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グレーゾーン ①場面緘黙の幼少期の様子と幼稚園選びの大切さ

長女が明確な場面緘黙であった頃のこと

長女は幼稚園へ入る前までどこへ行っても私から離れず声も発さずただじーっとその場を見つめていた
新しい世界、知らない世界が怖かったのかもしれない
じーっと見つめることで少しずつ少しずつゆっくりゆっくり目の前の世界に慣れていった

公園では誰かに話しかけられると逃げるか固まるか
特に小さい子が寄ってくると身動きも出来ず恐怖に怯える様子で泣いていた

いつも砂場で数時間遊び
怖がっていたブランコに乗れる様になると1時間揺れ続けた

初対面の人にある程度受け応えできるようになったのはここ2〜3年のことである

傍目に見れば
単なる恥ずかしがり屋、慎重、臆病ということばの範疇に入るのかもしれないが
いつもと違う行動パターンを極度に嫌がり
急な予定変更に対してはパニック、過呼吸の様になりジャージャーおしっこをするのが低学年まで続いた
心身共に全くコントロールが出来ない状態である

人前ではその様な事はなく、我々夫婦の前だけの姿であったので
親の前では安心して本質を出せているのだろうという思いと
排泄機能と脳の司令の関係だろうと思って様子を見ていたが
成長と発達によるためか、いつからか失禁はなくなった
しかし未だにたまに何かに強くこだわり泣いて目を白黒させることはある

予定変更のパニック対策としては
事前に考えられるいくつかの可能性を伝える事で心の準備を促した
こちらもすっかりその習慣ができたが、うっかり言い忘れては大泣きされた

ここ1〜2年では気持ちの切替えが出来る様になったばかりでなく、随分とプラス思考発言が多く驚いている

幼稚園に入ってからは
年少時は誰も娘の声を聞いたことがなく
年中では先生とだけ僅かな会話ができ
年長では発表会の代表さんでマイクで話せる様になった
という成長具合であった

その間家ではよく喋り
スイッチが入ると壊れたおもちゃの如く息をするのも忘れたかの様に喋った
切り紙に集中すると3時間休む事なく手を動かしていた

そういう様子の娘に対して、いかなる場合も良しとしてくれた幼稚園、先生方のおかげで
娘は自分のペースでのんびり着々と成長できた

声を発さずとも毎日トイレに間に合わずとも一人みんなと同じことができなくとも
朗らかに優しくかわいいかわいいと接して下さった

先生方にはいくら感謝してもし足りないし
おおらかな父母が多いのも有難かった

もちろんそうでない方も多数いた
しばしば会っていたのに小学二年生くらいになって初めて娘の声を聞いたと言う人がいたが、多分娘はその人がずっと苦手だった

他の幼稚園へ行っていたら、心身共に彼女のペースで成長できず、小学校は特別支援級に進む事で今よりもっとずっとのんびりしていたかもしれない

私としては、周りと同じ事が同じ様に出来ずとも、得手不得手の範疇、2〜3年すれば出来るようになるだろうというスタンスで構えてきて、実際だいたいそういうペースで成長してきている

成長スピードについて
折に触れ目にする発達障害グレーゾーンの親御さん、のみならず一般的な育児の悩みでは
周りの子供に比べ2〜3ヶ月成長が遅い事に対して不安を抱える人が多い

周りの輪から外れる恐怖か
自分の理想やイメージから外れるもどかしさか

親の性格によるのだろう

私は長女が靴を履くのを30分観察しながら眺めていたし
長女に友達ができなくても本人が寂しくないなら心配しない
寂しいのならばどうするか考える

というスタンスで長女のペースと気持ちを半歩後ろ位から見てきた

感情的にならないわけではないが、本人が困っている様子の時や、明らかに周囲に迷惑をかけている状況以外は、極力その姿を観察しようとしてきたのかもしれないし、そのおかげで必要以上に先回りしたり不安に駆られる事は少なかった様に思う

専業主婦だからできる事であり
専業主婦だから苦しい所でもある

じっくり子供に対してだけお付き合いできてしまうのだ
不向きな人には息が詰まる生活だろう

そしてそんな風に娘と関わってきた私だが
先生の対応や父母からの視線によっては
追い詰められ余裕が無くなっていたかもしれない

人は余裕がなくなるとどうなるか

人を思い遣る事ができず

想像力の幅、視野が極めて狭まる

余裕がなければ娘に対して、早くしろなぜできない、人前でも声を出せ口を開けと厳しく叱責していたかもしれない

こんな簡単な事がなぜできないこんな当たり前の事がなぜできない

簡単も当たり前も自分にとっての見解であって娘も同じとは限らない事こそ当たり前なのである

しかし人を思い遣れないとはそういうことなのだろう

選択肢15位の中から3園見学した後
たまたま通りかかり外から見てよしここにしようと即決した幼稚園

建直し後数年のログハウス風の素敵な園舎に広い園庭の牧歌的な佇まい
調べてみると、教育の基本を「 絵本の読み聞かせ 」にしているという点も大きかった

娘が生まれる前は、体育会系の我が家の子はきっと活発に違いないと、比較的近くて運動が盛んな幼稚園に通わせる事をイメージしていたが
実際は全く以って対極の雰囲気の幼稚園へ通うことになった

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