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THE TOKYO TOILETバスツアーレポート

ここのところ本格的に寒くなってきましたが、皆様いかがお過ごしでしょうか?
水回り探検です。
今回は、先日参加させていただいた、渋谷区観光協会主催の「THE TOKYO TOILETのトイレをめぐるバスツアー」のレポート記事をお送りします。

稚拙で支離滅裂な文章になっている箇所も多いかと思いますが、ご容赦ください。

*以下、THE TOKYO TOILETをTTTと記載。

本題に入る前に、私のことをよく知らないよーという人もいらっしゃると思うのですが、私は言ってしまえばただのトイレオタクです。外のトイレに行ったら、どんな便器や便座、洗面器が使われているのかを見たりします。

なので、今回このバスツアーに参加した理由は、行きたいなーと思いつつまだ行けていなかったTTTのトイレを、説明と共に見に行けるのなら行ってみたいなーと思ったからです。

バスツアーを知ったのは、TTTのTwitterをフォローしており、そのアカウントで、バスツアーをやるということがツイートされていたので、申し込みました。

申し込みのサイトには、建築やアートに興味がある人、とも書いてあったので、建築を学んでいる学生や、専門で働いている人ばかりでもしかしたら場違いかもしれないけど、学生の身分としてできることはやっておこうと、とりあえず申し込んでみました。

その点で言えば、心配は不要でした。これから書いていきますが、誰でも楽しめる内容だったと思います。

集合場所にて

集合場所の「神宮通公園トイレ」

ツアーの集合場所は、「神宮通公園トイレ」でした。こちらのトイレは、安藤忠雄氏が手がけています。

集合場所には、THE TOKYO TOILETのつなぎを着たスタッフの方が立っていらっしゃったので、すぐにわかりました。

受付を済ませると、THE TOKYO TOILETと書かれた名札、日本財団のクリアファイルに入った、THE TOKYO TOILETのそれぞれのトイレのデータシート、THE TOKYO TOILETのパンフレットが渡されました。
(全然予習してなかったので、時間になるまで渡されたパンフレットに必死に目を通していたのはここだけの話です🤫)

TTTのパンフレットと日本財団のクリアファイルに入ったTOTOによる参考資料

開始時間になると、一通りスタッフの方の紹介が終わり、バスが準備できるまで神宮通公園トイレの説明がありました。
こちらのトイレは、雨宿りできるような存在として、庇(ひさし)がデザインされているそうです。周りの樹木との調和も意識がされているとのことでした。また、ルーバー形状の壁で、通気が取れるようになっているそうです。

また、建築(設計)にあたる建築家の方は、TTTにアドバイザーとして協力しているTOTO株式会社の研修を事前に受けており、建築一辺倒になっていないということでした。

案内図

バスに乗って出発

TTT仕様のバス(株式会社東急トランセ 代官山循環線バスとして使用されているものを貸切)

神宮通公園トイレから、こちらの貸切バスに乗って出発します。

バスのフロントにはTHE TOKYO TOILETの横断幕が掲出されていたほか、車内の広告スペースにはTHE TOKYO TOILETの各トイレの写真が掲出されていました。

バス車内の様子

バスに乗って最初に見えてきたトイレは、スケルトンなガラス張り仕様で話題となった、代々木深町小公園トイレです。
しかし、時間の都合上、全てのトイレは見られないとのことで、こちらのトイレはバスの車窓から眺めるだけとなりました。

はるのおがわコミュニティパークトイレ

次のトイレは、はるのおがわコミュニティパークトイレです。
こちらのトイレも、先ほどの代々木深町小公園トイレと同じくスケルトン仕様のトイレで、どちらも坂茂氏が手がけています。

こちらのトイレでは、バスから降りて実際に見てみることができました。

はるのおがわコミュニティパークトイレ 外観
案内図とプレート

今回初めて自分の目で見ましたが、やはり斬新で画期的なデザインだと感じます。

ご存知の方が多いかもしれませんが、こちらのトイレは空室時(解錠状態)は透明になり、使用中(施錠状態)は不透明になるガラスが使用されています。
この透明度の切り替えには電気が使用されており、通電状態で透明になるため、停電時など電気が供給されていない時は使用状態に関わらず不透明のままとなります。
先日ニュース記事やSNSで話題になっていましたが、気温が低くなると透明度の切り替えに時間がかかるという性質があるため、そのような場合は電気を遮断して運用するそうです。

こちらのトイレでは、THE TOKYO TOILETの各トイレの清掃を担当されている、東京サニテイション株式会社の清掃担当の方お二人と、もうお一人説明をしてくださる方が来てくださり、実際の清掃の様子を見せていただき、清掃に関するお話を聞かせてくださいました。

床の清掃の様子

こちらのトイレは床がモルタルでできているそうなのですが、その汚れを落とすためにこちらの道具を使って作業をしているそうです(具体的に説明してくださいましたがこの記事を執筆するのに時間が空いてしまいうろ覚えになってしまっています)。
清掃員の方の習熟度が高くなくても扱いやすい道具になっているそうです。
また、水を使って清掃しているため、水切りをしても水気は残った状態になると思いますが、そのまま利用者が利用すると衣服や手回り品を濡らしてしまうおそれがあるため、拭き取っているそうです。配慮が素晴らしいですよね。拭き取りには、写真の道具のパッドを取り替えることで行えるそうです。

東京サニテイションでは、できるだけ素材を痛めない清掃をこころがけているそうです。強い洗剤を使うと素材に悪影響が及んでしまうということしでした。

坂茂氏が手がけた2つの透明トイレですが、こちらのトイレは寒色系、そしてもう一方の代々木深町小公園トイレは暖色系のデザインとなっています。
これは、公園に設置されている遊具との兼ね合いを考えてデザインされたとのことでした。

鍋島松濤公園トイレ

次のトイレは鍋島松濤(なべしましょうとう)公園トイレです。
こちらは短時間の見学となりました。

鍋島松濤公園トイレ 外観

こちらのトイレは隈研吾氏が手がけています。

男子トイレ(小便器個室) 内装

外観から内部まで随所に木材が使用されており、温かみを感じられるトイレとなっています。

隈研吾氏は、1990年代に高知県の森林の町の公共トイレを手がけたことから、今回のTTTのプロジェクトにも快く参加してくださったとのことでした。その時のことがきっかけで木を中心とした建築の重要性を感じられたそうです。
また、風や光を含めて建築と考えられているそうです。

恵比寿公園トイレ

次のトイレは、恵比寿公園トイレです。

恵比寿公園トイレ 外観

こちらのトイレは、片山正通氏が手がけています。
コンクリートの板15枚を組み合わせ、木の枝を投げて広げたような造形になっています。
こちらも遊具との兼ね合いを意識され、オブジェクトとしての建築を意識されたそうです。
また、光がまっすぐになることが意識されているそうです。夜にも見てみたいですね。

だれでもWC 入口
トイレ案内図
だれでもWCの中
男子トイレ 洗面器まわり
男子トイレ 入口から

間接照明が使用されていて、温かみのある雰囲気になっていると感じました。

恵比寿駅西口公衆トイレ

恵比寿駅西口公衆トイレ 外観

こちらはバスからの見学となりました。
こちらのトイレを手がけているのは、セブンイレブンのコーヒーマシンやホンダのNシリーズなどで有名な佐藤可士和氏です。
こちらのトイレは、TTTの1年目のトイレを見て、他にはないトイレを作るべくデザインされたそうです。
目印になるけど目立ちすぎないというところを意識されており、ルーバーを用いることで、圧迫感のない風通しの良いデザインになっているそうです。
また、こちらのトイレは全室ジェンダーフリーのトイレとなっています。

TTTの全トイレで使用されているピクトサインやプレートも佐藤可士和氏が手がけています。

東三丁目公衆トイレ

東三丁目公衆トイレ 外観

こちらのトイレもバスからの見学となりました。
他の参加者の方が写っているため見苦しく、またバス内からの撮影でわかりづらい写真となってしまい申し訳ありません。

こちらのトイレは田村奈穂氏が手がけています。
外観の赤い色が特徴的ですが、この色は警戒色で、犯罪を防ぐ色合いとして採用されたそうです。
田村氏は主に生活用品のデザインをされているそうで、このような建築のデザインをするのはチャレンジだったそうです。不特定多数が使うトイレで、使う人を意識したデザインは難しかったそうです。
折形を意識したデザインで、壁が薄くデザインされています。

恵比寿東公園トイレ

次のトイレは恵比寿東公園トイレです。別名、タコ公園のイカトイレです。

恵比寿東公園トイレ 外観
タコの形の遊具(滑り台)

タコ公園のイカトイレという名前は、こちらのタコの遊具からタコ公園と呼ばれているこちらの公園に、それと並ぶようなイカのようなトイレということでそう呼ばれているそうです。

こちらのトイレは槇文彦氏が手がけています。
白の外壁というのは汚れが目立ちやすく、あえてそれを採用したチャレンジングなデザインになっています。
デザインに際しては、近視眼にならないように、広い視野で物事を見ることを大切にされているそうで、奇抜なものではなく場所を大切にした設計をされたそうです。
ベンチが併設されているように、憩いの場、休憩スペースとしても意識されています。
屋根も独特の形状をしていますが、日本で1社しかできないような溶接技術を使用した屋根なのだそうです。

中央のスペースから
案内図


交流会へ

次は交流会へ向かいます。
会場は、聖心女子大学内のLa Mensa jasminというカフェレストランです。

交流会会場 La Mensa jasmin (写真が雑で申し訳ありません)

交流会では、TTTの診断を担っている株式会社アメニティの山戸伸孝社長と、お笑い芸人、放送作家、そして名誉トイレ診断士である佐藤満春さんが登壇されました!
佐藤満春さんが登壇されることはこの場で初めて知ったので、驚きでした(笑)

スイーツとドリンク(配置が酷くてすみません)

素敵なスイーツをいただきつつ、参加者から出た質問についてお二人が回答してくださるという形で進みました。
面白い質問で言うと、TTTのトイレは、清掃性は良いのか?という趣旨の質問があり、回答としては、ぶっちゃけて言うと全体的にメンテナンス泣かせということでした(笑)。
とは言っても、デザインが奇抜だからやりづらいというわけでもなく、バリアフリー対応で床が凹凸の加工がされているトイレがあり、それでいて白い床の場所などは汚れを落とすのが大変だというお話でした。
メンテナンスの視点から見てやりやすいのは、代々木八幡公衆トイレ、西原一丁目公園トイレなどだそうです。
また、メンテナンスの観点で利用者ができることとしては、ゴミが捨てられていると心理的に捨てやすくなってしまうため、見つけたら捨てるなどをすることも必要だと言うお話がありました。

他には、設備のトラブルについての質問では、扉や鍵のトラブルが多いとのことでした。外のトイレでは乱雑にドアを扱う人が多い印象ですが、壊れてしまうと困るのは利用者の方なので、思いやりの気持ちを持って丁寧に利用したいですね。

印象的なこととしては、TTTのプロジェクトから、全国に広がってほしいというお話があったことでした。
日本のトイレは、海外と比べてとても快適で清潔であるということが言われていますが、このような特徴的な取り組みから、トイレという機能だけにとどまらないトイレの可能性について広がっていってほしいと感じました。

広尾東公園トイレ

交流会が終わり、聖心女子大学から歩いてすぐのところにある広尾東公園トイレへ移動します。

広尾東公園トイレ 外観(正面)
広尾東公園トイレ 外観(裏)

こちらのトイレは後智仁氏が手がけています。
ツアー時点でTTTのトイレの中で一番新しいトイレです。
正面から見ると比較的シンプルなデザインに見えますが、裏に回ると照明パネルが見えるのが特徴的です。

トイレ全景
鏡張りになっているところも

こちらのトイレはバリアフリートイレが2室の設置となっています。
内部もシンプルですが、鏡張りになっている面があるのが特徴です。

案内図
プレート

たくさんのお土産をいただいて解散へ

バスに乗り込み、渋谷マークシティで解散となりました。
なんとここで、お土産をいただきました!
一番大きいのはこちらです。

サトミツ棒

佐藤満春さんと株式会社アメニティと株式会社サンコーのコラボ商品です。
恥ずかしながら今回初めてこの製品を知ったのですが、トイレ掃除が捗りそうですよね!

次にスイッチ・パブリッシング『SWITCH』10月20日発売号です。

スイッチ・パブリッシング『SWITCH』10月20日発売号

こちらの雑誌では、佐藤満春さんのインタビュー記事や、TTTに関することが特集されています。
これは永久保存版になりますね!

TTTグッズと渋谷芸術祭のステッカー

TTTグッズもいただきました!

SIW SHIBUYAのトート

そのほかに、SOCIAL INNOVATION WEEK SHIBUYAのトートバッグに入ったさまざまなお土産をいただきました。
こちらのバッグはSHIBUKUROプロジェクトによるバッグで、収益の一部が渋谷のために使われるそうです。

また、スペースの都合上全部は載せられませんが、さまざまな企業のチラシや試供品もいただきました。

こちらのお土産をいただいて、このTTTのプロジェクトに対して、多くの人々が期待を寄せて応援しているということを感じました。
参加費無料で、バスを貸し切って、カフェを貸し切って、軽食が出て、そしてこんなにたくさんのお土産をいただいて……タダで実現できる内容では絶対にないですよね。参加費無料というのは初期的なものかもしれませんが、それが実現できているのは、関係者の方々の尽力があったことは言うまでもないと思います。

トイレにデザイン性なんて求めてない!と言う声もまだまだ多いと思います。透明トイレのトラブルに関して厳しい声も上がっています。
でも、無駄だ、一部の人の自己満足のプロジェクトだ、なんて絶対に言われたくないと思いました。もちろん、手放しで褒めろという意味ではありません。全否定するのではなく、この発展途上でチャレンジングな取り組みに関心を寄せ、「いいね」も「よくないね」もフィードバックしてより良いものをみんなで作り上げていくということができる、新しい共創物であってほしいと思っています。
昔の汚くて暗くて臭いトイレからの脱却には確実に大きな力を持っているし、街全体の雰囲気の変革も主導していると思います。

今回たくさんお話を聞いて、「トイレ」というものの可能性の大きさ、そして課題の多さに気付かされました。やはりこれからもトイレから目が離せないなと思う水回り探検でした。

最後に、ツアーの実施にあたり尽力してくださった関係者の皆様に御礼申し上げます。ありがとうございました。とても楽しく、濃い時間でした。

また、長々とここまで読んでくださった読者の方にも御礼申し上げます。ありがとうございました。

TTTのトイレは今回ご紹介したのが全部ではありません。ぜひTTTのホームページを覗いてみてください。これからオープン予定のトイレもあります。この先のTTTも見逃せませんね!

みなさんも、渋谷区に訪れた際はぜひTHE TOKYO TOILETに遊びに行って、触れてみてください!新しい公共トイレのあり方の発信地です。


◆ツアー情報◆
THE TOKYO TOILETのトイレをめぐるバスツアー
主催:渋谷区観光協会
協力:日本財団、渋谷区、東急バス株式会社、東京サニテイション株式会社、株式会社アメニティ、NPO法人tannely

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