️⃣一生懸命女子

「ちょっと男子、ちゃんとやってよ!」と泣く。

4️⃣不良くん

クラスの誰とも仲良くなろうとせず、悪い仲間とつるんでいる。
当然合唱の練習にも参加しない。

5️⃣勉強命くん

受験も近いのにこんなくだらない事に付き合ってらんないよ…
と練習をボイコットする。

…めちゃくちゃまとまらなそうなクラスですよね。
こんな感じの子たちが、自分というクラスの中にいるとイメージしてみて下さい。優勝という目標達成がどれだけ困難か、想像に難くないですね。


本当に大切なものは目に見えない


一見自分勝手でバラバラなメンバーですが、実はその奥にはこんな「背景」や「 価値観」を持っていました。

1️⃣委員長
厳格な家柄で育ち、常に正しく振舞えとプレッシャーをかけられてきた。
両親をがっかりさせる事を何よりも恐れている。
みんなから疎まれている事に気づきつつも、他の振る舞い方を知らない。

2️⃣サボり魔くん
実は早くに親を亡くし、幼い弟の面倒をみるため朝から晩まで密かにバイトで金を貯めている。責任感が強く、弟の笑顔を見るのが何よりの癒し。

3️⃣一生懸命女子
クラスの事が大好きで、優勝して高校生活最後の思い出をみんなと作りたい。
いつもついもどかしくて泣いてしまうが、本当は何よりもうまくクラスをまとめられない自分に無力感と自己嫌悪を抱いている。

4️⃣不良くん
実は「自分なんてみんなから怖がられて嫌われているから、いない方がみんなも練習に集中出来るだろう」と思っている。
本当はみんなと仲良くしたいし、誰も見てないとこで捨て猫拾ってたりする。

5️⃣勉強命くん
子供の頃に生死をさまよい、助けてくれたお医者さんに憧れを抱いている。
難関大に合格して医者になり、いつかは国境なき医師団に入って沢山の命を救う事が夢。


表面的な出来事だけ見ると、ただ自分勝手でまとまらなくてバラバラ!なクラスですが、実はみんながそれぞれに何かしら事情や苦しみ、大切にしたいものを抱えて動いていたわけです。

マンガだったらきっと、学級委員長が偶然サボり魔君の事情を知り

「え…やだ…そうだったんだ…

 弟さんのために…知らなかった…」

ってなるストーリー展開だと思います(たぶん)。

事情を知る事で温かな理解が生まれ、なんなら愛情だって芽生えそうですよね。

他の子達も全員が全員、表面的な主張はするけど大事な事は言わないので、「言わなきゃ分からんやん」「言ってよぉ~!」な状態です。
みんな一生懸命に自分の抱える役割を果たそうとしているので、それらが矛盾していた場合に一緒に一つの目標(ここで言うなら合唱コンクール優勝)に向かっていく事が出来ず、衝突します。

この時、互いの存在を知覚し、ちゃんと向き合って本音で対話をする事でそれぞれが抱える事情や価値観を理解すれば、衝突しいがみあうクラスメートではなく、妥協点を見つけたり、互いの夢を応援したり、温かく協力し合う仲間になれそうですよね。


あなたの内側にいるクラスメンバー


…て、いう感じの子たちがあなたの中にもいます。

ちなみに、内側にいるパーツ達の大切にしているものとはただ一つ、あなたを守り、生かす事。それだけです。

そのために全員が違うやり方で、全精力を傾けています。

●努力して成果を示す事で周りから認めてもらおうとする自分

●変化を避け安全な生活圏にとどまり続ける事で自分を守ろうとする自分

●挑戦して失敗する事で傷つく事から自分を守ろうとする自分

●かつていじめられて傷ついた経験から、「自分なんて」と自分を下げる事で、目立ったり嫌われる事を回避しようとする自分

…などがそれぞれ、無意識下でアクセル踏んだりブレーキを踏んだりしているがために、葛藤は起きるわけです。


自分の中には、一見邪魔ばかりするパーツや、存在していると認めたくない、見て見ぬふりをして居ない事にしたいパーツもいると思います。

でも例えば、自分の理想的な優等生学校を形にするために邪魔とみなした(本当は心優しき)不良くんや、(バイトにいそしむ)サボり魔くんに対して「あんな連中排除しろ!」と言う校長がいたらどうですか?
彼らの事情を知った今では、そんな校長に対して「え、ひど…」「分かってあげて」って思いませんか。


人の内側は、実にややこしいです。
でも、知れば知るほど本当はとってもあったかくて一途なんですよね。
自分の中の委員長も、不良くんも、サボり魔くんも、一生懸命女子も、勉強命くんも、あなたに対して一途です。

全員をクラスメートとして認め、みんながいるからこその3-Aなんだよって受け入れることが“自己受容”。

自分の中にはどんな愛すべきキャラ達がいるのか?
それぞれに何を一生懸命になっているのか?
葛藤が起こった時は、ぜひ自分の内側に向き合って観察してみて下さいね。


3-Aの合唱コンクールの結果がどうなったのか気になるところではありますが。
みんなできちんと向き合う事が出来たのならば、きっと感動的な青春ストーリーが生まれたはず。みんな本当はとっても良い子達ですからね!(←設定考えているうちにめちゃくちゃ愛着湧いてしまった)


自分の中に存在し、葛藤を生み出すバラバラな子達の存在に気づいて解きほぐし、統制をとっていく事で、自己受容や目標達成のための効果的な前進に繋がります。個人セッションの中でも扱っているので、自分の“内側”に関して気になる方はHP↓見てみて下さいね!


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