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【詩のようなもの6編】ビル群と車窓

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【ビル群と車窓】

等間隔の灯火
夜の電車の車窓を通り過ぎる

ひたむきさを反るような
くたびれたスーツ姿
靴から足を脱いで換気

ビル群が遠くに行くほどに
何処か安らぐ精神

車窓と同等のスピードで変わる心
遠く遠く素早く素早く

若返りするにはどうしたらいい
革命起こすにはどうしたらいい

甘い言葉と説得力ある言葉に
身を持ってかれそうな立ち位置

車窓が見える間の思考放棄
ビル群が過ぎる間の安心安全

タイムリーな話より昔話をしたい
でもそれをしてる横の人を見て
やっぱり辞めとこうと思う

流れる思考回路はまだ走る
遠く遠く 瞬間 瞬間

誰の為でもなく
ただ素早く過ぎる時間を
眺めながら

【=決意】

繰り返した決意の回数
=(イコール)
放棄して諦めた回数
それが私です

嘲笑われた回数
=(イコール)
啜り泣きした回数
それが私の涙です

あっち向いてホイ
こっち寄ってポイ
そんな人間関係に疲れ
高尚な空想に身を委ねてます

最後は運に縋りたくて
アベリアを部屋に飾ったら
見事に命を繋ぐ強運が
私に元気をくれた

だからもう...
負け癖は付いたままだけど
苦しさは無くならないけど
また自分を変えようと
決意表明をする私がいます

【屈折と謝罪】

誇れるものないのよ
寂しくて苦しいのよ

ゆっくりとカラフルが
モノクロにグラデーション

屈折しているせいで
画面の向こうのキラキラが
眩しすぎて嫌になる

理解してるつもりなのよ
誰もが悩んでるのは

でも自分の落とし所が
見つからないまま
見た目だけ大人になって
謝罪の仕方も分からないまま

一通り苦しさの味は
見覚えがあるくらいに
なってしまったけど
反射する方向性は
少しだけ瀬戸際に向かう

誰の為でもないけど
誰かの為になるなら
それはそれで

屈折したまま少しだけ
謝るような表情で
自分の陳腐な言葉を
誰かの背中に添える

【もののおわり】

別に年が変わるからと
セールをやってる店で
爆買いする必要もない

まだ使えるし捨てたくない
今ある物を見返し
もう一度愛着を持ち直す
新鮮だった気持ちも
より深く愛でる

それが昨日までの私
貴方と別れるまでのね

物の終わりは生々しく
じんわり孤独が始まる

それが嫌で投げやりな気持ちで
損ねた機会を取り戻したくて
必要以上に心も体も密着

その先の惰性を絡めた
優しさにゆっくり溺れて
取り返しがつかなくなるまで

分別つかず明日を忘れて
しなやかに少し乱暴に
甘い響きに乗せられて

分かってたはずの
要らないはずのものに
次々と部屋が埋められていく

【色彩とバランス】

ズレた色彩感覚で
枯れた四季彩の中を渡る

かぐわしい問いかけが
疑わしい時流を泳ぐ

人並みの営みがどういうものか
自分の暮らしと擦り合わせ

崩れたバランス感覚で
塞がれたままの諸々をこじ開ける
いやこじ開けようとする

年末年始の鬱ムード
初日の出の裏の日陰になる場所で
これから咲くはずの何かを
目に入れないようにしながら

【間抜けな私へ】

間抜けな私へ
醜いと卑下するのを止めないで

悲観することで客観的に見れる
そんな私へ私から贈ろう
傷だらけの宝石を
汚れだらけのまま

疑えば消えるよ
信じれば手に残る摩訶不思議な
私だけの私のための宝石

間抜けな私はどこに行くのか
過去のシーンと理想のシーンが
チグハグに絡まり合い
間抜けな私から現実逃避

久方ぶりに帰省しても
見慣れた故郷は寂寞の匂いに包まれ
間抜けな私に突きつける
現実の厳しさ

択一した先の後悔と正解は
寄り添いづらいグラデーションが
人を描いてる

間抜け私へ
また明日がくるといいね


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最後まで読んでくれてありがとうございました。

新年一発目の詩のようなものです。

どことなく年末年始に漂う空気感が伝わればいいなって思います。

よかったら他の詩のようなものもぜひ。

水宮 青